僕とボブの夏休み その1
ある夏の日、僕は若者の聖地と噂の原宿に来ていた
なぜこんな街に来てしまったのか・・・
事の起こりはクラスでこんな話が持ち上がったこと
『おまえ、まだ原宿行ったことねぇの?田舎者かよ!』
という嘲笑から、ぼくは思わず行ったことくらいあるよ!って言ってしまった
これがいけなかった
引くに引けなくなった僕は、原宿にいるという運びになったわけだ
今は8月・・・なのになんでこんなに人がいるんだ!
そんな叫びをしてしまう寸前でぼくは踏みとどまった
なぜってわかりきってるじゃないか
ここに来てる人はみんな買い物に来てるんだ
というか、それ以外に何があるわけ?
いや、あるのかもしれない、見渡す限り人・人・人・・・。
道路?を埋め尽くす人の数々・・・それはまさに川といっても過言じゃないだろう
ホントに買い物なのか?そんなことを考えながら僕はその川に入っていった・・・
結論から言おう!おれは、舐めていた。既に俺の身動きは取れなくなっていた
人の流れに逆らえない、こんな事になるなんて予定外だった
いま僕はどこにいるのかすらなかった
そしてこの流れがどこへ向かってるのかも分からなかった
そんな中、急に人が途切れだした
どうやら僕の周りにいた人がいなくなってることに気がついた僕はやっとこの世界を見ることができた
見渡す限りの店・店・店
そんな中に漂う甘ったるいクレープの香り、楽しそうな女の子達、黒い人たち、店から出てきてはしゃいでる人たち
え!?黒い人たち!?
よくよく見ると、そこらかしこに黒人さんがいらっしゃることに気がついた
目を合わせたら終わる
何がってわけじゃないけど、そう感じてしまった僕は目を合わせないようにしていた
いたたまれない、そんなことあるわけないだろうけど僕は足を早めた
そんなこと?僕は一体何を思ったんだろう
そうこうしてるうちに流れが途切れ、僕は一休みすることにした
人通りのなさそうな道を見つけ、そこに逃げ込んだ
通りはひらけた道で向こうに店がある
左側には何かのフードの店がある
そして、目の前には黒い人がいた
失敗した!
そう思ったときには既に僕の目の前には黒人が一人寄ってきていた
『へい!どうしたんだい?そんなツラはこの街には似合わないぜ!』
うるさい
『元気ないと、イケマセーん。元気はすべての元ですよ~』
お前に言われたくない
『おー、それはいけませーん!僕の店元気になれるよ~』
誰が行くか
『こない?こないの?へい!ボブ!』
仲間を呼んだのか!?
さらにコワモテの外人が出てきた
これはどうやら本格的に逃さないようだ
『へい、ジェス?どうしたんだい?』
新しく来た・・・ボブってやつ何者なんだよ
『こちら、元気ないって言うんだよ~』
そしたら奴は屈託のない笑顔でこういってきた
『それは、いけない!これ、元気になれる粉!ふおーゆー!なに、金はいらない!そうだ!俺たちはブラザーじゃないか!』
そうゆと奴は僕にとある袋を渡してきた
危ない粉か!?
そう思って手の中を見てみると、そこには『コーラ味』と書かれていた
水にまぜたらコーラの味がするあれ
これは駄菓子だったんだ…。
あれから数日経った
あの時もらったコーラの味が忘れられなくて、ぼくは駄菓子屋を訪れた
そして奴に出会ってしまったんだ
駄菓子で
『いつかの、元気ないブラザーじゃないか!どうだい?元気に慣れただろ!』
あの時と同じように屈託のない笑顔でこういってきた
僕は無言で、オレンジなっちゃんの粉末をプレゼントした