ファンは既存の事実ですが、CMやYouTubeを観て買おうと思った方がオリジナルの完全リメイクだと思って「超究武神覇斬見たい!」とか「リメイクのゴールドソーサー早く行きたい!」とか期待を抱いてる方が結構いらっしゃるみたいですが、残念ながらこれは、全ストーリーの進捗具合でいうと1/5、最初のミッドガル脱出までの物語をリメイクです。ただ8000円以上のフルプライスですからさすがに勘違いする人も出てくるだろうなとは思っていました。
完全リメイクをしてリリースとなると、今のスクエニだとFF15の時みたいに制作に10年くらいかかります。FF15の紆余曲折、制作費が膨らんでしまう問題を何とか打開する策として、そしてFFシリーズの中でも屈指の人気作であるFF7のリメイクとなれば1本で終わらせるのはもったいないので何本かに分けてリリースした方が会社的にも儲かる。という様々な理由から、ミッドガル編だけ作ってリリースということです。きっとゴールドソーサーで遊べるまでには2作目では無理だろうと思うのであと10年くらい必要かなと感じます。
では、なぜタイトルが紛らわしい「FFVII REMAKE」だけなのか?
それは、この1本が盛大にコケれば続編が作れないわけで、たとえFF7だとしてもそれは大いにありえますから、「PART-1」とか「EPISODE-1」というサブタイトルを付けられなかったのでしょう。(ちなみにケースの裏側の下の方に小さく“分作”であることを書いてますがこれはクレーマー対策ですね)
ゲームシステムに関しては、スクエニのこれまで培ったノウハウを最大限に活かし、キングダムハーツシリーズや、PSPのクライシスコアのいいとこ取り+新しいコマンドアクションをうまいバランスで実現したかなという印象です。コマンド選択時に超スローになる発想は「ナイスアイデア!」だと思いました。
難易度も3段階選ぶことができ、アクションが苦手な方も「クラシックモード」があり、戦闘時キャラクターが自動で戦ってくれるので、そこを心配してる方は安心してください。FF15で挫折した方も大丈夫です。
キャラクター造形も変にいじらず、公式も言ってますが「FFVII ADVENT CHILDREN」のキャラたちを動かせるように目指したというのが本当にしっくりきます。プレイアブルキャラの造形がキレイだけに、モブキャラの造形がPS3レベル並なので余計に作りが甘いことが目立ちます。風景のテクスチャもPS3並のところがありますね。FF15が実写並だったので、グレードダウンのところは残念でした。
声優陣も一部を除いて引き継いでいます。タークスのレノ役の藤原さんが先日亡くなられたので、今後声優を変えざるをえないのは残念です。
ボリュームも、発売前は「薄いのでは?」という声が上がっていましたが、まぁFF15と同等かちょっと多いくらいでしょうか。ただ、やはりFF15同様サブクエストが山盛りでそれでかさ増ししている点は否めません。
ミッドガル編のみという縛りで1本のフルプライスゲームを制作ということで、オリジナルの世界観を広げるというよりは蛇足エピソードをサブクエで水増ししたという方がしっくりきます。オリジナルを知ってて、早くメインストーリーのみを進めたいと思うファンは賛否あるかと思いますgが、今作はクラウドがミッドガルにアパートを借りてしばらく住み込みで仕事をこなし、お金をためて、仲間との絆を深めていくというオリジナルにはなかった新展開が見どころ。なので、全く別ゲーだと割り切る方がいいかと思います。ただ一度FF15でオープンワールドを体験したプレイヤーにとって、再び10年前のJ-RPGのような狭い一本道を歩かされるとは思いませんでした。とにかく狭いです。
問題は、続編のミッドガル脱出後です。オリジナルもミッドガル脱出後はワールドマップに出て自由に行き来できるようになります。となると、FF15のようにオープンワールドにしないと1本道にするのは難しいでしょう。しかし、オープンワールドとなれば近い未来発売予定のPS5にプラットフォームを移さないとローディング時間地獄に陥りますし、制作時間も2年では難しいでしょうから、早くて3年待てても5年といったところでしょうか。
結論から言うと今作は、長いFF7リメイクサーガの道しるべ的な作品だと思います。完全リメイク作って大コケするリスクもあるわけですから、まずは「こういうゲームシステムで、こういう世界観で、こういう感じでリメイク進めていきますけど、大丈夫ですかね?」と訴えているような感じと受け取りました。
ただラスボスであれやっちゅうと2作目、3作目と出た時にネタ切れにならないか心配で、何度も出すわけにはいかないのでちょっとファンサービスしすぎたかなと。1作目は別に出さなくても個人的には良かったです。ヴィンセントのあたりで薄れちゃうので。個人的願望としては、ヱヴァ新劇場版の序・破・Qのように、今作が序として誠実にオリジナルをなぞり、次回作は破として大々的に独自の路線にいってほしいですね。ファンならファンほど「え?」って驚くような展開にしてくれたほうがリメイクのやりがいがあると思います。
1本のアクションRPGとして考えたら秀作だと思いますし、FF7の世界をもう一度再構築していくスクエニの覚悟が見えた作品だと思いますので、オススメです。買うかどうか迷ってる方は、体験版もプレイステーションストアで配信中ですので、一度ダウンロードして実際にプレイしてみて自分に合ってるかどうか確かめてみるのが一番だと思います。