一般の忿怒相の明王とは別に、その法の威力から「佛母」と「明王」(ヴィドヤー・ラージュニー)を付けて呼称される佛母孔雀明王様は、拝めば拝む程、その凄さが実感し、逆に空寒いほどの感覚がします。

 

 多種ある明王の中でも最も早くインドで成立していた、とされます。日本でも既に奈良時代には祀られていたようで、孔雀明王菩薩・摩訶摩由璃菩薩ともいわれていたようです。

 佛母孔雀明王は、インドの靈鳥、孔雀が美しい姿をしながらも人間の最も嫌う猛毒をもった蛇を食べ、その害から守ってくれるところから信仰を集めました。

 

 一切諸毒を除去する能力をもつ功徳から、息災や祈雨などを禱る鎮護国家の大法、孔雀明王経法の本尊として、古来は国家レベルで拝まれてきました。

 孔雀の背に乗る明王は、倶縁果・蓮花・吉祥果・孔雀尾をそれぞれ四本の手に持っています。騎乗する孔雀を独立して尊格化したものが、十一面観音の眷属である二十八部衆のうちの一尊である「金色孔雀王」です。合掌