ソーシャル・ネットワーキングで変貌する企業内コラボレーション
柔軟性と配布性に優れたデータ検索/整理/共有基盤として活用
http://www.computerworld.jp/topics/sns/126529.html
(2008年11月07日)

 今月初め(11月3日~4日)に米国コロラド州デンバーで開催されたソーシャル・ソフトウェアに関するコンファレンス「Defrag 2008」では、「ソーシャル・ソフトウェアの導入によってエンタープライズ・コラボレーションの進化が促され、企業ユーザーは柔軟性と配布性に優れたデータ検索/整理/共有のツールを入手しやすくなる」との認識が共有されることとなった。

John Fontana/Network World オンライン米国版


 Defrag 2008は、個人、グループ、組織が体系化したいと考える大量の情報に意味を持たせることをテーマとしたコンファレンス。開催初日には、激増するデータをどう評価し、それをどう活用するかを巡ってさまざまな意見が戦わされた。


「Defrag 2008」コンファレンスのWebサイト
 初日のパネル・ディスカッションにパネリストとして参加したブルース・ヘンリー(Bruce Henry)氏は、「コラボレーションとソーシャル・インタラクション(社会的相互作用)がどのように進められるかを、われわれはより分析的な視点でとらえ始めている」との見解を述べた。

 ホステッド・プロジェクト管理ツールを提供する米国Liquid Plannerで、ロケット・サイエンス担当ディレクターというユニークな役職にあるヘンリー氏はまた、「かつて人々は、同じ建物内の似たような部屋で、同じツールセットを使って仕事をしていたが、今日の社員は分散して仕事をこなしている。かかわるチームも、必要なデータも、さまざまな場所に散らばっている」との表現で、コラボレーションの変容ぶりを指摘した。

 こうした動的な環境に最も自然になじむのが、ほかならぬソーシャル・ソフトウェアである。このソフトウェアは、見かけ上は相関関係のないデータ層と人々とを引き合わせて、「知識」と定義できるようなものを生み出すという役割を担っている。

 「ワーキング・スタイルが急激に変化するなかで、コラボレーションが実際にどうすればうまく機能するのかということが、単なる理想像ではなく現実の姿として見えつつある」(ヘンリー氏)


パネリストとして参加したBruce Henry氏(左)とAaron Fulkerson氏(右)
 厳格に規定されたツールを特定の企業環境に展開すれば、社員が定められた範囲内でのみ改変することが可能なアプリケーション・クラスが生まれる。この種のツール(ソーシャル・ソフトウェア)としてはブログ、wiki、タギング(タグ付け)、ブックマーキング、ソーシャル・メッセージング、プロフィールなどが存在するが、これらを通じて対話が促進され、人々と情報とが関連づけられるようになるわけである。

 一方、同じくパネリストを務めた、米国MindTouchのCEO、アーロン・フルカーソン(Aaron Fulkerson)氏は、「将来的には、連携されていないすべての企業アプリケーションを取り込むことが可能な、分散アーキテクチャとSOA(サービス指向アーキテクチャ)インフラを活用したコラボレーティブな基盤が誕生することになるのを期待している」と、ソーシャル・ソフトウェアと企業アプリケーションの組み合わせが生み出す新たな可能性を示唆した。

 ちなみに、同社は、企業のデータ・リポジトリに存在しているデータを収集するwikiベースのコラボレーション・ツールを提供しているオープンソース企業である。