エイリアンハンド症候群(Alien Hand Syndrome)という運動障害があります。これはAHSや「他人の手症候群」とも呼ばれ、自分の意思と関係なく腕や手が勝手に動いてしまいます。その動きは震えなどというレベルではなく、両腕で争う様子もしばしばみられます。腕だけ別の何かに乗っ取られているような症状から、「エイリアン」や「他人の手」などと呼ばれているのでしょう。
主な原因は
脳の損傷、とりわけ右脳と左脳を繋ぐ「脳梁」の傷がよく挙げられますが、詳しい全容は未だ解明に至っておりません。とにかく
、脳外傷や
脳梗塞などがきっかけで起こることがあるそうです。
脳梗塞を患ったある患者は勝手に動く左手を右手で抑え「私の腕はどうしてしまったの?」と嘆きました。ロードバイクの落車事故に遭った別の患者は、発症こそしなかったものの「脳梁の影が消えるまで安静を強いられた。もし発症すれば暴力沙汰を起こしかねないので、影が消えるまでは怖かった」と振り返ります。
脳の損傷が関わる以上これといった治療方法はなく、薬物療法で症状を抑えるのが中心となるようです。つくづく脳という器官の重要さと複雑さを思い知らされます。

