「セブ~香港へ」③
「一人」
この時期のリゾートはめっきり寂しい・・・尽きる。雨季、師走?、クリスマス前・・・
セブマクタン国際空港に到着後、夕方着が一便だけなのかパスポートコントロールも並ぶ事もなく、“ポン”とスタンプを押されて終了、治安強化の為か入場の制限をしているのか、迎える人々も旅行会社のスタッフと思しき数人がブラブラと手持無沙汰に待っている。
・・・選んだホテルはネットで客レビュー評価の高かったホテル・・・しかし、部屋はまぁまぁだが・・・何だかウラビレ感が漂う。それに周りに何もない。
シャワーを浴びて、今夜の食事をとる為に暫く歩いてみたが、それらしきモノは何もない。
ローカルレストランでも・・・なければ屋台でも・・・探してみたが・・・ない。
しかし、歩きながら「ふと」思った。
夜が「こんなにも暗い事を・・・」街灯は殆どない。
凹凸の激しいアスファルトの上を疾走するオートタクシーのヘッドライトの光も弱弱しく通り過ぎて行く。
通り沿いには小さな長屋風のバラックが続くが、店も家も窓から漏れる光は儚い。
夜はこんなに暗いのだ!
雨季の為、雨は上がっているがお月さまも輝く星☆も厚い雲に覆われていて天からの灯りは消えている。・・・暗い。
本当は夜は暗いのだ。家も店も会社も僅かな光量だけで補えるのに、僕たちの住む先進国(後退国)は無駄なエネルギーを放出している。
明るさに慣れた僕たちは夜の本来の静寂よりも「寂しい」「淋しい」「悲しい」「空しい」・・・等の形容詞を並べ立て、嘘パチの「元気」「楽しい」「明るい」を求めている。
・・・寄り道が過ぎたみたいだ。暗さと静けさは「思い」を募らせる。
仕方ないのでホテルに戻る。
50年代の様相を施した「アメリカングラフィティ」さながらのパブレストランで食事をする。プールサイドに張り出したデッキを眺める場所に陣取った。
スタッフは5人くらい、客は僕一人・・・おっと後から白人のおじさんが入って来た。
どこに居たのだろう? 客が二人になった途端にステージに5人のバンドマン達とボーカルの女性が二人、いきなり強烈なサウンド・・・騒々しい!
折角、静寂な夜を楽しみながら食事をしていたのに、早々に切り上げる。
後進国(成長国)の静かな夜も僕たち相手だと「元気」「楽しい」「明るい」を演出するのかなぁ?・・・部屋に戻る。
何だかなぁ?・・・妙に高―いベッド(床から1mはある)に寝転がる。
もうすぐ「夢」の中に・・・。