最初に結論|ジェル状純石鹸とは?

ジェル状純石鹸とは、通常は固形になりやすい脂肪酸ナトリウム石鹸を、流動性のあるジェル状の基材として扱えるようにしたものです。

 

株式会社ビースタイルが保有する特許第7368664号の発明名称は、「流動性を有した脂肪酸ナトリウム石鹸を基材とした洗剤の製造方法」です。

 

つまり、固形石鹸に使われることが多い脂肪酸ナトリウム石鹸を、チューブやポンプから必要量を取り出せるような形にした製造技術です。

 

ただし、ここは大切なので先にお伝えします。

 

特許を取得していることは、製造技術の独自性を示すものです。

肌へのやさしさや美容効果を直接証明する臨床試験ではありません。

 

ジェル状純石鹸の特徴を正しく理解するには、形だけでなく、配合成分、pH、使用量、洗う時間、すすぎ方まで含めて考える必要があります。

 

 

固形石鹸・液体石鹸・ジェル状純石鹸は何が違う?

固形石鹸・液体洗浄料・ジェル状純石鹸の形状と質感の比較


左から固形、液体、ジェルという形状の違いを示したイメージです。

性能の優劣は、個々の処方と使用方法によって変わります。

 

 

石鹸は、脂肪酸とアルカリから作られる洗浄成分です。

一般的には、次のような違いがあります。

固形石鹸

主に脂肪酸ナトリウムが使われ、形を保ちやすいのが特徴です。使うときは水で濡らし、泡立てます。

液体石鹸

主に脂肪酸カリウムが使われ、液状にしやすいのが特徴です。

ジェル状純石鹸

脂肪酸ナトリウム石鹸を基材としながら、流動性を持たせた設計です。容器から必要な量だけ取り出しやすく、ほかの洗浄成分や保湿成分を組み合わせる処方設計にもつなげられます。

 

ただし、同じ「固形」「液体」「ジェル」でも、脂肪酸の種類、水分量、洗浄成分の濃度、保湿成分、香料、防腐設計などによって性質は変わります。

 

形状だけで、洗浄力や刺激の強さを判断することはできません。

 

「純石鹸なら必ず肌にやさしい」は本当?

純石鹸という言葉から、「天然だから安心」「必ず肌にやさしい」という印象を持つ方もいるかもしれません。

しかし、純石鹸は一般にアルカリ性です。

 

一方、健康な皮膚の表面は、一般に弱酸性の状態にあります。

Lambersらが330人を対象に行った研究では、水や化粧品との接触を24時間避けた後の皮膚表面pHは平均4.93で、自然な皮膚表面pHは平均4.7程度と推定されました。

 

参考:Natural skin surface pH is on average below 5(PubMed)

石鹸で洗った直後には、皮膚表面のpHが一時的に上がることがあります。

だからといって、「アルカリ性の石鹸はすべて悪い」「弱酸性ならすべてよい」と単純に分けることもできません。

 

大切なのは、次のような点を総合的に見ることです。

  • 洗浄力が強すぎないか

  • 必要以上に長く洗っていないか

  • 肌をこすっていないか

  • すすぎ残しがないか

  • 洗顔後につっぱり、赤み、かゆみが続かないか

  • 肌が本来の状態へ戻りやすい使い方になっているか

 

洗顔と「皮膚マイクロバイオーム」の関係

角層・水分・皮脂・皮膚マイクロバイオームがつくる肌表面環境の概念図


肌表面の環境を表した概念イメージです。

特定製品が皮膚常在菌を保護することを証明する図ではありません。

 

 

私たちの皮膚表面には、細菌や真菌など、さまざまな微生物が暮らしています。この集まりと、その遺伝情報や周囲の環境を含む考え方が「皮膚マイクロバイオーム」です。

 

よく「善玉菌」「悪玉菌」という言い方をしますが、実際にはそれほど単純ではありません。

 

同じ微生物でも、肌の部位、菌株、量、皮脂や水分の状態によって働き方が変わるためです。

 

大切なのは、特定の菌だけを増やそうとすることではなく、角層、水分、皮脂、pHなどを含む肌表面の環境を大きく乱さないことです。

 

2019年の研究では、スキンケア製品の使用によって、皮膚表面の化学組成や微生物構成が変化し得ることが報告されています。

 

 

参考:The impact of skin care products on skin chemistry and microbiome dynamics(PubMed)

ただし、微生物の構成が「変化した」ことは、直ちに「悪化した」という意味ではありません。

また、一般的な研究結果だけで、特定の洗顔料が「常在菌を守る」「美肌菌を育てる」と証明されたことにはなりません。最終製品を使った適切な対照試験が必要です。

 

 

ジェル状であることの4つの設計上の特徴

ジェル状であること自体が、美容効果を保証するわけではありません。

一方、製品の設計や使い方という面では、次のような特徴があります。

1.使う量を調整しやすい

容器から必要な量だけを取り出せるため、使用量を一定にしやすくなります。

2.濡れた肌や泡立てネットへ広げやすい

流動性があるため、固形石鹸を表面から溶かして使う場合とは異なる使い方ができます。

3.保管時に石鹸全体を濡らさずに済む

容器から必要量だけを取り出すため、固形石鹸のように本体全体を水に触れさせずに使えます。

4.短時間で洗い、すすぐ使用設計につなげやすい

あらかじめ使用量を決めて泡立てることで、肌の上で長時間こすらない洗い方につなげられます。

ただし、実際の使用感や肌への適合性は、製品のpH、洗浄成分の種類と濃度、保湿成分、香料、防腐設計、使用方法などによって変わります。

 

 

