【Gartner調査】9割の企業がSaaS利用を継続/拡大へ――理由は「コスト効率の高さ」と「容易な配備」
12月3日18時33分配信 Computerworld.jp
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081203-00000003-cwj-sci


 米国の調査会社Gartnerが12月2日に発表した調査リポートによると、9割の企業がSaaS(Software as a Service)を今後も利用し続ける、もしくは今後1年のうちに利用を拡大すると答えている。

 同調査の回答者は、エンタープライズ・ソフトウェアの購入決定権を有する258名の企業幹部。彼らが属する企業は世界主要8カ国にわたっている。

 回答者が挙げたSaaS導入理由のトップ2は、高いコスト効率と配備の容易さだった。また、3分の1以上(37%)は、期待どおりの性能を発揮していない社内運用(オンプレミス)ソフトウェアの代わりにSaaSを導入することを計画していると回答した。

 地域別に見ると、SaaSの利用がいち早く進んでいるのは、やはり米国である。20%を超える回答者が5年かそれ以上利用しており、60%はここ3年の間に導入したと答えた。米国以外の地域も合わせたトータルでは、40%を上回る企業が3年以上SaaSを利用中と回答している。

 「SaaSの利用は過去10年で徐々に広がり、ここ3~4年は加速度的に拡大した」と、Gartnerのリサーチ・ディレクター、シャロン・メッツ(Sharon Mertz)氏は述べている。

 欧州企業の場合、SaaSモデルあるいはサブスクリプション製品への投資額は北米企業ほど多くない。ただし、欧州企業に属する回答者の49%はやや新規投資が増加すると予想し、15%は大幅に投資が増加すると考えている。ちなみに北米企業の場合は、これらの回答はそれぞれ62%と15%を占めた。

 「ユーザーはSaaSに対し、より高水準の機能性を求めるようになっている。時には、より機能豊富なソリューションを選んだり、組織規模拡大に応じてユーザー数を増やしたりできるように、契約を早期に再調整するよう自社のIT部門に促すこともある」(メッツ氏)

 世界的な景気低迷もSaaSの利用拡大を後押しすることになるだろう。多くの企業が2009から2010年にかけてIT支出削減を余儀なくされるとみられており、より低コストのSaaSソリューションへと予算の投入先が転換されそうだ、とメッツ氏は語った。

 このようにSaaSを利用する企業が増えているにもかかわらず、管理ポリシーの問題は依然として残されたままだ。

 評価、調達、配備上で従うべきプロセスまたはポリシーを確立しているのは、SaaS利用企業のうち38%だけだった。そうした企業の大多数は欧州と北米に本拠を置いている。驚くべきことに、SaaSを利用していると答えた回答者の26%は、管理ポリシーの策定計画を持っていなかった。

(Computerworld英国版)