位置天文衛星「ガイア」が凄い
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」の観測データを用いて、銀河がどのように動いているのかについて研究を行いました。「ガイア」の主目的は天の川銀河に含まれる恒星の位置と動きを調べることですが、近距離にあるアンドロメダ座大銀河やさんかく座銀河に含まれる大質量の明るい星についても観測ができました。
「ガイア」はソユーズ2ロケットで、地球から約150kmの距離にあるL2ラグランジュ点に打上げられました。L2ラグランジュ点は熱的に非常に安定した環境であり、そこで地球による太陽の食を避けるリサージュ軌道を描きます。
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従来、天の川銀河がアンドロメダ座大銀河に近づいて40億年後に正面衝突すると予想されていましたが、「ガイア」の観測により、天の川銀河とアンドロメダ座大銀河が共に近づいて、1回すれ違った後に、Uターンして再び近づいて46億年後にゆっくり合体することが分かりました。


更に、アンドロメダ座大銀河の近くに居るさんかく座銀河が先にアンドロメダ座大銀河に衝突すると思われていましたが、さんかく座銀河はアンドロメダ座大銀河とすれ違って違う方向へ移動することも分かりました。

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2020年12月の天の川銀河の衛星銀河である大小マゼラン雲に含まれる星の動きを分析した論文では、大マゼラン雲に渦巻き構造が存在することや、小マゼラン雲から星が流出していることなどが明らかにされた。



ガイアがとらえた小惑星の2022年6月13日における位置、および10日間での移動量。青は地球接近小惑星、緑は小惑星帯の天体、オレンジは木星トロヤ群(提供:P. Tanga (Observatoire de la Côte d'Azur))