現在午前3時の南天が華やかになっています。オリオン座のペテルギウスとリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のボルックス、おうし座のアルデバランに加えて火星が輝いています。


1等星以上の星は以下の通りです。


天の川銀河の中心方向(いて座方向)よりも中心と反対方向(ふたご座方向)の方が1等星が多い理由は国立天文台内の日本天文学会から2020年8月に出版された「日本天文学会欧文研究報告」のVERA特集号で発表した地図を見ると良く分かります。地球(太陽系)はオリオン腕の内側の端にあり、ふたご座方向には近くに沢山の星がありますが、いて座方向は隙間が空いています。


このデータは日本の4カ所の電波望遠鏡を通信回線で結んで、直径2300kmの電波望遠鏡を構成し、春分の日と秋分の日に観測を行い、地球の公転直径3億kmを底辺とした三角測量を行い、224天体の正確な位置と移動速度を測ったものです。

天の川銀河の中心までの距離2万6000光年と太陽系の移動速度82万km/hも発表されました。つまり、太陽系が天の川銀河の中心の周りを1周するのに2億年掛かります。


尚、午前3時に見たくない人は1ヶ月で南中時刻が2時間ずれるので、2ヶ月後には午後11時に見れます。但し、その時には火星は居ません。



概要 

日本のVLBI(超長バーゼル干渉計)プロジェクトVERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry)から最初のアストロメトリカタログを提示します。VERAからのすべてのアストロメトリ結果をコンパイルして、正確な三角関数年次視差および固有運動の測定値を提供します。合計で99のメーザー ソースがVEカタログに掲載されています。そのうち、21のメーザーソースが新たに報告されました。残りのソースは、以前に発表された結果 または 次の論文の準備中のソースで参照されています。VERAアストロメトリーの精度を再検討し、BeSSeL( The Bar and Spiral Strture Legacy) SurveyやGOBELINS (the Gould' s Belt Distances Survey)などの他のVLBIアストロメトリープロジェクトの精度とVL( Very Long Baseline Array) を比較します。ほとんどのアストロメトリ結果が 互いに一致していることを確認しており、最大の エラーソースは、メーザーフィーチャのソース構造とそれらの急速な変化、および系統的なキャリブレーションエラーとさまざまな分析方法による ものです。BeSSeLの結果と組み合わせて、最新の基本的な銀河パラメーターを推定します。

Ro= 7.92±0.16stat.±0.3sys. kpc、 

Ω=30.17±0.27stat.±0.3sys. kms-1 kpc-1、

ここでRoとΩはそれぞれ太陽から銀河中心までの距離、太陽の銀河円回転の角速度です。

図4. 銀河を正面から見たメーザー源の分布。実線は、BeSSeLの結果によって特定されたスパイラルアーム構造を示しています (Reid et al. 2019)。


図5. メーザー源の銀河回転運動(左)と固有運動(右)。灰色の記号は、R<4kpcまたはV>50km s-1の 異常値を示し、MCMC分析から除外されます(本文を参照)。残りのソースは、青い記号を使用してプロットされます。青と灰色のシンボルの数は、それぞれ189と35です(合計:224ソース)。ベキ乗回転曲線(表3)と太陽運動 (U,V,W)=(11.1,12.24,7.25)( km s-1) (Schönrich et al. 2010)を持つモデルの銀河パラメーターを使用して、ベクトルをプロットします。