症例の検討の勉強 (146)-太陰病期の病態と認識 (18) | besselwegのブログ

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症例検討の続きです。

意識状態は深昏睡で、3-3-9度方式で300。瞳孔径3.5 mmで左右差なく、対光反射消失。血圧測定不能。脈拍は橈骨動脈で触知せず、頸動脈、股動脈のみ触知するが、微弱でショック状態である。呼吸は努力性呼吸で規則的。眼球結膜に黄疸なし。眼瞼結膜は貧血性。肺は左呼吸音微弱、左右全肺野に湿性ラ音を聴取する。心音はIII音ともに減弱し、雑音なし。」 この所見は全体的に血圧低下に起因する症状と考えてよいでしょう。同時に「肝、脾触知せず、腹水なし。両膝関節、両手関節ともに腫脹。深部反射は低下し、病的反射なし」 は低血糖に起因する意識障害以外に特記すべき所見はないことを示唆するものでしょう。

WBC 13,500/mm3RBC 344 x 104/mm3Hb 10.5 g/dlHt 33%BUN 40.8 mg/dlCr 2.6 mg/dlNa 155 mEq/lK 5.5 mEq/lGOT 46 KUGPT 14 KUCPK 74 IU/lLDH 660 IU/l、血糖値 23 mg/dlESR 85 mm/時、CRP 6+」 白血球数増多、やや貧血傾向、腎機能低下と全身に炎症所見を伴います。この炎症所見は何か不明ですが、おそらく細菌感染症を併発しているのではないでしょうか?

頭部CTは年齢相当のcortico-medullary atrophyを示すが、脳内出血などの異常所見は認められなかった」 cortico-medullary atrophyとは日本語で「大脳皮質髄質萎縮」と読めるのでしょう。年齢相当以上の変化はないとのことでしょう。

胸部X線像は左中~下肺野に、著しい気管支肺炎の像を認めた」 肺炎を合併しているようです。CRPESRの上昇からは、細菌性気管支肺炎なのでしょう。

ここからは漢方医学的な所見になります。

顔色は白く、ベッド上仰臥位の状態で、独力では体位変換できない。食欲なし。食欲残渣及び胃液を頻回に嘔吐」 顔色からは陰証と言ってよいでしょう。独力で体位変換ができないということは虚証に分類してもよいのではと思います。食欲なし、頻回に嘔吐も虚証という陰証を指示するものでしょう。

手足の厥冷著明」 表あるいは半表半裏の寒証があります。さらに手足の厥冷特異的症候と考えてもよいでしょう。

皮膚は乾燥して潤いがない」 「皮膚の乾燥」は特異的症候でしょう。

「食欲なし」 虚証の所見でしょう。

脈、沈・細・弱」 は病変の主体がにあることを示し、弱は、細は小脈のことを言い「気・血の不足気虚血虚)」を示すものです。

舌、湿潤した白苔」 水滞の存在を示すものでしょう。

腹候、腹部は著しく膨隆しているが、腹力は軟弱である。胸脇苦満、臍上悸、瘀血の圧痛点などは、腹部膨隆のために不明である」 腹部の著しい膨隆は、イレウスの存在を示唆していると考えられます。腹力の軟弱は虚証を示しています。

まとめると次のように診断されます。

陰証、裏と半表半裏を考えれば太陰病期と考えてよいと思います。

虚証で、気虚・血虚・水滞を伴います。これを説明しうるのは気の衰えと思いますが、イレウスの存在を気の異常と考えると、これは気滞で、麻痺性イレウスと考えられます。とすると、太陰病期気滞型に分類してよいのではと思います。

特異的症候は、糖尿病、意識障害、腹部の膨満、四肢の厥冷、などが挙げられます。

明日は治療の勉強をしてゆきましょう。

本日は以上です。