地球サイズの電波望遠鏡
「地球サイズの電波望遠鏡でブラックホールの撮影に成功」と言う記事を沢山読みましたが、地球サイズの電波望遠鏡の説明が不十分なので、説明します。
自然の音は、色々な周波数の音波が合成されて出来ています。これによって、単一周波数の人工的な音波よりも音色が綺麗です。この色々な周波数に分解する計算のことをフーリエ変換と言い、色々な周波数を合成する計算のことを逆フーリエ変換と言います。
2つの単一周波数の波は位相を合わせて重ね合わせると強調され、位相をずらして重ね合わせると減衰します。これを干渉と言います。
つまり、遠く離れたパラボラアンテナで検出した波をフーリエ変換し、これを干渉させて増幅し、逆フーリエ変換して波を元通りに戻せば、離れた距離と同じ大きさの大きなアンテナで検出したことと同じになります。
これを光学望遠鏡でやろうとすると光の周波数は電波の10万倍なので、フーリエ変換、干渉、逆フーリエ変換の計算が間に合いませんが、電波の周波数は6GHz程度なので、コンピュータで計算が可能です。
また、地球規模で電波を干渉させるには正確な原子時計がそれぞれの場所で必要です。
さらに、世界6箇所のパラボラアンテナの疎らなデータから補完してブラックホールの画像を再現するアルゴリズムを開発したマサチューセッツ大学院のケイティさんの説明が分かり易い英語なので、ご覧下さい。
なお、もっと詳しく知りたい方はフーリエ変換、干渉、逆フーリエ変換の勉強をお願いします。ちなみに、2k+1=31次までの高周波成分を重ね合わせて矩形波を作ると下図の様になります。