2019年初投稿です。もう2月・・・早い。
さて1月29日(火)の話になりますが、仕事を定時でさくっと終わらせ、池袋の東京芸術劇場へ「がん患者さんが歌う第九」コンサートを聴きに行ってきました。

2017年4月にもコンサートがあり(そのときは東京オペラシティ)ました。
オケは一昨年と同じく日本フィルハーモニー交響楽団、
指揮は藤岡幸夫さん(大好き!)です。

演奏の前にはがん研有明病院院長の佐野先生の対談。
難しい話ではなく、がんに罹患した人が抱く疑問(タバコとがんとの関係やニボルマブの話などもありました)に、
専門家の知見を加えながらも優しく回答していました。
その後、休憩15分をはさんでいよいよ演奏。

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合唱団とオケが入場。
合唱は前回と同じく、がん患者さん、そのご家族や関係者、医療従事者での構成です。
やはり合唱が入ると見た目の迫力も抜群です。
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チューニングの様子。
聴衆としても奏者としても、この緊張感のある状況が大好きです。
さて、チューニングを終えたら、指揮者が入場してきていよいよ演奏開始です。
前回の演奏会は冒頭の弦楽器が鳴り始めた瞬間から胸がいっぱいで、オーケストラの演奏を楽しむ、という状態ではなかったのですが、
今回は幾分か冷静に聞くことができ、第九の各楽器の見せ場(例えば第2楽章のティンパニソロとか)にも注目しながら聞くことができました。
あと今回特によかった!と思ったのが、テノールの錦織健さんのソロ。
初めて錦織健さんの歌を生で聞きましたが、朗々と歌い上げていて聞き入ってしまいました。
そして第九の演奏のほうは、合唱が一斉に立ち上がった瞬間に一気にグッときてしまい、涙腺崩壊でした。
私自身は大腸がんの手術をしてからオーケストラ活動に復帰し、復帰してから4回のステージを経験しました。
自分なりに一回一回のステージを大切にして本番に臨んでいるつもりですが、
この演奏会に参加している皆さんの、一回の演奏会にかける想いの強さに圧倒され、自分のこれまでの演奏会への向き合い方も考えさせられました。
「またこの曲はいつか演奏できるさ」
「次の本番は半年後だし・・・」
とかいう気持ちを持って演奏に臨んでいるつもりはありませんでしたが、
これまで以上に、
今回、この曲を、このメンバーで演奏できるのはこれきりなんだ
ということをかみしめながら、自分自身の演奏活動にも臨んでいこうと思いました。

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演奏後のカーテンコールの様子。
マエストロも演奏の出来に十分満足しているようで(終演後、ツイッターでもつぶやいていました)
合唱、ソリスト、オーケストラを幾度も称賛する、通常よりも長めのカーテンコールでしたが、
会場は終始暖かい拍手につつまれ、素晴らしい雰囲気の中、演奏会は終わりました。
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月並みな感想となりますが、一言でいうとやはり
音楽の持つ力は素晴らしい
ことを改めて実感させられた時間でした。
オーケストラの曲はどんな天才奏者であっても、一人で完成させることはできませんし、
本番に至るまでの過程の努力や葛藤、衝突などを考えると、この素晴らしいステージを完成させるために
奏者の皆さんが注いできた力には、尊敬の念を禁じ得ません。