以前、コンサルタントとして働いていたとき、とにかく自分の力が不足しているのが悔しくて、毎日悩んで、色々試行錯誤するも上手くいかずに自爆…ということを繰り返していました。

そんな中でも厳しくも暖かい上司や同僚、クライアントに恵まれ、微々たるものでしたが力が付いていっているのを実感していました。

 

でもやっぱり尊敬する上司とは圧倒的な力の差がある…。

世界的なコンサルティングファームで10年以上揉まれてきた上司との「経験値の違い」という言葉で片付けてしまえば簡単なのでしょうが、どうしても、一歩でも近づきたく、仕事に対する心構えやどうしたらクライアントと信頼関係を築くことができるのか、と質問したことがあります。

 

そのときに言われて一番心に響いたのは

「コンサルタントは論理性が求められる。でも人間を動かすのは結局理屈ではなく気持ち」

という言葉でした。

 

正直、ピッコロ大魔王みたいな青い血が流れてるんじゃないかと思ってしまうくらい冷血で有名な上司でしたので、この言葉は意外でした。でもこれを聞いて以降、上司の立居振舞や言動を見ていると、だからこの人は信頼されるんだ!、と気付かされることばかりでした。

 

今、思い返すと、これは私の仕事人生の中で(といってもまだ10年くらいのひよっこですが)、大きなブレイクスルーだったと思います。

 

この上司との話以降、社内外問わず、「自分のお客さんやパートナー」になる人に対して、言葉にして伝えるよう心掛けている言葉がいくつかあります。

 

・「信頼してお任せします」

・主語を「私たち」にして話す

・「いっしょにやりましょう」

・名前を意識的に呼ぶ

 

など。他にもあるかもしれませんが。

これを意識するようになり、格段に私の”Consult”の力は上がりました。関係性の構築も上手くなったと思います。

 

…というようなことを、今回、大腸がん罹患で自分がClientの立場になってしまったがため、思い出していました。

 

1回ごねたりしましたが、たぶん、主治医から見て私はやりやすい患者だと思いますし、私は主治医を信頼しています。

 

これまでのO医師とのやりとりを思い返すと、治療方針や術式について一通り説明を受けた外科の初回診察から「先生を信頼してお任せします」と伝えていましたし、O医師も診察のときに必ず名前を呼んでくれる(消化器科のU医師もそうだったので病院の方針もあるのかもしれませんが、毎度会うたびにそう対応してくれるのでO医師は習慣としてきちんと身についているんだと思う)し、病状の影響も大きいのかもしれませんがとにかく診察の雰囲気がネガティブではないので、通院しても総合病院の外来特有の疲労感みたいなのはありますが、不信感を募らせてイライラ…というようなことはありません。

 

ムンテラとICは決してイコールじゃないよ、と以前仕事関係で医師から聞いたのですが、あの時に言ってたのはこういうことなのか!と、今更ながら実感しています。

 

まあ、父と娘、みたいな年齢差なので、O医師の「経験値」からすると、小娘なんぞ楽勝なのかもしれませんが(笑)