#41「PROLOGUE OF EPILOGUE 新世界の幕開け」(本誌ネタばれあり) | 塗櫛のブログ

塗櫛のブログ

そしてYJ連載中の「テラフォーマーズ」に夢中。
テラフォーマーズ感想についてはほぼ初見の勢いで書いてますので、
文章が荒ぶっています点をご了承の上お読みください。

ようやく!

ようやく連載が再開です待っていました待っていた甲斐がありました巻頭カラーそして53ページ!

……1年ぶりにブログを書く身にはなんというか試練が凄い感がありますが、皆さま再びよろしくお願い致します。

連載再開と共に感想ブログとして、毎週更新していきたいと思います。

ちなみにこの1年何をしていたかといえば相変わらずサッカー三昧に生きつつ新たにゲーマーというジョブを手に入れました。

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います。
 
 
 
 
 
 
 
 
--------------------------キリトリ-------------------------

『日本、侵略!!』
多様な変化を経て頂点に君臨した人間という種族と、変化をせずとも環境の中で生き延びる術を得たゴキブリという種族。
地球という人間の、ゴキブリの故郷で始まる戦いは、この地を我物とするのはどちらなのかという、戦争とすらいえない殲滅戦。
だがこの生物が、人間よりもはるかに高い身体能力を持つテラフォーマーという生物が、元はゴキブリという昆虫であるということを、多くの人間は知らない。
知るわけがない。
かつて人間が火星に撒いた種だということを、そして希望の種だったはずのそれが、何かの作為によって災いの種に変じたことを知るわけがない。
撒いた者達が隠していたのだから。
21年前、それを知った者達もまた、その口を閉ざしたままだったのだから。
今を生きる者達が、闘う者達がその人生を覆されるほどのものだったのだから。
例えば、ミッシェル・K・デイヴスという1人の女性。
彼女は火星という星を、その星に住まうテラフォーマーという生物を父親の仇なのだと信じて生きて来た。
それが、彼女の魂を支えている最も深い場所にあるものだった。
それを覆されるということは、人生そのものを否定されるも同然だ。
彼女の仇は、テラフォーマーではなかった。
彼女の父は、人間によって殺されたのだ。
人間が撒いた災いの種、人間による裏切り、そして人間による父親の死。
きっと気付いてはいたのだろう。
けれど、己の意志を持ってその事実に向き合う事と、当事者から事実を、真実を聞かされるのは同じ内容であっても全く違うものだ。
彼女の心を折るほどに。
それは向き合うという行為そのものに対してどれほどの覚悟が必要なのか、どれほどの強さが必要なのかということを表している。
その事実を知りながら口を噤んでいた彼らのように。
その事実を忘れられるわけもないのに、目を逸らしていた彼らのように。
21年という歳月を経た今、ようやく一郎はかつての己の過ちを口にし、謝罪する。
言ってしまえば、認めてしまえば、それは彼らにとって望まぬ結果をもたらすだろうと。
だからこそ、21年もの間それに触れることなく歩んできた。
彼らが、彼が覚悟をするまで、21年という月日が必要だったのだ。
望まぬ結果を覆す程の覚悟と決意を手にするまで、21年かかったのだ。
謝罪の言葉を口にするまで、21年かかったのだ。
裏切らなければ、小吉は大切な人を失うことはなかっただろう。
それなのに、互いに目を逸らし続けたが故に、そして小吉自身の持つ強さが歪んだ錯覚を与えた。
受け入れてしまうところだった。
忘れられるわけがないのに。
忘れるわけがないのに。
21年前の過ちは、今までもこれからも許されることはない。
許さなくていい。
一郎にとって謝罪の言葉に、その行為には微塵たりとも疎略な想いなど無いだろう。
彼の魂にかけた言葉と行為だろう。
だが、違う。
今彼らが居るこの状況において、その言葉はある意味小吉の感情を揺り起こすものだった。
目を逸らしていたことを、誤魔化していたことを突きつけられたことで激情をあらわにした。
出来もしないくせに。
忘れることも、許すことも出来るわけがないのに。
それをぶつけることすら出来ず、器の大きさ故にただひたすらその身の内に抱え込んで生きてきたのに。
その不器用さが、付け込まれる要因となった。
己のエゴを貫く為に、火星で死にたいというその願いを叶える事など許しはしない。
それは、21年という歳月を誰よりも近く、誰よりも遠い場所で見続けてきた一郎だからこそ言える言葉だろう。
バグズからの記憶を、その地獄を唯一分かち合える存在だからこそ言える言葉だろう。
21年前、親友が告げたのと同じことを言葉を変えて彼もまた言うのだ。
死ぬなと。
だが、言葉が小吉自身に届いたとしても、その身体は彼のものではない。
それでも一郎は誓うのだ。
死にはしないし、死なせはしないと。
例え自分の立場が既に失われたとしても、今の彼にとっては目の前の男を連れ戻す方が重要なのだ。
21年前の過ちが今、彼に襲い掛かってきているとしても。
本来機密情報であったそれを、その音声そのものを誰が流したのか。
世間はそんなことを気にはしないだろう。
危機的状況である今、その情報に疑念を抱くことすらしないだろう。
全てが仕組まれている情報操作の元にこの放送が流されていること、そして一郎の失われた立場を継承した男こそが真の敵である一族のものであるということなど、考え付きもしないだろう。
今まさに地球人が団結しているという現状を、それをまとめ上げている劉就武が<祈る者>と向き合い、講和を求める瞬間を流すことで、希望を持たせようとするその演出。
そして世界に己が頂点に立つ人物なのだと知らしめる劉就武自身の野望。
全ては<神奸達>の手による完璧な作戦に見えた。
相手がテラフォーマーでさえなければ。
<祈る者>でさえなければ。
かつて21年前、小吉と対峙し人間を神と敬い、そして何よりも人間を憎み、蔑んだその存在でさえなければ。
人と蟲の対話など、出来るわけがない。
人間から手に入れた能力で人間を屠り、集まった記者たちを逆に利用することで更なる攻撃の合図を送る<祈る者>。
そしてそれを「観る」者たち。
闘争でありながら戦争ではなく、互いが互いを殲滅するための争い。
そしてその場に立てるのは『人間』と『人間以外』。
彼が指す「人間」とは如何なる存在なのか。
そして彼自身は「人間以外」のものとして立つというのか。
『いきなり中国主席死亡!
VSゴキブリ戦争は
1ミリも予断を許さぬ次号へッ!』
互いに小吉につけられた傷を残した者同士は、何との、誰との因縁に決着を付けるのだろう。


