【インタビュー】グーグル幹部、Google Appsサービス障害の“過剰報道”に苦言
11月20日11時6分配信 Computerworld.jp
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081120-00000000-cwj-inet

マシュー・グロツバック氏がGoogleの公式サイトにアップした投稿の画面

 「最近発生したGoogle Appsのサービス障害をIT関連のマスコミが過剰に報道した結果、当社のホステッド・コラボレーションおよびコミュニケーション・スイートの安定性に関して誤解が生じている」。米国Googleのマシュー・グロツバック(Matthew Glotzbach)氏は、IDG News Serviceとのインタビューでこのような見解を示した。Googleは、当メディアIDG News Serviceについても「過剰報道を行ったマスコミ」とみなしている。

 米国Googleでエンタープライズ部門製品管理ディレクターを務めるグロツバック氏は、Googleの公式ブログへの10月30日付けの投稿の中で、「Google AppsなどのWebホステッド型ソフトウェアに対して、可用性(availability)とパフォーマンスに対する監視の目が厳しいのは、インターネット・クラウドという“公的な場”で障害が発生するためだ」と主張している。

 同氏によると、一連のマスコミ報道は、クラウド・アプリケーションの全体的な信頼性について、従来の自社運用型(on-premise)ソフトウェアとの比較を正しく伝えておらず、人々に誤解を与えているという。

 「例えば、昨年のGmailの可用性(サーバ・サイドのエラー率から算出した1ユーザー当たりの平均アップタイム率)は99.9%を上回っており、1カ月当たりのダウンタイムは10~15分にすぎない。米国Radicati Groupの調査リポートでは、自社運用型の電子メール・システムの計画外ダウンタイムは平均30~60分と報告されている。しかも(Google Appsでは必要にならない)購入、インストール、保守管理のコストがかかる」(グロツバック氏)

 グロツバック氏はインタビューの中で、Gmailサービスに24時間以上アクセスできなかったユーザーも出た8月と10月に発生した複数回にわたるサービス障害に関して、Googleサイドからの“妥当な見解”を展開した。

――最近のブログへの投稿でGmailとAppsの信頼性とパフォーマンスについて書いているが、その要点についてあらためて説明してほしい。

 一般的に、クラウドの信頼性は、平均的なエンタープライズITシステムの信頼性に比べて監視の目が厳しい。もちろん、そのこと自体は結構なことである。厳しく監視されることによって、クラウドの品質を高く維持できる。しかし、人々の認識は現実よりも誇張されやすいものだ。

 ごくわずかなユーザーにだけ影響がある場合でも、あたかも大部分のユーザーに影響を及ぼす深刻な障害として報道される。もちろん、(障害が)許容されるべきだと言っているわけではない。100%の信頼性が期待されてしかるべきで、それは当社の目指すゴールでもある。100%の信頼性を達成できれば常に稼働状態を維持することができ、何の議論も起こらなくなるはずだ。Google.comではこのゴールド・スタンダードをすでに達成しており、いずれは Google Appsでも実現したい。

――Gmailで24時間を超える障害が発生した原因はどこにあったのか。

 まず、実際にユーザーが24時間以上もサービスにアクセスできない状態になることはごくまれなケースであることを理解していただきたい。障害の報告がなされた場合も、障害の合計時間が12時間であれ、24時間であれ、その間にユーザーに実影響を及ぼすのは10分前後にすぎない。

 ユーザーが数時間にわたってアクセスできない障害の原因は、個々の障害シナリオによって異なる。すべてのユーザーはデュアル・ホームド環境、すなわち彼らのデータは2カ所の異なるロケーションで管理されている。万一障害が発生した場合でもフェールオーバによって一方のロケーションで自動実行されるため、現実にはほとんど(99%超)のユーザーに影響を与えることはない。

 特定のユーザーに対して、何らかの理由でフェールオーバが実行されないというのは、アカウントにかかわるエラー、あるいはマスターとスレーブ間の同期の乱れが原因である可能性が考えられる。

 こうしたケースではフェールオーバが失敗し、問題のある物理ロケーションを復旧するまでの間、特定のユーザーがサービスにアクセスできない事態が発生する。当社はこの問題解決に向けた努力を続けており、その成果はこの数カ月間の当社の対応を見ればおわかりいただけると自負している。

(Juan Carlos Perez/IDG News Serviceマイアミ支局)