H4ー2 OTAKU日和 -50ページ目

H4ー2 OTAKU日和

愉しいヲタク L I F E

獄寺・パラリーナ・銀子です(^-^ゞ

「その執事 黒薔薇」
バレンタイン編その3です†





そこへノックの音と共に、セバスチャンが小包みを手に入って来た。



「失礼します。製菓店より坊ちゃんへ荷物が届いておりますが」



「ああ、分かった」



シエルは書類から顔を上げ、受け取る。



小包みの包装を解くと、中には赤と白のストライプのリボンが架けられた、やや小さめのクリーム色の箱が入れられていた。



一見してプレゼントと分かる。



「どなたかからの贈り物ですか」



「まぁ、そんな所だ。…セバスチャン、僕からのバレンタインのチョコレートだ」と言い、差し出した。



当のセバスチャンといえば、瞳を見開き口も半開きのまま…。



「…どうした。僕からのチョコレートが欲しいんじゃなかったのか」



「…いえ。あまりの嬉しさに声も出なく…。ありがとうございます、坊ちゃん」



セバスチャンは両手で大切そうに受け取ると、深々と頭を下げた。



「開けてみろ。…全く、主人をこんなに悩ませる執事がいるか」



と、シエルは悪戯っぽい笑みを向ける。



セバスチャンも笑みを返しながら、



「申し訳ありません。…では、失礼して」



リボンを解き蓋を開けると、ミニチュアの懐中時計型のチョコレートが四つ収められている。



時計の文字盤の所は、ホワイトチョコレートで彩られていた。



「ありがとうございます、坊ちゃん…。このような、嬉しい贈り物は初めてです…」



セバスチャンは声を詰まらせ、微笑む。



シエルは照れたように頬を染めると、



「店の主人に、無理言って作らせた。…食べてみるか」



「はい。…では」



セバスチャンは手袋を外し一つを摘まむと、目の前に翳した。



自分の持つ時計を縮小したような、見事な作りのチョコレート。



「嗚呼…。食べてしまうのがもったいないですね…。では、頂きます」



そっと口に入れ、噛まずに口中で溶かすようにしていく。



上質なカカオとホワイトがゆっくりと混ざり合い、まろやかさが口の中いっぱいに広がっていく。



「どうだ。セバスチャン」



「…美味しいです。坊ちゃん。とても…」



セバスチャンは嬉しそうに微笑む。



「よろしかったら、坊ちゃんもどうぞ」



「ああ」



シエルも一つ摘まむとセバスチャン同様、口中でゆっくりと溶かしていく。



「…美味いな」



「でしょう?」



二人は優しく微笑み合う。


チョコレートの甘い香りが、ゆっくりと部屋の中に広がっていく。



初めての、愛する恋人からのバレンタインの贈り物に、セバスチャンは幸せで胸がいっぱいだった。



「こちらのチョコレートは、今夜にでもご一緒に如何ですか。坊ちゃん」



セバスチャンはチョコレートが収められていた箱を手に、シエルへ笑みを向ける。



「勿論、坊ちゃんの寝室で」と付け加え、ウインクしてみせる。



「ああ、それもいいな」



シエルも微笑みながら同意し、おもむろに付けていた眼帯を外すと、自分もウインクで返した。



「坊ちゃんのウインク。初めて拝見しました」



「…今日だけ特別だ」



シエルは頬を染めながら、視線を反らす。



その後、二人は顔を見合わせ幸せそうに笑い出した。


― 完 ―

如何でしたでしょうか♪

初めて締切を大幅に破ってしまいましたf(^ー^;

今回の話は珍しくキスすらありません( ̄▽ ̄;)

私も、書き終わってから気付きました!!

それでは、少しでも楽しんで頂けたら幸いです♪


獄寺・パラリーナ・銀子です(⌒‐⌒)

「その執事 黒薔薇」
バレンタイン編その2です†





「ええ。坊ちゃんが下さるのでしたら、喜んで」



「…分かった。考えておく」


シエルは前を向いたまま、小さく呟く。その頬は、一瞬だが赤く染まっていた。



やがて馬車に辿り着くと、シエルは帰る旨を告げ中へ乗り込む。



セバスチャンは一礼し静かに扉を閉めると、自ら手綱を振るいファントムハイブ邸へ向けて馬車を走らせた。



セバスチャンの巧みな手綱捌きで、未だ人の賑わうメインストリートをシエルの乗った馬車は、軽快に駆け抜けて行く。



シエルは頬杖をつき眉間に皺を寄せ、窓の外を横に流れていく景色に目を向けていた。



別に、景色が気にそぐわないからではない。



セバスチャンに贈るチョコレートについて、不本意ながら考えていただけである。



『…全く、どんなやつにしたらいいんだ。大体、主人が執事に何かやるなんて話聞いた事もない。それに、僕が女性達に混ざって買いに行くのは、英国紳士として…。かと言って、自社製品って訳にも…。そうすると、店から取り寄せるしかないか』



