ええ話します。
タイトル「お菓子と認知症」
「長谷川くん、無理しなくてもいいから・・・」。
私はヘルパーさんの制止を振り切ってお菓子を食べ続けた。
認知症のおばあちゃんが見つめる前で。
私はNHKの取材で老人ホームにいた。
機材の準備をしているとおばあちゃんがやってきた。
ポケットからお菓子を取り出し、コソッとくれた。
そして耳打ち。
「あんた、お腹減ってるんやろ?」。
30分後。先ほどのおばあちゃんが戻ってきた。
私を初めて見るような表情で「あんた、お腹減ってるんやろ?」。
手にはもちろんお菓子。
ヘルパーさんに聞くと、
お菓子をくれたおばあちゃんは認知症だという。
自分の名前も忘れてしまったそうだ。
6時間の取材で、合計12回お菓子を貰った。
7回目以降は満腹感との戦い。
ヘルパーさんは見かねて「無理しなくてもいいから・・・」と言ってくれた。
おそらく「おばあちゃんは明日になればあなたの事を忘れるから」と
続けるつもりだったのかもしれない。
しかし、私は無理をした。
完食である。
おばあちゃんの目の前で、「美味しそう」と連呼して平らげてみせた。
自分の名前を忘れても私のことを気づかってくれるおばあちゃんに
完食することでしか応えられないと感じたから。
他人のことを気づかう大切さを教えてくれたおばあちゃんに
感謝の気持ちを表したかったから。
たとえ、明日には私のことを忘れてしまうとわかっていても。
どうでしたか?
おきなのいいはなしーさー。
次回をお楽しみに。