・巻頭カラー
『お待たせしました!!
ついに…連載再開ッ!!!』
毎回思うのだけれど、この小さい『ツ』の使い方がとても刃牙っぽい。
刃牙という作品に惚れ込んでいるだろう両先生の事を考えればむしろ編集さんがよくわかっているというべきか。
『宇宙イチ
しぶといG(ヤツら)と、
宇宙イチ
熱き地球戦死たちの
「生存」かけた大戦争!!!
再開初っ端から、
燃えに燃える53P!!!』
本誌の通りに改行すると無駄に行数を取りますね。
しかし連載再開と同時にこのボリューム。
リハビリには少々贅沢過ぎるページ数ですね。
あと右下の『おくすり手帳』が気になって仕方がないというか何故このチョイスですか。
これをもって薬局へ行ったら裏手からこっそりと危険な薬を出されるような気がしてならない。
企画や情報については書き終わった後にまとめます。

・頂点たる生物
多くの生物の頂点に君臨する種族、それが人間。
だがそれはあくまでも今現在は、ということに過ぎない。
爪も牙も毛皮も持たない生物が何故頂点に君臨しているのかといえば、それは道具を得たからこそであり、決して種として進化をしたから強さを手に入れたわけではない。
人間自体は道具、武器が無ければ生物的には脆弱とも言える生き物であり、生物としては進化していない、停滞している種だ。
それは個体の生命が長いということ、進化の機会そのものが少ないというのもあるだろうが、何よりも種として進化するよりも、周りの環境を変えるだけの力を得たというのが最大の要因だろう。
自らが進化する必要などない、自らに周りを合わせればいい。
それが人間の進化が停滞した理由であり、頂点として君臨している理由でもある。
だが、ゴキブリという生物は進化はしても変化はしなかった。
環境を変えるのではなく、環境に合わせてマイナーチェンジだけを繰り返しながら生きて来た生物。
同じように姿を変えることなく生き残ってきた種はほかにも居るが、ゴキブリのように圧倒的な数を維持しているのはあまり存在していない。
人間が環境を変えていく中、あまりに近い場所でその変化に動じることもなく生き続ける生物だからこそ、火星に送られたのだろう。
火星の環境を自らの手で変えるのではなく、火星の環境に己自身を適応させ、結果火星そのものに少しずつ変化をもたらすことが出来ると考えていたからこそ火星へと送り込んだ。
本来ならばそれで上手くいくはずだった。
ラハブという、神が介入さえしなければ。

