シンレッドライン
THE THIN RED LINE


sin


実現の可能性は低そうだけど仕事の都合でガダルカナル島か硫黄島に行こうかなどという話がでてきたankimoです.


というわけでシンレッドラインを見ますた.

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=84818


期待してなかったもののコレすごくいい作品じゃないですか!!


テーマを一言で言えば「物語るものが何もない」ということでしょうか.

この場合の「物語る」とは,「理解可能な意味をいくつかの要素の序列によって作り出すこと」といったところ.


たしかに映画に登場する豪華俳優人はそれぞれさまざまな要素を演じてはいる.


脱走癖のある軍隊という組織になじまないが人間的な魅力のある二等兵ジムカヴィーゼル
この二等兵に困りつつもその魅力を理解しているショーンペン
武勲を挙げることを目指してしゃかりきになって怒鳴る勇猛な大佐ニックノルティ
本国に残してきた美人妻(ミランダ・オットー)との思いが戦場で走馬灯のように甦るものの,妻は空軍のパイロットと恋に落ち離婚を申し出てきていることを戦場で知る海兵隊員
血染めの丘で部下を大量に失っておかしくなっちゃうジョンサヴェージ
手榴弾を腰につけたままピンを抜いてしまった瞬間仲間を巻き込まないために一人で死ぬウディ・ハレルソン.
部下を失うことを恐れて大佐の命令に背いて後方勤務へ回される優しい中隊長イライアス・コティーズ
新たに中隊を率いるためにラストシーンで初めてちょっとだけ出てきて,さも部下のことを思っているように振舞いながらおそらく平気で部下に死ねと命令できる優秀な軍人ジョージクルーニー


いくつもの要素がでてくるものの,どれもが中途半端で,繋がりを持たせること自体が意図的に避けられているようだ.


もちろん英雄などいない.


敵も凶悪なものとして見えたかと思うと,米軍に占領された村で,徐々にしかし確実に死にいたる日本兵と,それを抱きしめる日本兵.


それ見て相手も人間であることに気付く米兵.


しかしそんな物語は存在しないといわんばかりに捕虜に暴行する米兵.


お菓子を差し出す米兵.


死体をもてあそぶ米兵.


あるいは傷を負いながらも米兵をにらみつけ呪詛の言葉を吐く日本兵がいたかと思うと,ただ石のように手を合わせた姿勢でピクリとも動かない日本兵.


映像のほうは半分以上がモンタージュ的に挿入されるガ島の自然を描く美しい映像だが,それが自然の雄大さを前にした人間の愚かな行為の無情さを対比的に描いているというわけでもない.
対比しているにしては,あまりにも唐突で不出来だ.


セリフもそれに乗せて罪,暴力,人間,存在,善,悪についての叙情詩だが,答えがないだけでなく,すべてがバラバラの問いでしかない.


ちょっと戦場ではあり得ないのでは?ということも描かれているが,この監督は戦争をリアルに描こうなどという(スピルバーグがプライベートライアンでやろうとした)アホなことなど毛頭考えていないようだ.

そのようなことをしようと考えるのが如何に無知蒙昧であるか,そう訴えてさえいるのかもしれない.



こういった内容を,敢てガ島攻防戦という太平洋戦争での「節目」となる戦場を舞台に描いている,そのことの意味は大きいであろう.