†しつこく黒祭り開催中・黒執事二次小説・その執事・黒薔薇・黒祭り・番外編† | H4ー2 OTAKU日和

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愉しいヲタク L I F E

こんにちは♪

獄寺・パラリーナ・銀子です(*^▽^)/★*☆♪


私達H4メンバーによる†黒祭り・開催中†です♪


長らくお待たせしました!

「その執事・黒薔薇」番外編、お時間の許す時にでもどうか読んでやって下さいませ(⌒‐⌒)



それでは、本文へどうぞ☆




「おはようございます。坊ちゃん。お目覚めの時間ですよ」



カーテンを開けながら、執事セバスチャンが声を掛ける。



シエルはベッドでもぞもぞと動き、窓から射し込む朝の光りに目を細めながらゆっくりと起き上がる。



その後、セバスチャンの淹れたモーニングティーを楽しむのがファントムハイブ家当主シエルの、いつもの朝の光景である。



「今日の予定は?」



シエルは、カップを口へ運びながら聞いた。



今朝のティーセットは、金の縁取りにボルドー色の薔薇が華やかに彩られたもので、紅茶は上質な香りと鮮やかな紅褐色のアールグレイだった。



ティーセットも紅茶葉も、セバスチャンが全て主人に合う最良のものを、自らの目で選び購入して来る。



「本日のご予定は特にございません。ちょうど天気も良い事ですし、お庭を散歩などされてはいかがでしょうか」



シエルはカップを受け皿へ置きながら、意外そうな表情をした。



「何だ。予定がないとは珍しいな。…そうだな。たまにはのんびり散歩でもするか」



そして、身仕度を整えた後シエルはフッと笑みを見せた。



「ただし、お前も一緒にだぞ。セバスチャン」



「光栄です。マイロード」



その後、朝食を済ませセバスチャンと共に中庭へ出たシエルは、驚きのあまり目を見張った。



「これは…」



中庭の全ての花壇が、シエルお気に入りの白薔薇を筆頭に、ピンク、赤、黄、紫と色とりどりにその可憐で優美な姿を咲かせている。



「綺麗だ…。そうか。今朝のティーセットの柄といい、お前が庭を散歩とは珍しい事をと思ったが、この為だったんだな」



シエルは振り返り、セバスチャンに悪戯っぽい笑みを向けた。


セバスチャンはニコッと微笑み、



「ええ。是非とも坊ちゃんにご覧になって頂きたいと思いまして」



「それに…」と続けると、



「フィニも、坊ちゃんに喜んで頂こうと、懸命に世話をしておりましたから」



「そうか。たまにはフィニを褒めてやるかな」



薔薇の高さはシエルの肩くらいまであり、それが通路を挟んで左右いっぱいに広がり、青く澄み渡った空の下美しく咲き誇っている。



正に、見事なローズガーデンと言おうか。



シエルはゆっくりと歩を進める。セバスチャンも後ろから静かに付き従う。



歩いて行くと、左右から甘い香りが漂い二人を優しく包む。



ふいに静かな風が吹き、花びらが数枚空に舞った。



やがて中庭の中央まで来ると、左右を見渡しセバスチャンに笑みを向けた。



「まるでお前と二人、薔薇達に囲まれているようだな」



「ええ。坊ちゃん」



二人は、優しく微笑みを交わす。



ふいにセバスチャンの顔が近づき、あっと思う間も無くキスをされた。



シエルは目をパチクリし戸惑いを見せたが、触れた唇の暖かさや自分達を包み込む薔薇の香りに、いつしか気持ちも軽くなりゆっくりとセバスチャンの背中に腕を回していった。



二人が今いる場所は、屋敷からは見えない。セバスチャンはその事を良く承知していた。



やがて唇が静かに離れると、シエルは頬を赤らめ慌てながら辺りを見回し、



「ばか!こんな所で…。使用人達に見られたらどうするっ」






「ご心配なく。この場所はちょうどお屋敷からは死角になっておりますので」



セバスチャンはニコッと微笑む。



「そ、そうか。…でも、ここではやめろ」



シエルはふいに踵を返すと、



「そろそろ戻るぞ」



「はい、坊ちゃん」



二人が来た道を引き返して行くと、屋敷の方からフィニが何やら慌てた様子で走って来るのが見えた。



「ぼっ坊ちゃ~んっっ」



「どうした。騒々しい」



フィニはシエルの前まで来ると、荒い息を整えるのももどかしく口を開いた。



「いっ今、エリザベス様がいらしてるんですっ」



「エリザベスが?…分かった。すぐ戻るから応接間で待つように言え」



「はい~っ」



フィニが屋敷へと急ぎ戻って行くのを見ながら、シエルはセバスチャンと顔を見合わせフフッと笑う。