肌への負担を抑える洗顔方法

泡立てネットで作ったきめ細かな洗顔泡


摩擦を抑えるため、洗顔料を肌へ直接こすりつけず、きめ細かな泡を作ってから洗います。

洗顔料の種類にかかわらず、肌への負担を抑える基本は共通しています。

 

① ぬるめの水で顔を濡らす

熱いお湯は避け、肌が心地よいと感じる温度にします。

② 使用量を守る

「多ければ多いほどよく落ちる」とは限りません。商品に記載された使用量を守ります。

③ 泡立てネットで、きめ細かな泡を作る

泡をクッションにして、指が肌へ強く触れ続けないようにします。

④ 長時間こすらない

泡をやさしく転がすように洗い、必要以上に時間をかけないようにします。

⑤ すすぎ残しを防ぐ

髪の生え際、小鼻の周り、あごの下は、すすぎ残しが起きやすい場所です。

⑥ 洗顔後の肌状態を確認する

つっぱり、赤み、かゆみ、ヒリつきが続く場合は、使用頻度や製品を見直します。強い症状や皮膚疾患が疑われる場合は、化粧品だけで対処せず皮膚科医へ相談してください。

 

ジェニックジャパンの製品との関係

株式会社ジェニックジャパンでは、ジェル状純石鹸の考え方を取り入れた洗顔料を展開しています。

「ジェイジェニークバランスウォッシュ」の公式表示では、石ケン素地(純石鹸)のほか、アミノ酸系洗浄成分、微生物由来洗浄成分、ホホバ油などが配合されています。

 

使用時は、洗顔料を軽く振り、泡立てネットで握りこぶしほどの泡を作り、摩擦に注意してぬるい水ですすぐ方法が案内されています。

 

ジェイジェニークバランスウォッシュ 公式商品情報

 

なお、特許取得や一般的な皮膚研究の結果は、個々の最終製品の美容効果を直接証明するものではありません。

 

全成分、使用方法、保存方法、使用上の注意をご確認のうえ、ご自身の肌状態に合わせてお使いください。

 

 

よくある質問

Q1.ジェル状純石鹸は、液体石鹸と同じですか?

同じではありません。一般的な液体石鹸では脂肪酸カリウムが使われることが多いのに対し、ここで紹介するジェル状純石鹸は、脂肪酸ナトリウム石鹸を基材としながら流動性を持たせた設計です。

Q2.純石鹸なら、敏感肌にも必ず合いますか?

必ず合うとは言えません。肌への適合性は、洗浄成分の濃度、pH、香料や保湿成分、洗い方、その日の肌状態などでも変わります。赤みやかゆみなどが出た場合は使用を中止してください。

Q3.ジェル状なら低刺激ですか?

ジェル状という形だけでは、低刺激性を判断できません。最終製品の処方全体と使用方法を見る必要があります。

Q4.アルカリ性の石鹸は肌に悪いのですか?

一概には言えません。石鹸使用後には皮膚表面のpHが一時的に上がることがありますが、洗浄時間、すすぎ、摩擦、肌状態なども含めて評価する必要があります。

Q5.ジェル状純石鹸は皮膚常在菌を守りますか?

皮膚マイクロバイオームは洗浄や化粧品使用によって変化し得ますが、特定製品が常在菌を守ると結論づけるには、その製品を使った適切な対照試験が必要です。

 

 

まとめ|大切なのは「何で洗うか」だけでなく「どう洗うか」

ジェル状純石鹸の技術的な特徴は、固形になりやすい脂肪酸ナトリウム石鹸へ流動性を持たせ、容器から必要量を取り出せる洗顔設計にしたことです。

しかし、ジェルだから自動的に肌にやさしいわけではありません。

肌環境を考えた洗顔で大切なのは、

  • 適切な洗浄力

  • 使用量

  • 洗う時間

  • お湯の温度

  • すすぎ

  • 摩擦を抑えること

  • 洗顔後の肌状態を確認すること

これらのバランスです。

洗顔後のつっぱりや乾燥が気になる方は、化粧水やクリームを増やす前に、毎日の洗い方と洗顔料の選び方を一度見直してみてはいかがでしょうか。

この記事が、洗顔料選びに迷っている方の参考になれば、保存やシェアで身近な方にもお届けください。

より詳しい技術背景、研究内容、研究上の限界は、noteの記事で解説しています。

 

【note公開後、ここに正式な公開URLを設定してください】


「洗うことから肌環境を考える―特許技術が支えるジェル状純石鹸という洗顔設計」


 

参考資料・論文

  1. 特許第7368664号「流動性を有した脂肪酸ナトリウム石鹸を基材とした洗剤の製造方法」

  2. 株式会社ビースタイル「純石鹸が脱固形化―ジェル状純石鹸の開発」(PR TIMES)

  3. Lambers H, et al. Natural skin surface pH is on average below 5(PubMed PMID: 18489300)

  4. Korting HC, et al. Influence of repeated washings with soap and synthetic detergents on pH and resident flora of the skin(DOI)

  5. Lee HJ, et al. Effects of cosmetics on the skin microbiome of facial cheeks with different hydration levels(PubMed PMID: 29193830)

  6. Bouslimani A, et al. The impact of skin care products on skin chemistry and microbiome dynamics(PubMed PMID: 31189482)

  7. Janssens-Böcker C, et al. Influence of Cosmetic Skincare Products with pH below 5 on the Skin Microbiome(PubMed PMID: 39709312)


執筆・編集:岩永覚翔(株式会社ジェニックジャパン代表取締役/公的氏名・登記名:岩永 覚)
最終更新:2026年9月20日(令和8年9月20日・日曜日)

※本記事は技術と研究の紹介を目的としたものであり、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。
※化粧品の使用感や適合性には個人差があります。
※生成画像は記事内容を分かりやすく伝えるためのイメージであり、特定製品の作用や効果を証明するものではありません。

 

 

 

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