明治17年の落語家番付 | きるろいの快刀乱麻を断つ

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主に近世日本と落語ネタを綴っていくことを目標にして開設。最近は食いもん系が多いです。2024年はちょっと慎重に動きます(`_´)ゞ

先日入った喫茶『楽屋』
撮影させてもらった明治時代の落語家番付表を虫食いを補修するがごとく読んでいる。正にブラウジングだウインク
協会発行ではない。ほぼ中央のそれぞれ
古今亭志ん生
春錦亭柳櫻
桂文治 
に興味を惹かれた。
真ん中、春錦亭柳櫻の上に四ッ谷なんとか目
例のアレかな!?
ってぇことは、つまり得意ネタを記してあるのだなニヤリと、そこまでは推測がつく。

となると他の2人も根多が書いてあるはず。
しかしながら志ん生、文治のが読めないショボーン

5代目志ん生なら私もわかりそうなものだが、便覧に明治17年とあるからもちろん違う。当時が何代目であるかを調べてみるしかない。その他もついぞ読めないので史料に頼ることにする。

明治17年は西暦で1884年ごろ。どうやら、

古今亭志ん生→2代目(1832〜1889) 

春錦亭柳櫻→初代?(1818〜1884)

桂文治→6代目(1843〜1911)

であると推測できる。彼らについて得意ネタとする噺を調べ、文字を照合しながら確認することにした。

まずは古今亭志ん生から
赤〇青〇が紛らわしい。ほとんど同じにも見えてしまうが横棒がはっきりしている分、最初の字の「さ」は間違いない。その次は「く」

3文字目「ら」が流れて次の文字に掛かっているから尚更一見すると横棒があるようにも見えて「さ」と紛らわしいえー

この字母が「」である「た」は元は漢字らしいとすぐにわかるものから下矢印
このようにニョロニョロっとしていて元の漢字がわからないものまで、くずし方のバリエーションが激しい爆笑
濁点 ゛が打ってあるから「だ」
次の行、緑〇は「之」で「し」濁音で「じ」
「けん」はすぐにわかる。

これも結局は知らなければわからないてへぺろ
史料により得意根多に『桜田事件』というのがあると判明ウインク

内容は検索しても出て来なかったが「桜田門外の変」を扱った講談調の噺かな!?などと勝手に推測する。

春錦亭柳櫻
四ッ谷がわかっているから、あれかなぁはてなマーク
と想像できるが、一応確認キラキラ
「く」の次は「王」で「わ」
次の「い」は読めるとして、またしても

ニョロニョロびっくり

しかしお隣りの青〇と同じ「」とわかれば
「四ッ谷くわいん」と分かる。
この人は怪談噺を得意としたのだろう。

桂文治
「おさん〇〇〇」と読めるが何のことやら?キョロキョロ

また拙宅のくずし字辞典を紐解いてみよう。
「も」の字母は「毛」1種類。ところがかなりくずし方にはバリエーションがある。
2番目の「の」に似た字が一番近いのではないか? これでも「も」だから次の「へ」「ゑ」と併せて、

「お さ ん も へ ゑ」まで読めた照れ
ただし意味が不明だショボーン

種明かしをすると、史料によると明治17年(1884)が没年の6代目桂文治の得意ネタの中に『おさん茂兵衛』とあった。恥ずかしながら私は知らなかったがあせる井原西鶴だか近松だかの有名な芝居噺のようだ。

整理すると、

古今亭志ん生『桜田事件』

春錦亭柳櫻『四ッ谷怪談』

桂文治『おさん茂兵衛』


ということになる爆弾