最近、日記を自粛しておりますが、ちょっと重要な問題とも感じまして、政治系のネタを書き込みさせていただきます。
ミャンマーのサイクロンの問題、中国の四川大地震の問題と、近隣のアジア諸国に大きな自然災害が発生いたしました。
軍を背景とした政権が統治するミャンマーですが、近時、政権への反対の機運が盛り上がっていることから、世界の批判的な目が向けられている状況での、大災害となりました。
また、中国はオリンピックという「世界の大国として認められる最大のイベント」を前に、誰かが仕掛けたかのように「チベットの問題」が噴出し、それが中国の弱点とも言える「近代国家らしからぬ政治体制」と結びつけられて、厳しい目線を投げかけられている最中での大災害となりました。
その上で、両国とも災害直後に政府が、物的支援は受けるが、人的支援は受けないというスタンスを取った為、一部メディアでは「人権に乏しい感覚」があるものと受け止められていました。
しかし、これは間違いです。
ミャンマーのケースは、ボクのような者から見ても常識外れの勘違いに見受けられますが、中国のような災害において、直ぐさま人的支援を受けにくいということは、災害救助ではよくあることなのです。
余程の専門家が地元の組織と連携して救援に当たれるのなら兎も角、一般的には、人命が深く関わる初動の段階で、一番問題となるのは「現場の指揮系統混乱」だからです。
ですから、中国政府が自国の大災害に直面して、まずは自国の救援体制をしっかりと組織して、それから諸外国の人的支援を受け入れることは、あまり変なことではないのです。
因みに、我が国の阪神淡路大震災等の例でも、自国の救援体制を速やかに整えてから、海外の人的支援を受け入れました。
まぁ、阪神淡路大震災では、時の村山内閣の初動が著しく遅れたということが数多報道されて、それに対して、リーダーシップの発揮出来なかった村山首相が「何分初めてなもので。」という「最高責任者とも思えない桁外れに頓珍漢な発言」をしたことが、多くの人間の失望を呼んだことが記憶にとどめられています。
少し話がそれましたが、大災害が人命に関わるものであるからこそ、通常は自国の指揮体制が整わない限り、人的支援が混乱を増幅させるものであることがおわかりいただけるとも思います。
勿論、それを知るからこそ、自国での災害危機管理を日頃から想定したり、場合によって行われる海外への人的支援への行き届いた体制整備をすることが、世界各国の本質的政治的課題のひとつなのだとも思います。
尚、その中国も今回の初動が万全であるのかについては、様々な意見があるようですが、ミャンマーの対応の遅れについては、お話しにもならない状況のようです。
そもそも、サイクロンの接近についての報道を報道管制により全くと言っていい程行わず、その後も憲法の是非を問う国民投票を優先してしまっただけでも、かなり国際的には非常識であるのに、
その後諸外国の人的支援や報道受け入れが、政府への批判の増大や国内反勢力の勢いづけに繋がると、強く考えているフシが見受けられます。
自国民の生命や財産を最優先で守るという観点の欠落した政治体制では、この先の多くのことが思い遣られるのは、ボクだけではないでしょう。
このように、大災害はその国の政治体制の裏に隠れた成熟度が、露骨に表面化するものであったりします。
その中で、今回救いとなったのは、中国に進出している日本企業の多くが、速やかに支援を行ったことです。
末尾に添付した記事のように、日本企業の積極的かつ迅速な支援行動が、先方の国民の気持ちに訴えない訳は無いのです。
記事では、日本の人的支援が少人数であることを揶揄した書き込みについても言及されていますが、これは上記のような事情を知らない人の対応だと思います。
いずれにいたしましても、人的支援を最初に受け入れてもらえたことも含めて、地震大国の日本が、被災国である中国において、面目を施したことは、全く以て嬉しい限りです。
日本人であるボク等が出来ることは、義捐金もそうですが、今回活躍した日本企業を応援して行くことで、それら企業が被災国で益々愛され、益々支援を積極的に行うように支えてあげることだと思います。
さて、4月に始まったウチの大学でのボクのゼミは、どうしたものか他の先生方があまり好まない日本語が下手な留学生ばかりで構成されたものとなりました。
