この小説は、チェルシー・チエルによる妄想小説です。
黒執事関係者各位様とは、一切関係ございません。
注意・こちらの小説には、ネタバレも含まれております。
黒執事二次小説・シエル誕生日・年末年始・特別企画
「薔薇が咲いた」
バラが咲いた バラが咲いた まっかなバラが
淋しかった僕の庭に バラが咲いた
たったひとつ咲いたバラ 小さなバラで
淋しかった僕の庭が明るくなった
バラよバラよ 小さなバラ いつまでもそこに 咲いてておくれ
バラが咲いた バラが咲いた 真っ赤なバラで
淋しかった僕の庭が 明るくなった
バラが散った バラが散った いつの間にか
ぼくの庭は前のように 淋しくなった
ぼくの庭のバラは 散ってしまった
けれど 淋しかった僕の心に バラが咲いた
バラよバラよ 心のバラ
いつまでも ここで咲いてておくれ
バラが咲いた バラが咲いた 僕の心に
バラが咲いた・浜口庫之助作詞・作曲・歌 マイク真木
……僕の薔薇は、まだ蕾のまま。
……暖かい陽射しを浴びて、咲き誇るのを待っている。
年の瀬が近い12月、
雪がしんしんと降る中、
ファントムハイヴ家の暖炉の前で、
幼い二人が静かな時間を過ごしていた。
一人はファントムハイヴ家の当主である、
シエル・ファントムハイヴである。
彼の隣で、無邪気に笑う少女が口を開く。
「もうすぐ、シエルの誕生日ね。」
少女のあどけない大きな瞳を何故か直視出来ないでいる彼は、
口を紡ぎながら、目線を泳がせた。
まるで、触れて欲しくはないように……。
「そうだったか……?」
僕は自分の誕生日を毎年、忘れている。
悲しく、忌まわしい記憶が頭の中を駆け巡るから。
「シエルったら、嫌だわ。
毎年のように覚えてないのね。」
クスクス笑いながら、
僕の1つ年上の婚約者であるエリザベスが優しく微笑む。
「今年もシエルの誕生日を一緒に祝えると思うと、凄く幸せ。」
温かい陽射しのような笑顔で、僕をいとおしそうに見る。
幼い頃から、
ずっと傍らに居てくれた僕の中の蕾の薔薇。
「シエル?!」
「……。」
考え事をしている僕の背後から、執事であるセバスチャンが口を開いた。
「申し訳ありません。エリザベス様。主人は昨夜、よく眠れなかったご様子でしたので、本日はお疲れのようです。」
「あ……。そうだった。リジ―。すまないが先に休ませてもらうとしよう。 」
一瞬、慌てたような口調で、その場を逃れた。
エリザベスは、何も言わずににっこりと笑って頷いた。
書斎に入ると、セバスチャンがお茶を入れながら、ニヤニヤ笑っている。
「セバスチャン、何だ?!」
眉間にシワを寄せて目に力を入れながら、苛立ちを隠せない態度の僕を、セバスチャンは何かを悟っているようにニッコリと笑った。
あまりにも湖光としたセバスチャンの顔は今にも何かを言いたげで、早く話せと益々苛立った。
高級感が溢れる真っ白な花びらの形をしたカップに、澄んだ濃い目の紅茶であるアッサムを注ぎながら、僕をチラリと見る。
「坊っちゃんはいつになくエリザベス様を意識なさっているようですね。」
カップに手をかけようとした途端、僕の動きが止まった。
セバスチャンは、ふふっと不敵な笑をこぼした。
「何が言いたいんだ?」
「いいえ。何も。ただ、思った通りを申し上げたまでです。」
僕は内心、
大きな矢が心臓を目掛けて刺さったような気分になった。
執事に見られているだけで分かるほど、態度に出ていたというのか。
僕が、婚約者を、
今までとは違う目線で見ているという事を……。
゚・*:.。..。.:*・゚゚その2へ続きます・*:.。..。.:*・゚