[米国] 【フォレスター調査】
フォレスターが選ぶ「クラウド・コンピューティングで注目すべき11ベンダー」
「課題はあるが、破壊的テクノロジーとなる」と同社アナリスト
http://www.computerworld.jp/topics/cloud/100770.html


(2008年03月12日)

 「課題は残されているものの、クラウド・コンピューティングはいわゆる“破壊的テクノロジー”になりそうだ」――。米国の調査会社Forrester Researchは3月10日、クラウド・コンピューティングに関する調査リポートを発表し、その可能性と現存する課題を指摘したうえで、このテクノロジーを牽引するベンダー11社を挙げた。

 調査リポートによると、クラウド・コンピューティングにはサービス・レベル契約(SLA)やカスタマー・リファレンスが欠けていたり、セキュリティやコンプライアンスに問題があったりと、企業ITとして導入するには依然として重大なリスクが残されているという。しかし、それでもなお、企業の間ではクラウド・コンピューティングを利用する動きが広まっているとしている。

 「ある企業の開発者がクラウド・コンピューティングを今まさに試している可能性は高い」と、Forresterのシニア・アナリスト、ジェームズ・ステーテン(James Staten)氏は調査リポートに記している。

 クラウド・コンピューティングは、ここ数年でよく聞かれるようになった言葉だが、企業は以前からインターネットやSaaSを活用しており、クラウド・コンピューティングの環境自体はさほど新しいものではない。

 だが最近では、クラウド・コンピューティング環境でホスティング・アプリケーションだけでなく、カスタム・アプリケーションも実行可能なサービスを提供しているベンダーもある。こうしたベンダーは、処理能力を柔軟に調整して、使用した処理能力に対してのみ料金を徴収するというシステムを採用している。


 Forresterは、クラウド・コンピューティングの注目ベンダーとして、Akamai、Amazon.com、Areti Internet、Enki、Fortress ITX、Joyent、Layered Technologies、Rackspace、Salesforce.com、Terremark、XCalibreの11社を挙げている。

 このうち、企業IT分野で関係してくるのは、Akamai、Amazon、Salesforceの3社だとしている。Akamaiは、クラウド・コンピューティングを利用するユーザー向けにアプリケーション高速化サービスを提供している。また、Amazonは、「Amazon Elastic Compute Service(EC2)」と、クラウド・コンピューティングを利用したストレージ・サービスを提供している。


 Salesforceは、ホスティング・アプリケーションのほか、クラウド・コンピューティング環境のソフトウェア開発を支援するPaaS(Platform as a Service)を提供している。


 一方、Terremark、Layered Technologies、XCalibreおよび新興のEnkiは、クラウド・コンピューティング環境の管理ビジネスを手がけている。

 Staten氏は、「確かにクラウド・コンピューティングは、この先どうなるかわからない段階にある。それでも企業のIT幹部は、スタッフがどのようにクラウド環境を使っているかを早めに把握しておいたほうがよい。IT部門がクラウド環境のメリットを示せなくても、事業部門が示してくれるだろう。クラウド・コンピューティングは説得力のある技術だ。参入障壁や撤退障壁も低い。学べる点は多いはずだ」と調査リポートで指摘している。

(Laurianne McLaughlin/CIO 米国版)