ビジネス利用に特化し急成長・ビジネスSNSのLinkedIn(1)
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT2E000023062008&cp=1


[2008年6月24日]
日本語化の検討も進むLinkedIn

 ユーザー数が2300万人を超え、ビジネス分野のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の先進事例として注目を集める米LinkedIn(リンクトイン)。日本ではなじみの薄いサービスだけに、どのように使われているのか、イメージがつかみにくい人も多いだろう。LinkedInを題材にビジネスネットワークのあり方を研究する中央大学の折田明子助教が、3回に渡って全貌を解説する。


■ユーザー数が急拡大

 LinkedInはシリコンバレーで生まれた、ビジネス利用に特化したSNS、ビジネスネットワーキングのためのサービスである。日本での知名度は高くないが、2008年6月には登録ユーザー数が2300万人を突破。ニールセンが毎月発表しているSNS利用状況統計によれば、4月時点で、前年と比較してユニークビジター数は361%も増えている。同じく米SNSのFacebookが56%増、Myspaceが3%増であるのと比較すると、突出した成長ぶりだ。将来性を見込まれ、今月18日にはベンチャーキャピタルから5300万ドルの資金を追加調達したと発表した。

 社員は約250人。現在はすべてのサービスを英語で提供しているが、メニューの日本語化など日本向けサービスの提供に向け、昨年9月にインターネットビジネス支援のデジタルガレージと提携して準備を進めている。現状で、日本人のユーザーは10万人以上と見られている。


■老舗のSNSとしてスタート

 LinkedInは2003年5月にサービスを開始した。創業者はかつて米決済サービスのペイパルの上席副社長を務めていたReid Hoffman氏だ。

 Hoffman氏には、LinkedInの典型的な使い方を象徴する、こんなエピソードがある。かつてあるプロジェクトで日本でのサービス展開のために日本の法律を調べる必要があって、LinkedInで知人に片っ端から「質問に答えられる人を探してほしい」と頼んで回ったところ、知人のうち2人が伊藤穰一氏(デジタルガレージ取締役)の名を挙げた。2人のうち、伊藤氏とのつながりがより強い知人を通じて伊藤氏に連絡。伊藤氏はHoffman氏の役に立つ人物を紹介した。このときの出会いがきっかけで、デジタルガレージとの提携にも結びついたという

 LinkedInの開始直後、2003年7月にMySpace、2004年にFacebook(2006年までは大学生に限定)がそれぞれスタートしており、LinkedInは老舗のネットワーキングサイトの一つと言える。当初からビジネス利用に焦点を絞ってきたLinkedInだが、創業当時はシリコンバレー在住のユーザーが中心で、「LinkedInで仕事が見つかった」という例と、それに対する懐疑的な視線が入り混じっていたようだ。Hoffman氏は日本のメディアとのインタビューのなかで、当初ビジネスパーソンにメンバーになってもらうことが困難だったと述べている。

 しかしその後、人気が急拡大。米調査会社のeMarketerによれば、LinkedInのユーザー数は2003年には85万人、2004年には163万人、2005年には441万人と増加し、2006年に一気に800万人を超えている。その後も登録ユーザーは毎月50万人のペースで増え続けており、2000万人超に至った。現在ではシリコンバレーで社員がLinkedInに一人も参加していない企業を探すほうが大変だという。