とりわけ3年生は、20名近くの内、日本人が1名だけで、後は2名のベトナム人と残りは全て中国人の学生です。3年生編入で来たばかりで会話もままならない留学生も半数以上います。
そのおかげで、現時点では大半の時間を日本語指導と来るべき就職指導にばかり費やしていますが、その彼等も今回の日本の活躍には胸を撫で下ろしているようです。^^
これからの時代は、当然ながら日本だけで発展することは不可能です。経済を中心にして、国境を人・モノ・金が飛び交う時代に、今回の大災害という悲惨な出来事が、せめてきっかけとして我が国の努力を正当に評価していただける流れとなることを、切に願っています。
長文失礼 早々頓首 雪風拝
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「救助隊派遣と義援金 中国で「日本評価」急上昇」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080516-00000001-jct-soci
四川省を襲った大地震で、死者5万人を超すとも言われる甚大な被害に見舞われている中国に、日本政府が国際緊急救助隊を派遣したほか、日系企業も次々に義援金の寄付を表明した。これによって、中国国内での日本の評価が急上昇、ネット上でも「中日友好」「今までの反日感情を反省しなくては」といった書き込みが相次ぐなど、これまでの日本に対する評価が一変しつつあるようだ。
■外資系企業のなかでいち早く義援金の寄付を表明
「今回の大震災で日系企業がいち早く義援金を寄付することについて、こちらの新聞、インターネットでは大きく報道されています。市民の日系企業に対する評価も非常に高まっています」
こう話すのは、中国北京在住の経済ジャーナリストだ。
2008年5月12日に四川省でマグニチュード7.8大地震が発生した後、北京にある日系企業は外資系企業のなかでいち早く義援金の寄付を表明した。
5月13日午前には、北京大学の式典に出席したキヤノン中国法人の小沢秀樹社長が、被災地に100万元(約1600万円)の義援金を寄付することを明らかにし、翌14日には、中国赤十字を訪れ、さらに1000万元の義援金を寄付した。小沢社長は、「大震災でたいへん心を痛めている。支援の手を差し伸べて、被災者に最大限の救援をしたい」と話している。
一方、日立製作所中国法人も「日立グループは、今回の中国四川省における地震災害に対し、物資の提供を含む800万元相当の支援を行い、現地の救援と復旧に必要とされる建設機械での支援を優先して行う」と話し、東芝中国法人も「東芝は被災地域の救援のため、グループで2000万円の義援金を出すこととなった」と答えている。
日本側の相次ぐ義援金寄付は現地で大きく報じられており、インターネットに掲載された記事のコメント欄には、日系企業を評価する書き込みが相次いでいるという。
■ネットには「日中友好」表明する書き込みが相次ぐ
一方、日本政府は国際緊急援助隊約30人の中国派遣を決め、5月15日夜には北京に到着した。今回の地震で中国政府が海外の人的支援を受け入れたのは日本が初めてで、現地ジャーナリストも「(1976年に発生したM7.8規模の)唐山大震災のときには外国救助隊を受け入れなかったのと比べると、受け入れのタイミングはかなり遅かったとはいえ、大きな変化だ」と「日中関係の激変」を指摘している。
「一番乗り」となった日本の救援隊派遣については、中国のインターネット上で、「わずか20人ぐらいの救援隊を派遣して、それで中国人の心を買おうなんて、日本人が怖いですね」と反日感情を露にする書き込みも相変わらずあるものの、好意的な内容がほとんど。
「今回、日本は友好的な気持ちで、中国に救援隊を派遣した。この気持ちはきっと中国国内で広がっていくはず。デタラメな反日感情を本当に反省すべきだ」
「地震をきっかけにして、中日感情を修復しましょう」
といった「日中友好」を表明するような書き込みが相次いでいる。
日中政府や在中日本企業にどのような思惑があるにせよ、四川大地震を機に、中国での「対日感情」には大きな変化が生まれているようだ。