7月4日
立川談春師匠の独演会に行ってきました。
横浜にぎわい座へ。

落語観賞歴三年目にしてようやくこの師匠を聴く機会に恵まれました。最もチケットが取れない噺家と言われていますので争奪戦は覚悟していましたが、抽選に通り運よく取れました。
しかも前から2列目という大変な良席です。

談春師匠はさだまさしと仲がいいのです。
さだまさしの還暦コンサートの司会は談春師匠でした。さだまさしファンとしてもぜひこの師匠は一度は聴いておかなければならないと思っていました。


若干の当日券あり。
2階の受付では「当日券あと5枚です!」の声が。あっという間になくなった模様。

2日前に館長さんである歌丸師匠が亡くなられたので追悼記帳所が設けられていました。


もちろん記帳しました。

開演です。

前座さんは無しで談春師匠登場。
最初のネタは「九州吹き戻し」

詳しい方にお聞きしたのですが元は講談のネタで談志師匠が落語にされてそれを談春師匠が引き継がれているのだそうです。

「人は明るく生きたほうがいいという噺」と始まりました。
ぐいぐい引き込まれていきました。特に後半の嵐の中の船旅の様子。
何もかも捨て去って最後には髪の毛まで切り、神様に全て捧げますから命だけはお助けくださいと。

喜之助は助かります。
何もかもなくして本当に命だけが助かった。

「命が助かると分かっていたならその嵐を私も経験してみたかった。」
と成駒屋の旦那が言う。

この噺の真髄はここにあると思いました。
どんな経験もその人の糧になる。
命さえあればそれでいい。
このことは自分の中に叩き込んでおこうと思いました。

長講でしたがあっという間でした。
素晴らしい熱演!

仲入り

枕が印象深かったので書いておきます。

「談志が死んだからですよ。談志が死んだからあったご縁なんです。」
この言葉がズシンと響きました。

俳優としてもご活躍の談春師匠。秋には映画に出演されるそうでそんな話を。
談志が生きていたらそんな仕事はできなかったと。

「志の輔兄さんもガッテンなんてできないですよ。志らくなんか毎日テレビに出てるでしょう。」
と笑いを誘っていました。

談志師匠って自分がいなくなった後もお弟子さんたちがちゃんと生きていけるように愛を持って育てて今も見守っていらっしゃると思います。

「談志は極楽の一番上の一番いいところにいると思いますよ。極楽は退屈だな、なんて言ってね。」きっとそうですね。

もう一席やりますと始まった
「井戸の茶碗」

前半の「九州吹き戻し」にはほぼ笑いはなかったけれどこれには笑った笑った!
きれいな「井戸の茶碗」でありました。
この噺を聴くたびに正直に生きなければと思います。落語に人生救われるなと思うのはこんな時。お見事でした。

圧倒されました。
これが立川談春なのだ。
非常に完成された世界。
堪能しました。

最後に2日前に亡くなられた歌丸師匠への思いを。

鼻にチューブを入れてまで高座に上がるのは本当は嫌だったと思う。そこまでして歌丸師匠がこだわったのは「死ねないんだ。この歳になってみろ。死ねないんだ。」ということを我々に伝えるため。そして「笑点の歌丸ではない歌丸」を見せることだったと思う。

そんなお話をされました。

「人間は死ねないから生きている」は生前の談志師匠の言葉でした。
談春師匠は歌丸師匠の姿に談志師匠との共通点を見出だしたんだと思います。
とてもいいお話を聞かせてもらいました。

大満足でお開き


三日間の公演の初日だったため、公演終了までネットに書くことを控えていました。

こうしてブログに書くことも遅くなってしまいましたが、談春落語は日が経つにつれじわじわ効いてくるのです。
談春師匠の落語には感動があります。
聴くことができて幸せでした。

チケット入手は困難ですがまた必ず聴きます。

談春師匠、素晴らしい時間をありがとうございました。