高K血症の心電図はお話しましたね。http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11004523245.html
今回は高K血症の『治療薬』のお話です。
高K血症の治療
(クリックすると大きな画像でみることができます)
心電図変化があれば積極的に治療します。数値としては6mEg/L以上で臨床的に重要といわれています。治療対象としては7mEq/L以上としている記載もありますが、数値に捉われる事なく、急激な上昇が予想される場合はKの上昇を見込んで治療を開始することが大事です。
血清K値と心電図変化は必ずしも相関しません。Kが6.いくつでも心電図でwideQRS、徐脈になっていたりとびっくりすることもあります。
モニターを装着することを忘れないようにしましょう。
①カルチコール(calcium gluconate) (10mL) 1 A 3分以上かけて静注
効果は1~3分でモニター上に現れる。効果は30-60分継続する。効果が現れないなら、5分後にもう一度カルチコールを10mL投与する。 即効性があるためこれが第一選択の治療。カリウムを下げる効果はないが、心筋膜の安定化作用があり、閾膜電位を下げることによって高カリウム血症の中毒作用に抗して心室細動を予防する。ただしジギタリス中毒による高カリウム血症の場合は禁忌(ジキタリス中毒が増悪する)。ジギタリスを服用している人は、カルチコール10mLを生理食塩水100mLで希釈して20~30分かけて点滴で落とす。
②Regular insulin 10単位+50%ブドウ糖液 100mLで静注
血糖値が250mg/dl以上であればブドウ糖静注はいらない
効果は30分で現れ、2~6時間持続する。
(③メイロン(sodium bicarbonate)を1mEq/kgでゆっくりと静注する。)
効果は2時間持続する。この治療はPHが上がるとカリウムが一時的に細胞内に入ることを期待している。現在はあまり勧められていない。その理由は以下の通りである
・メイロンによる細胞外カリウムの減少は少なく、一定しない。
・インスリンやβ2刺激薬の吸入ほうが効果がある。
・メイロンはカルシウムと結合し析出するため、カルチコールと同じラインで使用できない
・高浸透圧やvolume overload、アルカローシスがリスクとなりうる
④β2刺激薬吸入
カリウムの細胞内への移動を助長する。
≪②③④はカリウムを細胞外から細胞内へ移動させることにより下げるがtotal body potassiumは変わらない。defenitive theraphyはカリウム排泄であるので⑦⑧⑨がその治療にあたる≫
⑤経口カリウム摂取や点滴によるカリウム投与の制限
⑥高K血症となる薬剤の中止
⑦陽イオン交換樹脂:ケイキサレートあるいはカリメート30gを水50mLにとかして経口投与、あるいは30gを水100mLにとかして注腸投与
⑧. ラシックス(20mL) 1~2 Aを静注
腎での反応性が良ければ効果的である。効果は1時間で現れる。
⑨. 血液透析
本日は以上です。お役に立てれば幸甚です。
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