セバスチャンの操る馬車は、一定の速度を保ちながら走り続ける。



シエルは瞳を閉じ、フッと息をついた。



『…だが、今まであいつに何か物を贈るなんてなかったな。まぁ、たまにはいいか。あいつが喜ぶ顔も見てみたいしな』



やがて馬車は、ファントムハイブ邸へ到着した。



セバスチャンと共に自室に戻ったシエルは、疲れたようにソファに深く座り背を預ける。



「坊ちゃん、さぞお疲れでしょう。只今、紅茶の用意を致します」



セバスチャンは一礼し部屋を出ると、厨房へと向かった。


その口元には笑みが浮かび、何やら嬉しそうであった。



『フフッ。坊ちゃん、私の為にあんなにお悩みになって…。あの時はその場の雰囲気に呑まれて、つい本音を口にしてしまいましたが…。私でも、こういう特別な日の愛する貴方からの贈り物は、やっぱり欲しいんですよ』



一方、一人になったシエルは軽く足を組みおもむろに前髪を掻き上げる。



『…駄目だ。さっぱり思いつかん。…何だって、仕事以外でこんなに悩まなきゃならないんだ。…まぁ、まだ5日もある事だしゆっくり考えるか』



そこへドアがノックされ、セバスチャンがトレイに紅茶を乗せて入って来た。



「お待たせ致しました、坊ちゃん。ロイヤルミルクティーをお持ちしました。疲れた時には甘いものをと言いますので」



シエルはカップを受け取ると、ミルクの甘い香りを楽しみつつゆっくりと一口飲み、ホッと息をついた。



「…甘いな。だが、美味い」


「ありがとうございます」



セバスチャンは懐から時計を取り出すと、



「それでは私はお夕食の準備を致します。…坊ちゃん?どうされました?」



シエルはカップを手にしたまま、一点を凝視し動かない。


「…あ、いや、何でもない。…今から、私用の電話を一本掛ける。その間、ここは立入禁止だ」



「かしこまりました」



セバスチャンが退室するのを見届けると、シエルはカップの残りを飲み干しフッと笑みを浮かべた。



『…よし、これだっ』



シエルは受話器に腕を伸ばすと、ダイヤルを回し始めた。



―そして瞬く間に日は過ぎ、今日はバレンタインデー当日。


シエルはいつもの如く、書斎で書類のチェックをしている。


その3へ続きます†


こんにちは♪
獄寺・パラリーナ・銀子です(*^ー^)ノ♪

「その執事 黒薔薇」バレンタイン編です(o^-^o)

本当は14日までに仕上げる予定だったんですが、どうしても間に合わず時期外れになってしまいました。
ほんとすいません(;_;)

ちなみに、、今回のお話は正直かなり甘くなってしまいました♪

それでは、本文へどうぞ†




来る2月14日はSt.バレンタインデー。



女性が想いを寄せる人へチョコレートを贈り、気持ちを伝える一年の内でもっとも甘い日。



また、恋人同士や夫婦間では変わらぬ愛を誓う日でもある。



ここ、ロンドンも例にもれず数日前からメインストリートの製菓店では、店先や店内の至る棚に何種類ものチョコレートが並べられ、道行く人々の視線を集めていた。



心地好く晴れ渡る午後、シエルはメインストリートを歩きながら、楽しそうにチョコレートを買い求める女性達を目にし、ポツリと呟いた。



「しかし、毎年の事とはいえ、この時期はどこもバレンタイン一色だな」



「さようでございますね。甘い物がお好きの坊ちゃんには、さぞ目の毒なのでは?」



と、セバスチャンが口元に笑みを浮かべながら答える。



「うるさいっ。…だが、今日はまだ9日だぞ。そんな5日前から買ってどうするんだ?」



「そうですね。先に買っておいてゆっくり、渡す計画でも練るのではないですか」



「ふうん。そうか」



シエルとセバスチャンが二人で街中を歩いているのは、残念ながらデートの為ではない。



今年からバレンタインデーのチョコレートのデザインを、ファントム社社長であるシエルが手掛ける事になった為、所用で外出したついでに店の様子を見に寄ってみたという訳である。


「それにしても…」と、セバスチャンは店先へ目をやりながら、



「やはり、と言うべきでしょうか。坊ちゃんデザインした我がファントム社のチョコレートはトップの売上げですね」



「製菓も兼ねている我が社が、この行事に乗らない訳にはいかないからな」



シエルの手掛ける商品は、製菓でも玩具でも常にトップの成績を誇る。



だが、シエルはそれに甘んじたり慢心などもせず、日々新商品の開発に尽力を注いでいる。



絶えず前進だけを目指すその姿勢が、世界に誇る一流企業、ファントム社たる所以なのだろう。



「時に坊ちゃん」



セバスチャンは店先を横に見ながら口を開く。



「私にも、バレンタインのチョコレートを頂けませんか」



普段と変わらぬ、さりげない口調にシエルは思わず前のめりに転びそうになるが、それでも何とか持ちこたえると、



「なっ何を言うかっ。大体、何で僕が…」



「坊ちゃん。もう少し、お声を小さく」



シエルはハッとし、口に手をやる。



道行く人々が、通りすぎ様こちらを見ているのが分かる。



シエルはゴホンと一つ咳払いをすると、



「馬車に戻るぞ」



と言うと、クルリと背を向けて歩き出した。



「はい」



来た道を戻りながらシエルは、自分のやや後ろを歩くセバスチャンに問い掛けた。



「さっきは、何で急にあんな事を言い出したんだ?」



「いえ。バレンタインデーと言えば、好きな相手にチョコレートを贈る日。それならば、私も愛する坊ちゃんから頂きたいと思いまして」



セバスチャンは笑みを浮かべながら、人目を憚る事なく答える。



「悪魔のお前が、チョコレートなんか欲しがるのか?」



その2へ続きます†