「のんびりした時間は、ここまでだな。セバスチャン」



「さようでございますね。…本音を申しますと、私としては少々残念ですが」



セバスチャンは、ややかがみながらシエルの耳元に囁くように言い、笑みを見せる。



「ばかっ。くだらん事言ってないで戻るぞ」



「御意」



シエルは先に立って屋敷へと足早に戻りながら、小さく呟いた。



「…そんなの、僕だって同じだ」



―一方、屋敷のホールではメイリン、フィニ、バルドの三人が困惑した表情で、所在なげに立っていた。



「シエル坊ちゃん、まだお戻りにならないのだか。婚約者様をあまりお待たせしちゃ失礼だよ」



「僕、お庭で見つけてちゃんと伝えたよっ。そろそろ来るんじゃないかなぁ」



「庭と言やぁ、フィニが坊ちゃんに見てもらうんだって、随分頑張って世話してたよな。どうだ。呼びに行った時何か言われたか」



「ううん。さっきは急いでたから…。でもいいんだ。見てもらえただけで」



フィニはヘヘッと笑う。



そこへシエルとセバスチャンが戻り、三人に目を止めると、



「どうした、お前達。そんな所で」



「あっ坊ちゃん。お帰りなさいっ」



「坊ちゃんっ。エリザベス様が…」



「ああ。フィニから聞いた。行くぞ。セバスチャン」



「はい」



シエルは再び歩き出した足をふと止め、振り向くと、



「フィニ」



「は、はいっ」



「薔薇がとても綺麗だったぞ。頑張ったな」



シエルはニコッと微笑むと、エリザベスが待つ応接間へと歩いて行く。



思いもよらなかった主人からの嬉しい言葉に、フィニはしばらくぽかんとしたままシエルの背中を見ていたが、やがて大きな瞳を更に大きく開かせると、



「ありがとうございます!」


と、思いきり頭を下げた。


再び顔を上げたフィニは、頬を紅潮させ、嬉しさを顔いっぱいに表しその瞳にはうっすら涙が滲んでいた。



フィニのそんな様子を、メイリンとバルドは微笑みながら見守っていた。



その頃、応接間では…。



「シエル~ッ、会いたかった~っっ」



「わ、分かったからエリザベス、会う度いちいち抱きつくのやめろっ」



「あーまた言った。もう、リジーって呼んでって言ってるでしょう」



以上、毎回恒例となっているシエルとその婚約者リジーことエリザベスとのやりとりである。



シエルはエリザベスの強烈な挨拶から何とか離れると、軽く咳払いをし、



「ところでリジー、また伯母様に内緒で来たのか?」



「だって、シエルに会いたかったんですもの」



エリザベスは微笑み、チロッと舌を出す。



「いらっしゃいませ。エリザベス様」



「あら、セバスチャン。ごきげんよう」



セバスチャンのキチッと一礼した挨拶に対し、エリザベスもドレスの裾をちょっと持ち上げ貴族のレディとしての挨拶で応える。



「お客様のおもてなしもせず、申し訳ありません。実はエリザベス様にぴったりの、とっておきのティーセットをご用意してございます」



セバスチャンは、指を自分の唇に当てながらニコッと微笑む。



「まぁ!セバスチャンのとっておき?早く見たいわっ。ね?シエルッ」



「あ、ああ」



「では、レディ・エリザベスへのおもてなしも兼ねてすぐお持ち致します。少々お待ち下さいませ」



セバスチャンが紅茶の用意をするべく席を外すと、エリザベスは「そういえばっ」と思い出したように手を叩き、



「さっきシエルから薔薇の香りがしたわ。香水でも着けてるの?」



「そ、そんな訳あるかっ。さっきまでフィニが育てた薔薇を、セバスチャンと見に行ってたんだ。その時服に香りが着いたんだろう」



「まぁ!薔薇を?」



と、瞳を輝かせてシエルの手を取り、



「素敵!私も見たいわっ。お願いっ。シエルッ」



「ああ。紅茶を飲み終えたら、一緒に見に行こう」



シエルは、微笑みながら言った。



「お待たせ致しました。坊ちゃん。エリザベス様」



セバスチャンがカートを押しながら入って来る。



「こちらがエリザベス様にお似合いと思い取り寄せました、イギリスはバーレー社の〔アジアンティックフェザンツ〕でございます。紅茶はハーブのローズヒップをご用意致しました」



セバスチャンは、二つのカップに静かに紅茶を注ぐ。



暖かな日差しが差し込む中、ハーブの爽やかな香りがゆっくりと部屋を満たしていく。



「ありがとう、セバスチャン。素敵な香りね。それに、さすがセバスチャンのとっておきのティーセットだわ。すごい素敵!私のがレッドでシエルがブルーね。…あら、これは何かしら。鳥?」



