旧約聖書に「ヨブ記」という物語があります。
私はこれまで、ヨブ記を数十回読み返してきました。
なぜ、同じ物語を何度も読むのか。
それは、ヨブ記があまりにも難解だからです。
神から「正しい人」と認められていたヨブが、ある日突然、財産も、家族も、健康も失ってしまいます。
ヨブを慰めるために訪れた三人の友人は、
「これほどの苦難に遭うのは、あなたに罪があるからだ」
と、ヨブに悔い改めを迫ります。
しかし神は、最後に三人の友人に対して怒りを示し、
「あなたがたは、わたしについて、わたしのしもべヨブのように正しいことを語らなかった」
と告げられます。
では、ヨブの苦しみには、どのような意味があったのでしょうか。
なぜ神は、正しく生きていたヨブに、これほど過酷な苦難を許されたのでしょうか。
そして、ヨブが繰り返し求めた「なぜ」という問いに、神はなぜ直接答えなかったのでしょうか。
読めば読むほど、簡単には答えを出すことができなくなります。
しかし私は、聖書の中でも、すぐには理解できない難解な箇所にこそ、人間が何度も立ち止まって考えるべき大切なことが示されているように思います。
一度読んだだけでは分からなくても、何度も読み返し、考え、求め続ける。
そうすることで、その時の自分に必要な意味を、少しずつ示してくださるのではないでしょうか。
私自身、ヨブ記を読むたびに、違う箇所で立ち止まります。
そして、その時に自分が抱えている問題や苦しみ、自分の未熟さによって、同じ言葉がまったく違って見えることがあります。
現時点で、私がヨブ記から気づかされていることは、次の六つです。
◆ ヨブ記から学んだ六つのこと
1.苦難は、必ずしも本人の罪の結果ではない
神は苦難を、信仰を試し、人の心を深めるためなど、別の目的に用いることがある。
2.神は、いかなる時もすべてを治めておられる
神の正しさと善は、人間がその理由を理解できるかどうかによって左右されない。
3.神は苦難さえも無駄にはされない
苦難そのものが善なのではない。
しかし神は、その苦難さえも、最終的な善の中へ用いることができる。
4.苦難の中で問うべきこと
「なぜ、この苦難が起きたのか」だけではなく、
「この中で神とどのようにつながり、何を信じ、どう生きるのか」
を問うことが大切。
5.正しく生きる人が苦しむことはある
その究極の姿が、自らには一点の罪もないにもかかわらず、人間の罪を背負って十字架にかかられたキリスト。
6.最後まで神様に向き続ける
信仰とは、疑問や悲しみを持たないことではない。
苦しみ、嘆き、答えが見えない時にも、神との関係を断ち切らず、神に向き続けること。
これらは、ヨブ記についての最終的な結論ではありません。
今の私が立っている、ひとつの現在地です。
これから、この六つの気づきを目次として、一つひとつを、さらに深く考察していきたいと思います。
ヨブ記が私たちに問いかけているのは、単に、
「なぜ人は苦しむのか」
ということだけではないのでしょう。
本当に問われているのは、
「理由の分からない苦難の中で、あなたは神を信頼することができるのか」
「その時、あなたはどのような人間として生きるのか」
ということなのだと思います。
すべての理由が分からなくても、神を知り、神に向き続けることはできる。
その意味を、これからヨブ記を通して、さらに深く求めていきたいと思います。
今日は、この辺で・・・。
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