本日は『成人スティル病における血清フェリチン』についてです。


以前の成人スティル病の記事です

http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11001415459.html 


成人スティル病は稀な全身性の炎症性疾患(systemic inflammatory disorder)で、spike feverや一過性のサーモンピンク疹、関節痛、咽頭痛、筋肉痛を伴いリンパ節腫大や脾腫などを認めます。

病因は不明ですが、遺伝的に素因のある患者さんが何らかの感染をきかけに発症するのではないかというのが有力な説のようです。


診断は臨床的にされますが、感染症や悪性腫瘍、他の膠原病などを除外しなければならないのでとても時間がかかることが多いです。特異的な検査データはないのですが、炎症を反映してESRやフェリチンが上昇することや、RF陰性、抗核抗体陰性が知られています。


では、成人スティル病ではフェリチン値の異常高値になることが知られていますが、どのくらい高値になるのでしょうか?


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21359498 


この論文ではわずか6例の典型的な成人スティル病ですが6例すべて血清フェリチン値が5000μg/Lを超えていたとの事であり、5000を超えるような血清フェリチン値を見た場合は成人スティル病の診断ツールのひとつになりえるのではとしています。


稀な疾患なので、どこかでメタアナリシスがでれば感度や特異度など詳細がわかるものと思われます。


そういえば以前どこかで、血清フェリチンが5000μg/Lを超えるときには成人スティル病血球貪食症候群の二つしかないということをDr.Tiernyお話されていました。ともにマクロファージが活性化されるためです。


他にも悪性リンパ腫でも高値になることは知られていますね。


そもそも体内における鉄の分布は約 60~70% は赤血球中にヘモグロビンを形成する鉄として存在し、約25% は肝細胞や肝・脾の網内系マクロファージに貯蔵鉄(フェリチンやフェリチンの集合体であるヘモジデリン)として、約4% は筋肉内にミオグロビンとして存在します。


ちなみに網内系細胞とは異物を貪食することにより生体の防御に関与している細胞の総称。脾洞内皮や脾索の細網細胞、リンパ洞の細網細胞や内皮細胞、肝臓のクッパー細胞、骨髄の毛細血管内皮細胞、単球、組織球、肺胞の塵埃細胞、脳の小膠細胞などが含まれます。


末梢血中でトランスフェリンと結合した形態で存在する、いわゆる血清鉄体内の鉄の 0.1% にすぎずさらに微量が末梢血中に血清フェリチンとして存在しています。


重症の肝細胞障害肝臓や脾臓が障害され網内系のマクロファージが破壊されててもフェリチンは異常高値になることは知られています


以上です。