 

・500年間の進化、20年前の種
テラフォーマーという種族が、その存在が「どこからもたらされたものなのか」を世界に向けて知らされる。
バグズ計画の時も、アネックス計画の時もテラフォーマーという存在は隠匿されてきた。
U-NASAという巨大な組織が全力を持って隠ぺいしたはずの事実、何故明るみに出てしまったのか。
何故今になって白日の下に晒そうとしたのか。
火星へと送り込んだゴキブリは希望の種のはずだった。
けれど、火星にいるはずもない神が、人類にとっての悪魔がその種を災いの種へと変えてしまった。
それは、一部の人間しか知らなかった事。
知るはずが無かったこと。
けれど、それが今世界に向けて発信されている。
誰の、何の意図があってのことなのかは、蛭間一郎という人間の立場を、第503代日本国内閣総理大臣の地位をはく奪するために仕組まれたことだというのは明確だ。
一郎が総理大臣という地位にいたからこそアネックス計画において日米は合同班として扱うことができ、そしてミッシェルさんと燈という新たな可能性を持つ2人を敵の手に渡すことなく済んだのだから。
だからこそ、コスモポリタン側にすればこれ以上ない目障りな存在ともいえる。
一郎を襲撃し、1週間という期間を経て今日辞任する、せざるを得ない状況を作り上げておきながらそれでも足りないのだ。
彼の手から、権力というものをはく奪するだけでは足りないのだ。
綿密に計画を立て、利害が一致しているというそれだけで中国を利用し、果ては今起きている異種間戦争の全ての責任を1人の男に背負わせようとしている。
同じ土俵に立たせることすら危うい程の男であることを認めているからこその徹底した計画。
きっと、ジョセフ自身がそういう男であると認めている、ということになるのだろう。

