先週の日経新聞の記事です。
高齢化社会 一段と 65歳以上26%/6人に1人一人暮らし
総務省が29日公表した2015年国勢調査(抽出速報)では、初めて全ての都道府県で65歳以上の高齢者の割合が15歳未満の「子ども」の割合を上回った。老人ホームなどの入居者も急増。介護などの受け皿づくりと併せ、高齢者に相応の負担を求める社会保障制度改革も課題になる。
65歳以上人口の割合と15歳未満人口の割合を比べると、前回の10年調査では唯一、「子ども」の方が高かった沖縄県も今回は65歳以上の高齢者が15歳未満を逆転した。
総人口に占める高齢者の割合は26.7%に達し、全都道府県で高齢化のテンポが早まっている。国立社会保障・人口問題研究所は、2030年に65歳以上人口は31.5%に達するとみる。
国勢調査から社会の変化も浮かび上がる。老人ホームなどの施設に入居する高齢者は168.5万人。前回から4割増え10年前の2倍に上った。
一人暮らしをする高齢者も高齢者全体の16.8%で、前回からは0.4ポイント上昇。男性では8人に1人、女性は5人に1人が一人暮らしだ。交通や医療のインフラから空き家対策まで自治体は深刻な問題に直面している。
都市部は高齢化率が比較的低いが、将来の高齢化ペースはむしろ地方より早まる。首都圏や大阪府などは25年までの間に75歳以上人口が6~10割増のペースだ。単身者比率も上昇傾向で、介護が必要な高齢者を家族だけでケアするのは難しい。
地域全体で高齢者の受け皿を整える「地域包括ケア」や、サービス付きの高齢者向け住宅などの整備は待ったなしだ。
国勢調査は医療・福祉分野が社会進出する女性の受け皿になっている一面も浮き彫りにした。就業者全体に占める割合は前回より1.9ポイント高い12.2%。ケアマネジャーやホームヘルパーなどに就く人が多いようだ。
高度成長期の日本を支えた製造業の割合が低下したのとは対照的だ。今まで仕事に就いていない主婦らが保険料を払う側に回ることで膨張が続く社会保障財政改善も期待できる。男性の育児休業取得促進など、家事・育児の負担均等化を通じ女性の労働市場復帰を後押しすることも欠かせない。
少子高齢化の問題というのは、日本にとって最も憂慮すべき問題で、なおかつ最も有効な解決策が実行できない超難しい問題です。
まず、少子高齢化の高齢化部分である高齢者への福祉を充実しようとすると、莫大な財源が必要になります。
困っている高齢者を少しでも助けようとするのは悪いことではありませんので、弱者への福祉を充実させるには予算を増やすしかありません。
しかし、日本全体のパイがほぼ現状維持で、税収が増加している訳でもありませんので、高齢者福祉予算を増やすには、その他の予算を減らすしかありません。
となると、少子高齢化のもう一方の少子化問題へ予算は減らさざるを得ません。
すると、少子化はますます悪化(少なくとも現状維持)することになります。
この流れが止められないとすれば、私たちの子供達の世代には非常に大変な苦労が待っています。
増大化する国家債務、増大する税負担、劣化する社会インフラ(社会福祉への負担増により、その他の社会インフラには予算を回せない)、治安の悪化、こういった負の循環が着実に進んでいくでしょう。
逆に、本気で少子化問題を是正しようとすれば、高齢者への福祉予算は現状維持レベルとなります。
増える高齢者人口に対して、増えない予算。
現在の選挙制度を考えると、日本のマジョリティーである高齢者が高齢化対策を置いておいて少子化対策を優先した政策を進める政党を指示することはまずありません。
ですので、少子化問題からまず予算を増やすという選択肢は今の日本ではそもそも実現しないでしょう。
少々長くなりましたので、次回に続きます!