向こうを歩いてるのは・・・後ろ姿からして橘君だ。
教室のドアのところにいると思ったら向こうに早足で行ってしまった。
私は部活が終わって教室で待っててくれてるみゆきを迎えにきたところ。
私も教室の中から聞こえた。
『俺、みゆきが好きだ。』
確かにこう言った。
――――私の大好きな人の声で。
私はドアの窓からそっと覗いてみた。
みゆきと拓磨が抱き合ってる。
正直辛い。
前から拓磨の気持ちを知っていたとしても・・・
みゆきが橘君のあとを追って走っていった。
“ガンッ”
ロッカーを蹴った音がして、私はビクッってなった。
「見ちゃったぁ!
フラれてやんの~」
って笑いながら励まそうとしたけどできなかった。
いつも、わいわい楽しそうに笑ってる姿しか見たことなくて、
こんな悲しそうに、悔しそうに顔を歪めている所を見たことがなかったから。
でも、肩を落として机に座ってる拓磨をほっとけなくて、無意識に足が進んでいた。
「拓磨…」
私の声に拓磨が顔をあげる。
「あー亜美か」
「…大丈夫?」
「あー見てた?俺ダッセーな」
ははって力なく笑いながら手で目を隠すように覆った。
「無理して笑わないで。」
見ていらなかった。
「泣いていいよ。みゆきのこと本気だったんでしょ?胸貸すしっ」
冗談のつもりで言いながら、正面に立って腕を広げてみた。
「…ぁりがと。」
拓磨は私の肩におでこを乗せた。
その行動にはビックリしたけど、そのまま私は拓磨の頭に手をのせた。
ーー見てしまったから。
頬を流れる涙を…
「なにやってんだよ…俺。」
みゆきには言ったことないけど、私は出会ったころから拓磨が好き。