・21年
21年。
21年、彼らは共に歩みながら目を逸らし、互いの間に埋められぬ溝を持ったままだった。
目を逸らしていた。
けれど、忘れたことなど無かった。
自分がかつて行った過ちを。
裏切りを。
21年、彼らは共に歩みながらもその心情を、心の奥底で何を思っていたのかをまさか再開早々に語られるとは思いもしなかったし、最も知りたかった、けれど知ってしまったらバグズの物語が終わってしまうのではないかと思っていた事実をまさか再開早々ここまでのボリュームで突きつけられるとは思いもしなかった。
いや、確かに休載前を考えれば、まさに小吉と一郎が対峙した時点で遅かれ早かれ互いの感情をぶつけなければならない展開は来るだろうとは思っていたけれど、こんなにも不器用でこんなにも熱いぶつけ方をするとは思っていなかった。
互いにあの出来事を忘れてはいなかったけれど、忘れられるのかもしれないと、許されるのかもしれないと思ってしまった、願ってしまった一郎。
忘れられるわけがない、許せるわけがないと思いながら、それを口に出すことはしなかった小吉。
いくら懺悔したところで、失ったものは戻りはしない。
それでも、その言葉を口にしたのは。
今この時になって謝ったのは。
一郎自身がその言葉を口にした上で尚小吉の感情を、激情を受け入れるだけの覚悟をしていたから。
90億人の中で一郎だけが小吉と共有出来る過去を持っているのに、その過去を語ればきっと目を逸らしていた事実と向き合わなければならない。
だからこそ、溝を埋めようとは思わなかった。
小吉が艦長に、一郎が総理大臣になるまでの20年間の全てを清算したいと、しなければならないと一郎の方が先に覚悟を決めたのだろう。
だが、小吉はまだ覚悟すら持つことが出来なかった。
きっと、これからも覚悟などせず、目を逸らし続けながら自分だけが楽になろうとしてたのかもしれない。
自ら命を断つことなど出来るわけもなく、けれどもしかしたら誰かがこの世界から逃がしてくれるのかもしれないという期待を抱きながら。
テラフォーマーズという物語はアネックス編(火星編)がメインであることは確かだけれど、そのすべての始まりはバグズ編にある。
というよりも小吉があの時からずっとこの物語の、世界の核であり続けている。
小吉がバグズ時代から生きているからこそ物語は繋がっているのであり、彼が死んでしまえば世界は終わらずとも1つの物語は終わってしまうだろう。
21年前にアキちゃんを失って、それでも彼が生きていたのは火星で死ぬためであり何かを成そうとしていたのとは微妙に違う。
ただ最近になって思うのは、21年前にティンさんが小吉に『生きろ』と言ったことは現実だったけれど、火星編の終盤、小吉が幻覚の中でティンさんに『生きてくれ』と言われたのはあれはある種の深層心理だったのではないだろうかと思ってしまう。
「逃げたいと願っている自分」というものを作り上げ、楽になりたいだと信じ込むことで少しでも逃げるための近道を作ってきたけれど、その本音はまだ生きたいと、死にたくないとどこかで思っているのではないかと。
だからこそヤンチャオの操作を振り切るだけの強さがあるのではないかと。
まあその辺りに関しては雷博士が何かしでかしている可能性の方が大きいのだけれど、そういう考えも有りじゃないかという妄想。
あと個人的に一郎はバグズの遺産を小吉とは全く異なるベクトルで引きずっていた気がする。
小吉は2過去に囚われたままのようなところがあるけれど、一郎の場合はむしろそれがあるからこそ今立っていられるような、そんなイメージがある。
何かを置いてきてしまった小吉と、それを知っているからこそ今を生きようと、生きて欲しいと願う一郎と。
アキちゃんへの贖罪として、彼女が遺した燈を護ること、ドナテロさんへの贖罪として、彼が遺したミッシェルさんを護ること。
そして何より、小吉への贖罪として小吉自身を護ること。
一郎が燈とミッシェルさんという未来への可能性だけでなく、自分の、自分達の過去を象徴し、その過去の全てを身の内に抱えた小吉をも護りたいと思っているというのが、今の彼の強さなのだろう。
しかし21年間、互いに溜め込んだものを晒すこの格好良さ。
特に一郎の格好良さ。
以前(#24)の時に小吉のあまりに気弱なその態度にミッシェルさんが引っぱたいてくれればと書いていたことがあったけれど、まさか一郎が掌底で引っぱたくどころかぶん殴ってくれるとは。
ただ、そういう意味では一郎にしか出来ないことだろう。
21年前を知っているからこそ、小吉がこうなってしまった原因の一端を自分がになっているからこそ、その責任を取るべきだという格好良さ。
そして2人の不器用さ。
いい大人なのだから、もっとスマートな解決方法だってあったのかもしれない。
いや、普通の大人であればそうしただろう。
だけど彼らはあまりにも複雑で、不器用で、結局のところは真っ直ぐすぎて。
目を逸らしていた。
けれど、忘れたことなど無かった。
抱え込んでいた。
吐き出したかった。
そのきっかけを作れるのが一郎しかいなかった。
それがわかっていたからこそ一郎は自らここに赴くことを良しとしたのだろうし、その前にミッシェルさんに真実を告げたのだろう。
小吉に逃げるなと叫んだその言葉は、きっと逃げることなく歩むのであれば自分が再びその横にいるという意味をも含んでいるのかもしれない。
21年、共に歩んで来たのだから。

 

