前回はイミグレの長蛇の列から離脱して、違うカウンターに行き、事情を説明する所まで書きました。
西洋人男性が頭を抱えて『アー!』と言いながらカウンターから離れた瞬間にすかさず俺が切り込みます。カウンターには女性職員(※以外女職)
俺『エマージェンシー!エマージェンシー!』
女職『あぁ?』
いや、さっきの黒ベレー帽と同じ反応かい!あ、俺の英語力の問題か?とか一瞬考えつつも、
俺『マイ フライトタイム ワンフォー ワンファイブ ノータイム!エマージェンシー!』
女職『…。(ジーッと見ている)』
俺『え?』
あれ?伝わらない?いや、もう一回だ!
俺『マイ フライトタイム ワンフォー ワンファイブ ノータイム!エマージェンシー!』
女職『…。(ジーッと見ている)』
おい、なんだそのドラクエみたいなリアクションは。様子を見ているとかやってないから!いや、もう一回!!
俺『マイ フライトタイム ワンフォー ワンファイブ ノータイム!エマージェンシー!エマージェンシー!!』
女職『(大きく息を吸って)はぁ〜〜〜。(顔を上げて)No(行列を指差してあっちに行け的な)』
いやー、あんなにわざとらしいため息は初めてみました。まるでハリウッドの映画を見ている様な感覚に陥りました。それでも、こちらも必死なので食い下がります。
俺『いや、だから、(指さして)あの列に並んでたらエアープレイン乗れないの!ノータイム!プリーズヘルプミー!』
女職『はぁ〜。No!(列を指差して並べ)』
俺『いや、だーかーらー、マイ フライトタイム エマージェンシー!(搭乗券の時間を指して)この時間なの!ノータイムなの!』
女職『Noーーー!!』
俺『いや、ノーじゃなくて、(指さして)あそこのブラックベレーキャプの男の人に、(指指して)ここのカウター!ディスカウンターゴーって言われたの!ヘルプミー!』
女職『…。』
俺『どうすればいいかな!?ディス カウンター スタンプ プリーズ!プリーズ!』
女職『…。』
最後の方はまさかのシカトです。もはや俺の言語も崩壊していますが取り合ってもくれません。恐らく先程の西洋人からの俺だったので、また来たよぉ〜。という様な気持ちだったのでしょう。しかし離陸まで後20分。俺には時間がない!!あー!どうしようヤバイヤバイ!!と思っていると、後ろの方で『マズイな』『どうする?』という声が聞こえてきました。え、日本語!と振り返るとメガネをかけた男性二人が『参ったなぁ』などと言って話してます。後に連絡先を交換して名前はわかっていますが(※以下メ)
俺『あの!もしかして同じ便ですかね!?』
メ『14時15分のやつなんですが…』
俺『一緒ですね!もう時間ヤバイですよね!?』
メ『そうなんですよ!あの女性職員の方ダメでした?』
俺『全然ダメですね。あの列に並べばっかりで。間に合わないって必死に伝えてるんですが…』
メ『なんでここのカウンターに来たんですか?』
俺『入り口付近にいた、ベレー帽の男性にあっちのカウンターに行けって言われて』
メ『一緒です!僕らもあの人にあっちに行けっていわれて!』
俺『おっしゃ!もう一度さっきの黒ベレー帽にどうすればいいか聞きにいきましょう!』
メ『行きましょう!!』
おぉ!仲間が増えた!しかも日本人!多勢に無勢!なんとかなるかもな!と期待を膨らませて、黒ベレー帽の所へ。
俺『エクスキューズミー!(指して)あそこのカウンターに行って、エマージェンシーって伝えたけど、Noって言われたんだけど、どうしたらいい!?』
もはや日本語である笑
黒べ『OK。(一番左のカウンター指して)counter go』
俺『え?(指指して)あっち?』
黒べ『Yes!go go go go goー!!』
ゴーゴーゴーゴーじゃなくて、いや、あんたさっき一番右行けって言ったやん!最初からこっち誘導してくれよ!もぉ〜。
俺『あっちだって!』
メ『行きましょう!!』
2回目に案内されたカウンターに着くと、さっきの長身の西洋人が相変わらず大声でワーワー言ってます。見ていても仕方ないので、俺はカウンターの前に立っていたやる気のなさそうに立っているおじさん職員(※以下お職)に事情を説明する事に。
俺『エクスキューズミー!エマージェンシー!エマージェンシー!!』
おじ職『あぁ?』
ぐぅ、こいつも同じ反応かい…!
