本日は『肺気腫の病理学的分類』についてですが、実際のCT画像ではどのように見えるのかをお話してみようと思います。
『肺の解剖とHRCT』についてはこちら
http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11306474974.html
CTでいわゆる『low attenuation pattern』として捉えることができるものには肺気腫だけでなく以下のようなものがあります。
『気管支拡張(症)』→先天性(Kartagener症候群)、後天性(繰り返す感染、ABPA、牽引性気管支拡張など)
一つ一つをお話していくと長くなってしまうので、今回はこのうちの『肺気腫』についてです。
CTで気腫がないからといってCOPDでないとは言えませんね。『COPD』には肺気腫の他にも非気腫型(末梢気道優位型)も含まれています。基本的なことはガイドラインをご確認ください。
1秒率が70%以下にならない場合にはCOPDの概念に含まれないため『慢性気管支炎』と診断されることが多いと思います。慢性気管炎とCOPDはオーバーラップしており(ともに喫煙が関与)、将来的にはCOPDの概念に含まれるものもあるため注意が必要です。
http://www.gold-jac.jp/support_contents/img/COPDguideline3_point_091007.pdf
『COPD』の別の話題はこちら
http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11369520272.html
では、本題に移ります。
肺気腫の病理は以下の3 種類に分類されます。
Centrilobular emphysema、Panlobular emphysema、Paraseptal emphysemaです。
では、CTでどのようにみえるのでしょうか?(臨床ではこちらが重要になってきます)
・Panlobular emphysema(汎小葉性肺気腫)
病変は呼吸気管支レベルから肺胞全体に広がり下肺野優位となります。一般に α1-アンチトリプシン(α1-AT)欠損症においてみられますが、喫煙者みによる進行した肺気腫でもみられます。
・Centrilobular emphysema(小葉中心性肺気腫)
病変が呼吸細気管支レベルに起こります。小葉中心性肺気腫は最もcommonなtypeであり、長期にわたる喫煙と関係しています。病変は上肺野に優位という特徴があります。
・Paraseptal emphysema(傍隔壁型肺気腫)
病変は線維化した小葉間隔壁や胸膜に接した部位に限局しています。肺尖部のブラは自然気胸の原因となりえます。この型の肺気腫では気流閉塞は強くないことが多いです。
centrilobuar emphysemaもparaseptal emphysemaも進行すると、bullous emphysema(気腫性肺囊胞)になることがあります。特に巨大なものはgiant bullous emphysemaといってvanishing lung syndromeと呼ばれています。
学生の頃に『肺気腫』を勉強して病理学的に3つに分類できることを習っても実際のCT画像ではどのように見えるかなんて多くは医師になって経験していくものです。
Common diseaseなので取り上げてみました。
では。