・ミッシェル・K・デイヴス
彼女は火星こそが、テラフォーマーこそが父の仇なのだと信じていた。
そう信じて生きてきたのだし、だからこそ自分自身が火星という地に向かう事を決意した。
その為に手術を受け、成功率が20%に満たない任務に参加することにしたのだ。
けれど、一郎が告げた真実は彼女の人生を真っ向から否定した。
彼女が何の為に戦ってきたのか、その全てを否定されてしまった。
ドナテロさんはテラフォーマーに、火星に殺されたのではなく人間の手で殺された。
ずっと、信じてきたのに。
ずっと、前を向いて走ってきたのに。
仇を討つために生きて来たのに、その思いを根底から覆されてしまった。
何度かミッシェルさんが仇を討つべき相手はテラフォーマーではないということを知った時、彼女がどうなるのか心配だということを書いたことがあるのだけれど、その懸念が今になって的中してしまったような気がする。
一郎はそれを秘しておくこともできたはずなのに、彼女に敢えて告げてから小吉へと対峙した。
この後の展開を見れば、もちろん一郎が言わなかったとしても知られてしまうことではあっただろう。
彼女自身も気付いていたのかもしれない。
あの2人と同じように目を逸らしながら、それでも己の脳裏にちらつくその考えを否定しきる事など出来なかったし、しかも当人からその話を聞かされたとなれば、火星でどんなに誇り高く戦っていた彼女であっても心が膝を折るだろう。
自分の味方であろうと信じていた相手が、父の仇そのものと言っても過言ではない存在だった。
一郎がどこまでの真実を告げたのかはわからないけれど、少なくとも自分が裏切ったせいでドナテロさんは窮地に陥ったことは知らせただろう。
実際にドナテロさんの命を絶ったのはウッドの銃弾だけれど、それも結局は最終的な手段であって、そこに至るまでの道筋を彼らが作ったのは確かだ。
そしてその父の仇は、自分が助けようとした当人を救いに行くという。
戦えるわけがない。
動けるわけがない。
それでもきっと、彼女ならもう一度立ち上がってくれると信じているのだけれど。

・戦いへと
ここで燈があえてアネックスの服を着てくれているというのが嬉しい。
彼にとって小吉を取り戻すための戦いは、そして今戦うことが出来ないミッシェルさんの想いを持っていくという意味合いも込めてあえてこの服を選んだのだとしたら。
けれど、彼らは「どこに」赴くのだろう。
このまま一郎と小吉の元に向かうのか、それとも。
それとも敢えてジョセフの方へと向かうのか。

・ヤンチャオ
蚊帳の外だからって拗ねるんじゃない。
というか彼個人は相変わらずぶれない小物感を醸し出しているけれど、ある意味言ってることは間違ってはない。
間違ってはいないがムカつくので早いとこ殴られていただきたい。

・末代までの
結局のところ中国としては、今地球が襲撃されているというこの現象そのものに対して、全ての責任を一郎に背負わせることでわかりやすい憎しみの対象を作り出し、<神奸達>も含めて自分達の全てから世界の目を逸らさせようとしているのだろう。
たった一人の人間を贄とすれば、憎しみはそこに集中する。
そしてその贄となった人間を断罪すればその存在は世界の英雄となるだろう。
そこに仕組まれた意図があるということをこの状況で気付ける人間など極僅かだろうし、気付いた人間がそれを叫んだところでもみ消されるのがオチだ。
それほどにまで各国の上層部に根付いているコスモポリタンの、<神奸達>の力は強大であり、且つその勢力を今も拡大させ続けている。
21年前に裏切った報いを清算するといえばその通りなのかもしれないが、世界中の憎しみを背負わなければならないというものなのだろうか。
命に優劣をつけるつもりはないが、一郎が今まで塔やミッシェルさんの為に何をして来たのかを考えれば、そこまでしなければならないのだろうかと思ってしまう感情があるのも確かで。
一郎に対して正統たる裁きを下す権利があるのは小吉とミッシェルさんだけではないかと個人的には思っているので、もし一郎がミッシェルさんに対して償わねばならない時が来るのであれば、その時は彼女自身の意志と力で結論付けて欲しい。

・機密の暴露
いくらジョセフがいるからとはいえU-NASAのセキュリティはもう少し仕事をしていただきたい。
スピンオフでも毎回テラフォーマーの卵が盗まれていることを考えると(物語を造り上げるためには仕方ないとはいえ)色々と獅子身中の虫すぎるだろうU-NASA。
いや、当時の一郎の音声をU-NASAが持っていたとしても、そんな諸刃の剣をいつまでも保存しておくほど馬鹿でもないだろう。
そして本多博士は現在日本の、一警護の庇護下にあることを考えれば当然その情報はニュートン一族からもたらされたもの。
テラフォーマーの持つ能力を軍事利用しているという点においてはU-NASA自体が、というよりもM.O.手術自体がまさにそのものなのだけれど、ここで冒頭にある『上層部はそれを隠した』という言葉に繋がってくるのかもしれない。
あとこの話を暴露されたシーンで、二郎の関係者であろう某国の権力者っぽい人が映っているけれど、本当この人は誰なのか。
二郎と共に「vsコスモポリタン」となった時にキーパーソンになるのだろうか。