俺『マイ フライトタイムヤバイ!(手首を指して)20ミニッツ!パスポート スタンプ プリーズ!ヘルプミー!!』
おじ職『…No』
俺『ホワッツ!?(指さして)あそこのベレーキャプのにいちゃんに、ここ!ディス カウンター プッシュ スタンプしてもらえるって来たの!ここに!ヒヤー!』
おじ職『…No。gate close』
俺『ノー!ノー!ノーゲートクローズ!20ミニッツあるから、走れば…ラン!ランすれば間に合うから!!』
もはや、ルー大柴みたいな会話である。
おじ職『No No No…(大きく息を吸って)はぁ〜〜〜。』
俺『(ぬぅ〜。またもや…!!)』
おじ職『Ok、wait…。』
お!なんだ、通じたのか?進展があるのか!?と思っていたら、面倒臭そうに奥の方へ歩いていって、奥にいた職員と何やら話しています。こっちを指差して半笑いでなにやら言っています。で、話し終わるとまたチンタラチンタラ歩きながら戻って来て、
おじ職『No。gate close』
俺『(ブチッ)ノーじゃないっ!!ラン!ランすれば間に合うから!!後15ミニッツあるから!!大丈夫だから!プリーズ!ヘルプ!!ヘルプミー!!!』
おじ職『No〜』
俺『(頭に血が上っているのと、これ以上なんて伝えれば良いのかわからず)………。』
すると、後ろにいたメガネ君達がバッと前に出て、
メ『ウンヌンカンヌンウンヌンカンヌン!!』
おぉ!英語で物申している!!なんて心強い…!というか喋れんのかいっ!!その後もメガネ君達vsおじ職の戦いは続きますが、5分10分と時間だけが過ぎていきます。頑張れ頑張れ!と本気で応援しましたが、、、
くしくも戦いに敗れてしまいました…。
離陸5分前。僕らは惨敗し、カウンターの前で佇んでいました。カウンターでは先程の西洋人がまだ頑張っています。もし俺らと同じ便なんだったらもう無理だぜ…と横目に、
メ『いやー、全然ダメでしたね…』
俺『いや、ナイスファイトでしたよ!俺なんか知ってる単語しか並べられなかったすから…。』
メ『いやー、参ったなぁ。明日お仕事ですか?』
俺『はい、夕方からあるんで明日の昼までには戻らないとマズイんですよね…』
メ『さっき調べたら、明日の朝までに帰れる深夜発のJAL便があったんですけど、残り10席だったので、それも空いていればいいんですが…』
俺『そうなんですか!情報ありがとうございます』
メ『僕らはそれが取れれば乗っていくので、お兄さんもそれに乗られる様でしたら、またJAL便で…!』
と言って15分間の戦友とお別れをしました。まずは兄やんに電話します。
俺『もしもし…』
ユ兄『おぉ、ベッチン!大丈夫だったか!?』
俺『いえ、ダメでした…』
ユ兄『えっ…??』
俺『乗れなかったす…』
ユ兄『えぇーー!!ウソだろ!?』
俺『マジす…』
ユ兄『いやいやいや、ウソだろおい。』
俺『兄やん今どこいます?』
ユ兄『空港内のカフェでお茶してるよ』
俺『さっきの所に居るので、来てもらってもいいすか…』
ユ兄『わかった!すぐ行く!』
兄やんと別れたイミグレの前のゲートの前で佇んでいたら、笑っちゃいけないけど笑ってしまっているがそれを堪えた様な表情で兄やんが現れました。俺は撃沈していますが、逆の立場だったら同じ様な表情をするでしょう。本気で心配しつつも、こいつすげーハプニングに見舞われてんなー笑。みたいな。
ユ兄『ベッチンどうした!?なにがあった??』
俺『いやぁ、僕も初海外なんでなにが正解なのかわからないんですが、とりあえず乗れなかったす。というか、乗せてくれなかったです。中ではこんなんであんなんで〜(ユ兄と別れた後の説明)』
ユ兄『いやぁ、あり得ないだろ。俺もまぁまぁ色んな国行ってるけど、そんな事一度もなかったし、旅仲間からもそんな話し聞いた事ないぞ…』
俺『…(ちょっと放心状態)』
ユ兄『ベッチン!とりあえず手荷物だ!預けた荷物の行方を聞きに行こう!』
俺『…はっ!そうですね!』
手荷物の事に関してはもう、気力を使い果たした俺に代わり、英語堪能な兄やんに説明してもらう事にしました。エアアジアサービスカウター前にて、
ユ兄『Excuse me〜なんたらかんたらウンヌンカンヌン。』
おぉ、やっぱり兄やんすげぇな、仕事も英語でやってるんだから当たり前かと思いつつもすげぇなぁと感心していると、
ユ兄『ベッチン、荷物羽田に行っちゃったって』
俺『えぇ!?マジすか!荷物だけ行っちゃったんですか??』
ユ兄『お前の荷物はハネダに行った。ハネダ空港で受け取れって言ってるよ』
俺『あぁ、了解す。わかりました…。』
とりあえず、荷物の所在がわかっているならいい。高価な物といえば、4枚刃の電気シェーバーくらいだ。とりあえず、一回落ち着こうとマックに入る事に。意気消沈している俺に兄やんはビックマックセットを買ってくれた。ポテトを一本一本ゆっくり食べていると兄やんが『JAL調べた?』というので、はっ!っとなってネットで検索。果たして次の日の昼までに帰れる便はあるのだろうか…
次回、やけくそで観光する。
お楽しみに。。。