【解説】「新生ヤフー」への第一歩――ヤンCEO辞任
11月20日11時34分配信 Computerworld.jp
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081120-00000001-cwj-sci

CEOを辞任したジェリー・ヤン氏。役員の地位には今後もとどまる

 Microsoftからの買収案に乗り損ね、Googleとの提携は頓挫、そのうえ2度にわたるレイオフで将来を不安視される米国Yahoo!。共同創業者ジェリー・ヤン(Jerry Yang)氏がCEOを辞任したことは、不安要素を一掃して新たなスタート台に立つことを目指す同社にとって不可避だったのかもしれない。

 Yahoo!は11月17日、ヤン氏のCEO辞任を正式発表した。2007年6月にCEOに就任したヤン氏は、後任が見つかり次第、かつての肩書き“チーフ・ヤフー”に戻ることになるが、役員にはとどまるという。

 ヤン氏は、今年2月にMicrosoftから450億ドルでの買収提案を持ちかけられて以来、幾度にもわたり経営判断を誤ったとして、この数週間、株主の非難の矛先に立たされてきた。Microsoftは1株当たり33ドルでYahoo!買収を提案したが、ヤン氏は安すぎるとして拒否していた。

 結局、Microsoftは買収案を撤回し、ヤン氏はMySpaceとの合弁事業について米国News Corpと、またAOLとの合併について米国TimeWarnerと話し合ったものの、いずれも合意には至らなかった。6月にはGoogleと検索広告サービス事業での提携に合意したが、これも米国司法省からの反対により、ご破算となった。

 ヤン氏がCEOを辞任するのは時間の問題だったと語るのは、市場調査会社 Sterling Market Intelligenceのアナリスト、グレッグ・スターリング(Greg Sterling)氏だ。「CEOの入れ替えは予想されていたことだ。数カ月前から世間でもうわさになっていた。過去数四半期の決算や、同社の財務状況が一向に改善しないことから、新たなリーダーが必要だと判断したのだろう」(スターリング氏)

 スターリング氏はヤン氏の会社立て直し案に一定の評価を与える一方、「今のYahoo!にヤン氏の個性は合わないのかもしれない。同氏のCEO辞任は、ヤフーが新しく生まれ変わるうえで必要な1つのステップだとみるべきだ。会社として自信を取り戻すには、もっと強いリーダーシップが必要だろう」と分析する。

 今後はヤン氏の後任人事が憶測を呼びそうだ。筆頭候補はYahoo!の現社長スー・デッカー(Sue Decker)氏だが、同氏の名がヤン氏の後任としてすぐに発表されなかったところを見ると、実際に選任されるかどうかは不明だ。それでも、「デッカー氏は非常に優秀な人物であり、当然名乗りを挙げるはずだ」と、米国Altimeter Groupの創業者であるアナリストのシャーリーン・リー(Charlene Li)氏は語る。

(Martyn Williams、Nancy Gohring、James Niccolai/IDG News Service東京支局)