・世論
何一つ確定したわけではないのに、メディアから流される情報だけで『蛭間首相』という言い方から『蛭間』という言い方に代わるこの描写は、何か空恐ろしいものを感じる。
一般人が送る日常というのはこういうものなのだろうとは思うが、些細であるが故にリアリティが増しているというか。
何度か書いたけれど、この状況で流される情報に対して疑念を抱くことは難しいだろうし、こういう場合は核心に近い情報であればあるほど胡散臭さを増すというのもよくある話で。
そして人間側からテラフォーマーに対して同情心を抱くという危険性。
もちろん物語の世界の中とは別に、貴家先生自身がテラフォーマーと人間の和解はありえないと明言されている事実がある以上、いくら人間側が同情を抱いたとしてもそれに奴らが応えることはないだろうし、<祈る者>であればその心情を利用する方が余程現実的だろう。
もしかしたらそう思わせる事自体もまた目的なのかもしれないが。
というかヤンマさんを犠牲にするの象徴にするのやめてください私が同情心を抱いていしまう。

・新墾ジェイソン
また新たに辞書登録する単語が増えた。
せっかく登録したからには長持ちしていただきたいけれどキャラクター的に「胡散臭い弁の立ち方をする」タイプはあまり好きではないので是非とも登録を無駄にしていただきたい。
あとお前のネクタイの柄と下まつげが気に食わない。
なんなんだ<神奸達>は下まつげが豊富じゃないと認められないのか。
というか600年後になると純粋な日本人(もちろん国籍が日本であれば如何なる民族の血を引いていたとしても日本人であるということは今も昔も未来も変わらないわけだが)でなくとも首相になれるのだなと。
少なくともハーフの議員すらあまり見たことが無い現在からすれば、民族の血というものはさほど重要視されないというか、重要視する必要が無いというか。
それにしてもこの外見はリンカーン大統領を意識しているような気がしないでもないけれど多分気のせい。

・メディア
何気にいつもの記者さんがいるのが個人的に嬉しい。
というか地元なのか京都。
それとも何かを嗅ぎ付けてこの場に居るのか。
何となくだけれど、この記者さんは最終的に二郎と組みそうな気がするというか二郎が利用するならこの人だろうなと思う。
脇役なのにこうして継続的に出てくるキャラクターに久しぶりに会うと何となく嬉しいのは自分だけではないと思いたい。

・会見
日本という国に侵略行為をしているわけだから、その総司令官が居るのは確かにおかしくはないだろうけれど、何故グッドマン大統領ではなく劉就武なのかというのは世間としては当然の疑問だろう。
読者側としては中国という国がアネックス計画の中で何をしたのか、そして何をするつもりなのかを知っているから彼がここにいることに対しては当然のものとして受け入れることが出来るが、日本という地で、最古の都に彼が訪れたのか。
ただ、<祈る者>がここにいる理由としては、既に#30で日本に来ようとしていたのか、その答えがこれだったのだろう。
しかしこの時点で朝太郎との戦いを経て満身創痍ともいえる<祈る者>、実はずっと右手を出していないというのが。
というよりも「右手を見せない」ことを徹底的に意識したカメラワークになっているのもまた布石とも言える。
握手という行為に対してあえて逆の手を出すという行為も<祈る者>にすれば文字通りそれしか出す手が無かった。
劉就武にすれば、彼のシナリオは完璧だっただろう。
怒涛のように情報を流し、更には一郎という人類共通の敵を作り上げ、その中で自分がこの場に立つことで救世主としての立場を得る。
完璧だった。
今後の国際情勢の中で、世界の中で英雄としての立場を不動とする、完璧なシナリオだった。
相手が<祈る者>でなければ。


