情事のあとに、疲れ果てた彼はあたしの上でそのまま眠りにつく。
あたしは彼の重みを感じながら、愛し合ったことの余韻に浸る。
ぬくい毛布と微睡に包まれながら。
彼の寝息を耳元で感じながら。
熱く火照っていた彼の身体は、次第に穏やかなぬくもりと化していく。
だけどふたりが密接した皮膚の上は、まだ熱を持っている。
どうかこのまま、冷めないでいてほしい。
熱を帯びた場所は、もしかしたら化学反応みたいに身体を溶かしてくれるかもしれない。
互いの身体が溶けた場所は、互いの細胞を侵蝕し、互いの一部になるかもしれない。
そうしたら、あたしと彼は物理的にも一心同体になれる。
そういえば昔、こんな歌詞がなかったっけ?
「境界線みたいな身体が邪魔だね」
あれを歌ってたのは、だれだっけ。う~ん・・・思い出せない。
だけど今、あたしはこのフレーズそのままの思いを抱いている。
まるでふたりを区分し分離する壁みたいに、身体は存在している。
皮膚が、肉が、骨が、ふたりに距離を作り、別々の人間だと思い知らす。
こんな身体なんていっそのこと本当に、溶けてしまえ。
でも、溶けてくっついたあたしたちは、両性具有のアンドロギュヌスみたいでちょっと気味悪いかも。
想像したら、何だか笑える。
毎回毎回、そんなことを考えながら次第にあたしも眠りにつく。
せめて夢の中にも出てきてね、my darling。