出張でよく福岡には行きますが、福岡空港ほど便利の良い空港はありません。日本一あるいは世界一かもしれません。なにせ、博多駅までは地下鉄で2駅しか離れておらず、天神や中州といった繁華街にも非常にアクセスしやすいです。
しかし、空港がある場所は福岡市ではなく糟屋郡志免町です。その志免町のとなりに宇美町があります。海には面していないのに宇美(うみ)という、ちょっと風変わりな地名がずっと気になっていたのですが、宇美八幡宮の御由緒書を見て、その訳がやっと分かりました。
つまり、神功皇后が三韓征伐から帰還し、この地で応神天皇を産んだので、「宇美(うみ)」と名付けられたのだそうです。
三韓征伐中に出産しそうだった神功皇后は石をお腹に巻くことによってこれを鎮め、宇美の地で無事に応神天皇を産んだという故事から、宇美八幡宮では「子安の石」という風習があります。
境内には拳くらいの大きさの石が山のように積まれていて、安産祈願を終えた妊婦が石を預かって持ち帰り、めでたく出産の暁には、別の新しい石に子どもの名前を記して一緒に返すという習わしです。実際、赤ちゃんの名前が記された石を多く見かけました。
本殿に向かって右側に「湯蓋の森」、左側に「衣掛の森」と呼ばれる樹齢2,000年程の立派な楠があります。まさに1本の木で森を形成しているような大樹です。
神社の周りは住宅街になっていますが、近所の子どもたちが集まって木を取り囲み遊んでいました。
子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくる神社というのは本当に久しぶりで、本来、神社はこうあるべきだと思いました。
今や少子化で苦しむ日本において、安産の神様が鎮座している神社で子どもたちが遊んでいる風景を見ていると、懐かしさを感じると同時に、まるで別世界にいるようでした。
宇美八幡宮のような子どもたちにとって身近な神社が日本中にあればいいですね。