昨日のカンファレンスでの症例をご紹介
まず画像をみてください。
発熱を主訴に来院した53歳の男性 既往に糖尿病があります
クリックすると大きな画が表示されます。右中肺野の胸膜下に小さな空洞病変が指摘できますか?次にCTを見てみましょう。
胸部CTでは両肺に多発性の空洞性病変が指摘できます。鑑別疾患には何が上がりますか?
・・・・鑑別疾患は転移性肺腫瘍、Wegener肉芽腫、結核、クリプトコッカス、肺化膿症などでしょうか。
『CAVITY』と記憶するといいかもしれません。
C:Carcinoma(squamous cell),bronchiectasis:扁平上皮癌、嚢状気管支拡張症oimmune disease (Wegener gra
A:Autoimmune disease (Wegener granulomatosis, rheumatoid lung) (ウェジェナー肉芽腫,リュウマチ肺)
V:Vascular (bland / septic emboli) (敗血症性塞栓症)
I:Infection (abscess, fungal disease, TB, echinococcus) (肺膿瘍,真菌症,結核,エキノコッカス症)
T:Trauma (外傷)
Y:Young = congenital (sequestration, diaphragmatic hernia, bronchogenic cyst) (肺分画症,横隔膜ヘルニア,気管支嚢胞)
題名にも記載した通り、この症例は『敗血症性肺塞栓症:septic pulmonary embolism』でした。
感染源として。。。。次のCTをみてください。
『前立腺膿瘍』が原因となったようです。経静脈性に肺塞栓を起こしたので珍しい症例ですね。
ここで少しseptic pulmonary embolism:SPEをご紹介します。
http://chestjournal.chestpubs.org/content/128/1/162.full
14症例のSPEをretrospectiveに検証した結果、診断までには平均18日を要し、原因や誘因としてはLemierre syndrome(4 patient)、CVカテーテル感染(3 patient)、人工弁(2 patient)、ペースメーカー感染(2 patient)、肺外の感染症:腎周囲と歯科から(2 patient)、IV薬物使用者(1 patient)。起炎菌は黄色ブドウ球菌が最も多く(8 patient)、次にフソバクテリウム(4 patient)でした。画像検査ではCTで多発性の結節陰影を末梢に認め、しばしば空洞を伴うことが特徴的です。経食道エコーは8人の患者に施行されて4人でvegetationを認めました。
SPEの原因は他に化膿性血栓静脈炎(septic thrombophlebitis:頭頸部の感染症に起因するLemmierre syndromeもこの中の一つですね。)や三尖弁の心内膜炎も疑いますね。肺外の感染症から経静脈的に肺塞栓を起こすのはやはり珍しいようです。この症例はDMがあることが関与してそうです
本日はここまで。
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