エリザベスはカップを持ち興味津々で見入ってたが、カップの模様に目を止め首をかしげた。



「エリザベス様、それは孔雀という東洋に生息するきじ科の鳥でございます。ティーセットの〔アジアンティックフェザンツ〕というのも、[アジアの孔雀]という意味ですので」



セバスチャンはいつもの如く、ハキハキと答える。



「ほんとセバスチャンはすごいわ!紅茶の淹れ方もとても上手だし。ねっ、シエル」



「ああ…。ところで、お前がハーブティーを出すとは珍しいな」



「はい。本日はレディ・エリザベスがお見えですから、美容に良いと聞くローズヒップを…」



シエルは、飲みかけの紅茶を吹き出しそうになるのを何とか堪え、



「おい、ちょっと待てっ。僕に美容は関係無いだろうっ」



「あら、いいじゃない。一緒に綺麗になりましょうよ」



エリザベスはフフッと笑う。



シエルはぷいっと顔を背け、残りの紅茶を飲み干す。



「そうだ。セバスチャン。レディが薔薇を見たいとのご要望だ。後で中庭へ案内するぞ」



「かしこまりました」



かくして、シエル達三人は中庭へと向かう。



ローズガーデンを目の当たりにしたエリザベスの反応は、シエルの想像以上だった。




綺麗!素敵!とピョンピョン飛び跳ね、両手を広げクルクルと回り出す。



今のリジーを、伯母様に見られなくて良かったと、シエルは心底そう思った。



だが、薔薇に囲まれ幸せそうなエリザベスを見ている内に、シエルの顔に自然と笑みが零れた。



「エリザベス様、あんなにお喜びになって…。これは、何かフィニに褒美を執らせては如何でしょうか。坊ちゃん」



「ああ、そうだな。…よし、フィニをここへ呼んで来い。セバスチャン」



「御意」



セバスチャンがその場を離れると、ちょうど入れ違いにローズガーデンを存分に堪能したエリザベスが戻って来た。



頬を上気させ、息を弾ませている。



「とっても綺麗だったわっ。ありがとう、シエルッ」



「いや、礼なら僕じゃなくフィニに言ってくれ」



「ああ、ここを作った庭師の人ね。もちろんそうするわ。…あっ、戻って来たっ」


シエルがエリザベスの視線を追うと、セバスチャンがフィニを連れてこちらへ来るのが見えた。


「お待たせ致しました。坊ちゃん」



「ああ。フィニ、セバスチャンから聞いたと思うが、この素晴らしい庭を作った件で何か褒美をと思ったんだが」



「そんな…。僕は、ご褒美なんていりません。坊ちゃんやエリザベス様が喜んでくれただけで、とても嬉しいです」



フィニは、照れたように頭を掻きながらニコッと笑う。



「そうか…」



シエルは、褒美はいらないときっぱり言ったフィニに優しく微笑む。



フィニ、メイリン、バルドとファントムハイブ家の使用人は、本当に無欲で謙虚である。



強欲な大人ばかり見てきたシエルは、フィニ達使用人を見ていると、心が安らぐ自分に気付く。



「とても素晴らしかったわ!ありがとうっ。あなたってほんとすごいわっ」



エリザベスはフィニの手を取り、微笑んだ。



「あっあの、エリザベス様。僕の手、汚れてて…」



「あら。そんなの、どうでもいいじゃない」



まさか使用人である自分が、主人の婚約者から手を握られるとは思ってもみなかったフィニは、慌てて手を引っ込めようとするがエリザベスは更に強く握り、離さない。



「ありがとうございます。エリザベス様」



最初、戸惑っていたフィニも遠慮がちに顔を伏せ、ニコッと微笑む。



「どうでしょう。坊ちゃん、エリザベス様。本日のランチはこちらで召し上がって頂いては」



セバスチャンの提案に、エリザベスはパアッと顔を輝かせ、



「素敵!ここでお食事が出来るなんてっ。ね、そうしましょう。シエルッ」



「ああ、そうだな。せっかくだから、フィニやメイリン、バルドにタナカも呼ぼう」



青く澄み切った空に爽やかな風が吹く中、ローズガーデンから楽しげな声が聞こえる。



当主シエルと本日の功労者フィニを中心に、皆が幸せそうに笑う中をセバスチャンが微笑みながら見守っている。



シエルは、心の中で強く思った。



『セバスチャンにリジー、使用人達とのこの日々を、三年前のあの時のように二度と手離さないっ』と…。



―完―


いかがでしたでしょうか♪
今回も、かなりお待たせしてしまいスイマセン!!!

番外編という事で、今までとはちょっと違う感じにしてみました(^-^)b

少しでもお気に召して頂けたら、幸いです(o^-')b