もう何年も前から議論されている、保険の手数料開示についてですが、地方銀行は相当な抵抗をしているようですね。
しかし、同じ金融商品で、なぜ投資信託や株式の売買手数料と違って、保険だけはオープンにはできないのでしょうかね。
以下、日経の記事です。
金融庁、保険手数料開示迫る「業務運営、顧客本位に」
動かぬ地銀「販売萎縮、市場冷える」
保険商品を窓口で販売してくれた地方銀行に対して保険会社が支払う手数料を巡り、金融庁と地銀界が火花を散らせている。実態が見えづらく割高な点を問題視する金融庁が情報開示を迫っているが、収益18日に開かれた金融庁と全国地方銀行協会の意見交換会。「かえって顧客に混乱をもたらす」。地銀側は手数料開示要請に強く反発。20日にも開示に必要な監督指針の改正を発表するという金融庁のシナリオは崩れた。
銀行が自分のうまみが大きい商品を意図的に勧め、顧客の意向に沿った提案をしていないのでは。こんな金融庁の疑念が開示騒動の発端だ。
顧客不在の販売姿勢が貯蓄から投資への流れに水をさしかねないだけに、手数料透明化は「顧客本位の業務運営の一丁目一番地」(同庁幹部)。
すでに生命保険業界は投資信託と同じように投資性が強い外貨建て保険や変額年金の販売手数料を今年10月から開示する準備に着手している。
当局の度重なる要請にも地銀が動かないのは、マイナス金利政策で利ざやが縮むなか、ドル箱の一つである保険窓販の手数料引き下げ圧力が強まる懸念があるためだ。
業界関係者によると銀行側に入る円貨建て保険の販売手数料は契約額の2~3%程度が一般的だが、外貨建てや変額年金は4~7%程度と高め。投信の販売手数料などを上回る。販売手数料が10%程度の保険商品もあるといい実態はベールに覆われている。
銀行に入る割高な手数料をみれば、契約の意欲をそがれる人が増える恐れがある。約5兆3千億円の銀行窓販市場のうち、外貨建て保険と変額年金の販売額は約1兆8千億円と全体の3分の1を占め、存在感は大きい。
保険会社も「お得意様」である銀行の意向は無視できない。ある外資系生保幹部は「情報開示で手数料が世間の風圧にさらされると販売が萎縮し市場が冷え切ってしまう」と銀行の不安心理を代弁する。
収益基盤が強いメガバンクなどは地銀とは対照的に金融庁の開示要請には恭順の意を示している。抵抗する地銀界を金融庁は「顧客本位でないことの表れだ」(幹部)と批判し、圧力を強める構え。綱引きの舞台を公開の金融審議会に移し、議論が激しくなりそうだ。源を脅かされると恐れる地銀側はかたくなに拒んでいる。
それにしても、地銀が主張している、「かえって顧客に混乱をもたらす」というのは、具体的にどういった混乱が発生するのでしょうか?
顧客に混乱をもたらすのではなく、「顧客からの問い合わせ対応や苦情の発生により、自社の現場に混乱をもたらす」というのが本音ではないでしょうかね(笑)
それにしても、販売手数料が10%程度の保険商品もあるというのは驚きです。
10%の手数料と最初から説明されてその保険に入る人はほとんどいないでしょう。
証券会社は1999年の手数料自由化により、平均手数料率は以前の10分の1程度に下がり、対応できなかったかなりの数の中小の証券会社は自主廃業や合併を余儀なくされていたと思います。
そう考えると、もし保険料率が10分の1とは言わないまでも、半分に下がるだけでも保険会社にとっては大打撃となり、同様の流れとなるでしょうね。
日本の保険会社は、海外の保険会社と比べると、顧客にとってはかなり不利な商品内容であることは確かです。
保険契約者にアンケートでもとってみたらどうでしょうか。
「保険手数料開示に賛成ですか。それとも反対ですか。」
保険契約者にとっては、反対する理由って皆無だと思いますが。