秋の日を、二人で。 | Between The Sheets ~夢への抒情詩~

Between The Sheets ~夢への抒情詩~

寝る前にちょこっと読んでほしい、素敵な物語をあなたにお贈りします。

 「キンモクセイの香りがする」
 彼女は上を見上げて、そう呟いた。

 「え、どれ?」
 「ほら、匂うでしょ」
 歩道の真ん中にもかかわらず、二人して立ち止まる。
 そして両目を閉じ、嗅覚を研ぎ澄ます。
 「ホントだ」

 キンモクセイの匂いを嗅ぐなんて、何年ぶりだろう。
 小学生の頃は通学路でよく、橙色の小さい花を見かけたけれど。

 「懐かしい匂いね」
 目を開けた彼女は、俺を見上げて軽く微笑む。
 つられて俺も、小さく笑った。
 「俺も同じこと考えてた」



 雲ひとつない、高く、真っ青な空。
 黄色く色づき始めた、銀杏並木。

 俺と彼女は手をつなぎ、肩を寄せ合う。
 少し冷たい風も、二人ならちっとも辛くない。