ハラスメントというのは罵声を浴びせたりなどだけなく、最近では、上司など上の立場の人が、下の立場の人に対して気遣うような声掛けであっても、場合によっては該当するとされるそうです。基本、業務に直接関係する以外の相手の私的部分にかかわる全部について、上の立場の人はそれが善意であっても、そこに介入するかの行為は、事実上断りにくいことになるからダメとのこと。終業後の食事や飲酒の誘いをはじめ、夜遅くなって、たまたま部下等の家が、自身の帰宅ルートの通り道や家同士が比較的近かったりして、一緒にタクシーや自家用車で「一所に乗って帰るか」という誘いも当然バツ。立場上断りにくいので、私的な時間に関するコミットは原則一切してはいけない、というのが昨今のハラスメント対策の最先端とのことです。

 

 善意や優しさもケースバイケースでハラスメントとして忌避される社会。これまでこの種のことで、下の立場の人たちが我慢してきた部分もあるので、ある意味仕方ないとも思います。仕事と私的な部分を明確にしたい若い人たちが多くなっていることも影響しているのかも知れません。余り好きでない上司等でも、善意の誘いは断らず、取り敢えず我慢して良好な関係性の維持のほうを大事にする、というのは古いメンタリティということになるのでしょう。拙僧も古いタイプの人間なので、最近のハラスメントの範囲拡大には正直驚きます。が、時代の変化ということなんでしょう。こんな最先端の対応をとれる企業等は一部でしょうが、当事者の一方が嫌なら即ハラスメントという社会が、生きやすいのかそうでないのか。

 

 ただ、いまだに立場が下の人たちが事実上、反抗・反論できない事をいいことに、暴言等のハラスメントをする向きが、国を代表する国会議員らの間でもあるくらいなので、ハラスメントに厳しく対処する社会と言うのは、時代の要請なのかも知れないとも考えます。が、〇〇ハラスメントというのが多くなりすぎて、訳が分からない様相を呈しており、混乱するのも事実。いずれにしても、今後は細心の注意を払っていないと何時自身がハラスメントの「加害者」になるかもと気を付けないといけない社会になっていくのでしょう。社会的関係性の健全化は良いことですが、行き過ぎると逆に大変かもとも危惧します。宗教界での「師匠ハラスメント」なんていうのが出てきたりしたら、師弟関係は成り立たないでしょうね。雑感でした。