今回は気胸のマネージメント③です(①、②と参考にしてください。)http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-10923050230.html


いざ気胸に胸腔チューブを挿入しても一次性気胸なら4日、二次性気胸なら5日様子みてair leak』が続いている場合は外科手術を考慮する必要があります。


二次性気胸では一次性に比べてより穴が大きく持続するair leakとなりやすいためチューブドレナージが失敗に終わる可能性は高くなります。


COPDの場合には慢性の炎症性変化や肺組織における血管網の消失により、穴(alveolar-pleural barrier)の治癒が遷延してしまうためです。


成功率は再発を繰り返すたびに減少します。初回は91%から2回目(再発)で52%、3回目(2回目の再発)で15%にまで減少するというデータもあります。


一次性気胸では約1/3で再発するともいわれています(16~50%といわれています)。また、若年者ややせ形、喫煙歴などは再発率が高くなります。


二次性気胸の場合は一次性に比較してわずかに再発率が上昇します(39~47%)。


二次性気胸の方が再発すると致命的になる可能性もありますので(もともとの肺基礎疾患の状態にもよりますが)、初回の気胸の時点で(ドレナージ後にも)外科的手術が推奨されています。一方で一次性気胸の場合は再発したら手術を考慮するのが一般的です。


ダイビングやflyingを趣味とする方は再発予防のために外科治療をする場合もあります。


様々な外科的または非外科的な再発予防があり、硬化剤を胸膜に注入して炎症を起こし癒着を起こす方法や再発を起こしそうな肺尖部やその他のブラを切除する方法があります。ビデオガイド下の胸腔鏡手術(Video-Assisted Thoracoscopic Surgery:VATS)では開胸術に比べて侵襲も軽度であり、術後の痛みも軽く入院期間も短縮できますが、再発率は上昇とするstudyもあります。http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673607611635/abstract 


これはVATSにおけるブラの見落としや取り残し、また自動縫合器による不適切な切除では肺に過度の緊張がかかり切除線近くに新しくブラができる可能性がある、などの技術的な問題に加えて開胸手術では肺と胸壁の癒着が起こるため新たにブラができても破れにくいのに対し、胸腔鏡補助下手術ではほとんど癒着が起こらないことなどが原因と思われます。(引用元:http://www.mhp.suita.osaka.jp/dep/geka/pnthx.html


また例え手術をしたとしてもブラは体質的なもので多発する傾向があり、手術後に新しくできたりすることもあります。


本日は以上です。