VENUS/Bananarama | travel in light years...

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気ままな旅日記|この日記を読んで、かつていたあの時間、その場所に帰りたくなるような気分になるといいなぁ|



カヴァー・ソングがPWLのヒットを支えた比率は決して少なくないわ。でも、過去に大ヒットした曲をカヴァーしたからといって安易に大ヒットして当然~!という理論は単純過ぎね。確かに中にはオリジナル曲のクオリティーがヒット要素を占めるケースが多いこともあるわ。しか~し!1986年にストック・エイトケン・ウォーターマンが手掛けたバナナラマの「Venus」(全英第8位/全米第1位!)だけはちょっと違うような気がするのよ。

原曲Shocking Blueのヴァージョンを聴けば解るけど、元々のこの曲のノリそのモノが全く違うの。当然時代を超えてジャンルを変えてカヴァーされるんだからノリが違うのは当然といえばそうなんだけど、原曲の場合一言でいうと♫気だるいループ感覚♫といった感じで、一定なノリを持続させたシックな曲調なのよね。一方、バナナラマの方は♫ハイ・エナジー・サウンド♫と思いきや、そうでもないの。ハイエナから流れてきたのはストック・エイトケン・ウォーターマン特有の♫激しいクラップ♫ぐらい、このあたりからカウベルを使用しなくなるの。そしてカウベルの変わりに何種ものパーカッションを打ち込んでいて、熱いノリを加えているのよね。

そして最大の相違点は、ギターをフルに前面に出したヘヴィーなノリに変化しているというところ。更にShocking Blueに比べ「WOW!」というシャウトがとっても派手!この叫びがバナナラマの大ヒット要素を占める一つのアイデアね。で、この「WOW!」というシャウト、よ~く考えてみるとこの派手な声を出すのは決して容易ではないことに気付く。あのバナナラマのメンバーも精一杯の大声で「WOW!」と、恐らくサンプリングするのに何度も取り直したんじゃないかしら?またこの叫び声は彼女達以外で誰が出来るだろうと考えると、黒人アーティスト以外では無理なんじゃないかしら?元々バナナラマの歌唱法は決してハモれないんではなくて、ハモらいない女性グループを特徴として売ってきたの。だからその手法もこの曲にとてもハマっていたのね。バナナラマというアーティスト、意外にも声にパンチがあることに驚きんこ。 また、このようにストック・エイトケン・ウォーターマンは、カバーソングに手を借りるんじゃなく、原曲をフィーチャーして新たなノリを生み出すインスピレーションの持ち主だということも証明したわね!

ちなみにこのバナナラマのカヴァーのカヴァーをしたのが演歌の歌姫、長山洋子。