紀伊国の一之宮は三つありまして、そのひとつが丹生都比売(にうつひめ)神社です。紀ノ川より紀伊山地に入り標高450m、高野山の麓に鎮座されています。
全国の一之宮を巡礼していると、どの神社も御由緒は古く、社殿は立派なものがほとんどです。ただ、なかには資金的な問題があってか、正直さびれているものもあり、「自称『一之宮』」ではないかと疑ってしまうときもあります。
一之宮であれば何とか行政の援助とか、地域住民からの援助、あるいはクラウドファンディングとかを利用できないものかと思います。
しかし、丹生都比売神社は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」だけあって、とても壮麗な社殿でびっくりしました。
実は1200年前、真言密教の根本道場の地を求めていた弘法大師は、丹生都比売神社の御神領であった高野山を借り受けて金剛峯寺を建てたそうです。
ですので、金剛峯寺の紋は丹生都比売神社の三つ巴の紋を使っており、高野山のその後の隆盛は丹生都比売神社のお陰というわけです。
「丹」とは「朱」のことで、「丹生」とは朱砂の鉱石の生産地という意味です。全国に「丹生」の名が付く神社があり、丹生都比売神社はその総本宮です。
朱色は緑色と補色の関係でよく目立つと述べたことがありますが、朱には魔除けの効果もあるとのことです。
丹生都比売神社は私のお気に入りの神社のひとつとなりました。