・蔑み
所詮は虫けらなのだと見下し、彼の完璧なシナリオを茶番と見抜いているかのようなこの蔑みの表情。
<祈る者>にすれば会見というこの場は、最後の指令を出すためにメディアを利用するだけの場に過ぎない。
この<祈る者>の表情の凄さ。
人間を蔑み、侮蔑するあまりに人間臭いこの表情。
研究の果てに新たに生まれたあの生き物たちは人間らしい表情をあらわにすることなど無いのに、それを生み出した当人はあまりにも人間に近い感情とそれを表す手段を持っているというのはなんという矛盾で皮肉なのだろう。
というかここに<祈る者>が五体満足でいるという事実を考えると、朝太郎は一体どうなっているのかと考えるとやめてください辛い。

・左手
最初に見た時どちらのコマも両方左手状態だったのに気付きはしたものの、これはミスなのか演出なのかと思っていたけれど話を読み返し、更にテラフォーマー達に指示を与えているコマにおいても両の手が左手であることを、<祈る者>の右手が朝太郎との戦いで失われていたことを考えるとこれはこうなるべくしてなった形なのだろうということがわかる。
というかやはりお前がスズメバチの特性持ちだったかと。
だが、小吉からその特性を奪った時は針を引き抜いただけに過ぎない。
そして155話で小吉がジョセフと戦った時に失ったのは左手。
恐らく<祈る者>のこれが、火星で失った小吉の左手そのものであり、どのタイミングで誰がそれを手渡したのかはわからないが、まるで接ぎ木のように移植したのだろう。

実際に腕以外には特に人為変態した時の特徴が出ているわけでもない。
あの戦いの後、腕を回収したのがコスモポリタンの人間であればそれを確保し、ある種の「保険」として保管していてもおかしくないだろう。
正確には特性持ちというより、スズメバチの腕を移植しただけということになるのだろうけれど。
あまりに細く、火星に初めて降り立った時にアキちゃんと繋いでいたあの手が敵のものとして人を殺している。
そう考えると、燈はもちろんだけれどそれ以上に小吉が<祈る者>との因縁に決着を付けなければならないのではないか。
だからこそ、逃げずに生きなければならない。
バグズからの因縁を、小吉こそが絶たなければならない。
出来るのならば一郎と共に。
そうすればきっと、今度こそ2人は共に歩むことが出来るはずだから。

・兄弟
揃って左頬を小吉の針で貫かれている辺りがなんというか。
劉さんは色々な意味で嫌そうな顔をしそうだ。

・中国班
彼らは劉就武が倒されたことを知っているのだろうか。
もしそうであれば、劉さんの遺志を知っている西さんと紅ちゃんにすればこんな形で劉就武が死んだということに溜飲が下がるのか、それとも。
少なくとも山崎圭太(仮)は劉さんの遺志を、真意を知らないだろうから西さんと紅ちゃんだけが何らかの感情を抱くことになるのだろうけれど。
そういえばまだ山崎圭太(仮)の特性も判明はしていない。
何となくだけれど紅ちゃんと同じようなものではないかと思っているのだけれど。
以前劉さんについて「彼は起こしたことの、多くの非戦闘員を殺したことの清算をいつかしなくてはならない」と書いたことがあったけれど(156話)、結局のところ劉さん自身はその清算をすることはなく、彼だけが望む世界へ先に逝ってしまった。
だが、彼に命令を出したこの男が結局のところ多くのテラフォーマーに殺された非戦闘員たちと同じように、テラフォーマーの手によって殺される。
因果応報と言ってしまえば簡単な話だが、こういう形で結末が付いたことを1つの区切りとするべきなのだろう。
あと個人的に紅ちゃんが全体的に丸くて可愛い。

 

・上陸
ゲンゴロウ型のテラフォーマーが上陸するとともに別のテラフォーマーが背負う形で走っているけれどこれのベースはなんだ。
鶏かなと思ったけれど、足の形を見るとダチョウかもしれない。
というか上陸したゲンゴロウが何かの役に立つとは余り思えない……単に水場を確実に得るために移動させているだけなのだろうか。
まあシュールな光景だなとは思うし、これを見ていたら何とも言えない笑いが漏れそうだ。



