出羽国の一之宮は鳥海山大物忌(おおものいみ)神社です。
鳥海山の山頂本社と昔の登山口である吹浦(ふくら)と蕨岡の2ヶ所の里宮の総称として大物忌神社と称しています。
山頂の本社にお参りしようと思い、前夜、酒田市内のホテルに泊まりました。しかし、翌日の天気予報は大雨だったので半ば登山は諦め、里宮だけに参拝しようと思っていました。
一応、3時30分に目覚ましをかけて就寝したのですが、朝起きてみたら、なんと雨はやみ星空ではないですか。スマホで山の天気を確認したら、鳥海山は「A」ないし「B」とうことで登山日和りということになっていました。
急いで支度をして、鉾立山荘登山口に向かいました。
朝6時に登山開始、標高を上げるにつれ日本海の眺望がますます綺麗になります。遠くに男鹿半島も見えるようになり、気分は高まります。
登山口から山頂までコースタイムは約5時間、これを日帰りで往復しようと計画を立てていたのですが、さすがに外輪山を歩くころは疲れてきました。更には、当初の天気予報どおり雨まじりの風が強くなり、ガスで視界が悪くなってきました。
そして、山頂まで500mと目前に迫ったときに道標を見て愕然!
なんと山頂に登るのに、急激な下りがあるじゃないですか。
晴れていてスリッピーではなく、かつ視界がひらけていたら挑戦していたでしょうが、基本的に下りが苦手な私にとっては身の危険を感じ、ここで残念ながら撤退する決心をしました。
ということで、山頂本社には行けなかったものの、御朱印は7合目の小屋でいただくことができました。
その後、下山して吹浦口と蕨岡口の両社にお参りしました。
そもそも「大物忌」とはどういう意味でしょうか?
「物忌み」とは、神事に先立って一定期間、飲食や言行などを慎んで心身を清めることとありますが、「大物忌」を調べてみると、伊勢神宮で天照大神に給仕する役職のことで童女が務めていたそうです。
鳥海山大物忌神社の主祭神は「大物忌大神」ということになっており、この神様は倉稲魂命(うかのみたまのみこと)と同一視されています。
倉稲魂命は女神で、食物の神様であることから、やはり大物忌神社は豊作を祈願して建立されたものだと推察します。
しかしながら、それ以前に御神山である鳥海山は火山ですので、山を鎮めるという目的があったのは確かだと思います。
下山すると、再び出羽富士と呼ばれる鳥海山の見事な山容が見えるようになってきました。庄内平野に住む人たちにとっての原風景が広がります。







