H4ー2 OTAKU日和 -34ページ目

H4ー2 OTAKU日和

愉しいヲタク L I F E

あれ以来、

僕は、エリザベスをひとりの女の子として、痛いくらいに意識している。




彼女からの溢れる想いを、

太陽の温かい光のように感じている。






僕の中は、どこまでも暗い闇だけが広がって、

光など、どこにも無い。







いずれ、復讐を遂げれば、

僕は、セバスチャンの手によりこの世から魂ごと消える。








それが、

悪魔との契約なのだから、それでいい。









強大な力を手に入れるのと引き換えに、

強く願った事だ。









でも、

僕の中に、一輪の薔薇が咲こうとしている。











温かい太陽のひだまりを一身に集めた、

僕の中の唯一の薔薇が光を射し込もうとしている。







永遠に届かない、優しく温かい光。









少しでも、望んでもいいだろうか?











僕を照らす、太陽の日だまりを……。










それだけで、

僕がこの世に存在した理由には充分だ。










エリザベスだけが、それを与えてくれた。












僕の中の白い薔薇が、

綺麗に咲き誇ろんだ。














凛として僕を見つめ続ける。













僕は、いつまで君と共に生きれるのだろう。












たとえ、

僕の存在が消えても、

僕の中の薔薇だけは、永遠に優しい光に照らされ咲き続ける。












僕の、エリザベス……。








イラスト協力・Mrsけるみ



--------終了-------



「うわーん。あたし、シエルの嫌いな怖い女の子なのー!!」






突然大泣きをするエリザベスに、

僕とセバスチャンは目を見開いていた。







今まで何があったのか分からなくなるほどだった。







「はあ?なんだそれは……。」








本当に剣を振舞っていた彼女と同一だろうか?









ひっくひっくと幼い子供が泣くように、無邪気な姿にほっと安心をした。








「だって……、昔、強いお嫁さんは、ヤダッて言ってたじゃない。」






え……?








僕が幼いころに何気に言った一言を、

ずっと、覚えていたのか?









だから、

剣を振舞う姿を見られたくなかったのか?








「そ……、そんなの、

昔の話だろう……。」








咄嗟に出た言葉に戸惑う。








もっと、気の利いた事は言えないのか。









「それに……、

誤るのは、僕の方だ……。」











エリザベスは、

僕の顔を見ながら泣き止み、顔を近づけてきた。









「じゃあ、お嫁さんにしてくれる?嫌いにならない?」









「き……、嫌いなわけ……。」









突然、直球で何を言い出すのかと焦りながら、

口では本音が漏れそうになっていた。









セバスチャンの目を横目に、

今度は僕が我に返り、顔から火が出そうになるくらい真っ赤になってしまった。









セバスチャンは笑いを堪え、

「さすがの坊ちゃんもレディの前では形無しですね……」

と言いながら、今まで見た事が無いくらいに笑っていた。









ネタバレ回想・終了





゚・*:.。..。.:*・゚゚その・4へ続く*:.。..。.:*・゚ 




注意・ネタバレ/回想





あの日、

船上でゾンビに囲まれた僕とエリザベスは絶体絶命で、

セバスチャンは死神相手に苦戦をしていた。




ゾンビの矛先が一挙にエリザベスへと向けられた危機時、

彼女は大粒の涙を流し、悲しく微笑む。




「こんな……こんな……、可愛くない姿……、絶対に、シエルにだけには見せたくなかった……。」



瞳に次々涙を浮かべ、
今まで見たことない顔をする。


エリザベスの身に何が起きたのか分からず、

その場を呆然と立ち尽くしている僕とセバスチャン。




床が大量の海水に埋まり始め、

船が沈むのも時間の問題だ。




必死で彼女だけでも助け出さねばと考えていたが、

身体が動かない。




足をくじいたせいで、激痛に耐えるだけがやっとだ。




突然、エリザベスの足元の水が宙を舞い、

またたく間に床が真っ赤に染まった。





ゾンビが何体も血飛沫を上げ、次々と倒れていく。





何だ?セバスチャンか?

そんなはずはない!!!





まだ、頭が混乱していて、

状況が把握出来ない。




何も出来ない僕の目の前に飛び込んで来た光景は、

エリザベスが勇ましく両手で二本の剣を振舞う姿だった!!!!





軽く飛び跳ね、一撃でゾンビを倒す姿は、

まるで、華麗に舞っている白鳥のように見えた。




大きな無邪気な瞳はキリリとつり上がり、
可愛い笑顔を作る口元は、歯を食いしばりながら、時には大声を上げている。




普段のエリザベスからは、到底、想像さえ出来ない。




ただ、

ひたすら呆然と彼女の姿を見ていた。



僕が守らなければ……、
せめて、彼女だけでも無事に……。


可愛い無邪気なエリザベス。


ずっと、
そう思ってきたのに……。



剣を握り、涙目のまま、
僕の前に立ちはだかる彼女。



「今度は、あたしが貴方を守ってみせる!!!!」



初めて見せた勇ましい顔は、
僕の胸を締め付けた。



「我が名は、エリザベス。女王の番犬の妻!!!!」



ずっと、
婚約者に隠してきた僕の裏世界での顔。



女王の名を汚すものは、
どんな手段を使っても許さない女王の番犬。



驚愕の出来事が頭の中を駆け巡る間、
その勇ましい彼女の華麗な舞を止めたのは、

セバスチャンだった。




エリザベスは我にかえると、

たちまち普段の女の子に戻った。



゚・*:.。..。.:*・゚゚その3へ続く*:.。..。.:*・゚