・人間と人間以外
人間側に染矢、一郎、小吉、燈、ミッシェルさんが並び人間以外の側にジョセフと<祈る者>が並ぶ。
というかここの染矢は繋ぎとしてここに配置されたのか、未だベースが明かされていないこと、そして彼自身の身体能力が恐らくジョセフと同等であることを考えてここにいるべき人物として描かれているのかも気にはなるところ。
ジョセフと<祈る者>という、共に小吉につけられた傷を持っている存在が『人間以外』として並べられているというのも気になる。
ジョセフの傷は治せなかったのか、治さなかったのか。
かつて火星で小吉に愛を教えてくれと請うたその証として残したのか、それとも己が人間であったことに対する感傷そのものなのか。
エヴァと同様にプラナリアの特性を持っているのであれば、傷を治せないという事は無いだろう。
彼女自身、たとえ頭の半分を吹き飛ばされることがあっても瞬時に再生させることが可能だし、傷も残らないのだから。
単に又貸しのような形で特性を得たから不完全という可能性も捨てられないけれど、個人的にはあえて治さなかったという意味合いだと嬉しい。
更に言うなら付けなければならない決着の時にこの傷が何か作用してくれたらいいなと思うけれど、どちらかというとそれはジョセフよりも<祈る者>の方が可能性が高いかもしれない。

・因縁
ジョセフという人間が何者なのか、未だその答えが出ているわけではないけれど彼もまた因縁を持っている事は確かだ。
小吉がバグズ時代から持ち続けている因縁、そしてその因縁を作り上げた一族の代表となったジョセフ。
人間という種族とテラフォーマーという種族、そして人間に限りなく近く人間を超越した種族。
彼らは、何をもって決着とするのだろう。
--------------------------キリトリ-------------------------

だから再開早々にこの重さと密度と量!
ありがとうございます!
ずっと小吉と一郎の間には決して大きくはないが埋められない溝があるだろうと思っていた自分にすれば神のようなこの回。
ようやく彼らはその溝を超えるのでも埋めるのでもなく、ただ認識するだけであっても溝があるということを認めたのだなと思うと感慨深いとかそういう言葉では足りないぐらいの何かが。

ページ数が普段の3倍あるからブログも3倍になるのではと思ったけどさすがにいつもよりちょっと多めに書く程度になりましたが何故かかかった時間は1.5倍です。
どういうことなの。
しかし目下気になるのがあの<祈る者>の左手というか小吉の左手。
キーアイテムになるのではと思っているのだけれど、結局どうなるのかというのが楽しみというか怖いというか。

さて再開と共に色々情報が来ましたね。
まずは本文にも書いたけれどおくすり手帳のプレゼント企画。
いや本当に何故このチョイスなの。
抽選で70名は割と狭き門ですが張り切って応募したいと思います。
応募要項については本誌を参照してください(購入者の特権です)。
締め切りは5/10(木)当日消印有効と少々早めです。
そして再開に伴い電子版というかヤンジャン公式アプリでは最新話が無料、更には単行本未収録の#34~#40までも期間限定で無料です。
これについてはどちらも5/9までなので、読み返したい方は是非。
ヤンジャン公式アプリが使えない方は、#34~#40については公式サイトからも読めるようになっています。
あと公式サイトにて質問コーナーが作られていますね。
こちらも5/9までなので聞きたいことがある方は是非。
ちなみに回答は公式ページとTwitterの公式アカウントで公開されるそうです何それちょっと怖い。
何を質問するつもりだ。
書籍についてですが、今回休載していたことで延期になっていたアニメDVD同梱版21巻は8/17(金)に発売予定、¥3,500。
単行本とDVD、SP特典シールが付いてくるそうです楽しみ!
予約の締め切りは6/21(木)です。
そしてリミックス版として「テラフォーマーズ NEW EDITION」が発売されています。
手に入れるためにコンビニ4軒回ったのにどこにもなくて結局Amazonでぽちったのが私です。
表紙が書き下ろしなのもあるけれど、個人的にはバグズ1号の話が紙媒体で読めるというのと、巻末の貴家先生のインタビューが中々に面白い事が書いてあったので買って良かったかなと。

久しぶりにブログを書くために色々と火星編も地球編も読み直して、やっぱりテラフォは面白いと実感しました。
またよろしくお願い致します。