残りの ミステリー2冊。
「 死体で遊ぶな大人たち 」 倉知淳
「 本格・“死体” ミステリー 」の短編集、全4編。
“ヘンな死体” を テーマとした「 パズラー 」傾向が強め(?)の
ミステリー。
「 特殊設定 」があったり「 現場の状況が ヘン 」だったりと
かなり好みの内容でしたね。
「 トリック 」関係も良かったし「 ロジカルさ 」も しっかりあって「 本格度 」も高いと感じましたよ。
倉知淳は あまり読んでないけど 今のところ 一番 好きかも。
ちなみに、タイトルは ゾンビ映画『 死体で遊ぶな子供たち 』(72年)が 元ネタになってます。
「 本格・オブ・ザ・リビングデッド 」
山頂にある セミナーハウスで過ごす サークル・メンバーの避暑旅行に ゲストとして 参加した、梅本と 彼の友人の 種子島。
夜、バーベキューを楽しんでいた 梅本たちの前に 突如 ゾンビが出現、メンバーが襲われる事態が発生する。
さらに 多くの ゾンビが集まってきため ハウスへと逃げ込んだ メンバーたちだったが、
翌朝、2階の部屋で「 ゾンビに かみ殺された 」死体が発見される。
調べたところ ハウスの戸締りは しっかりされており、ハウス内にも ゾンビの姿はなく……。
冒頭にも 書いてあるけど、ヒットした「 某ミステリー 」と
似通った( ちゃんと許可を取った )特殊設定・ミステリー。
「 ゾンビ無き ゾンビ被害の遺体 」という興味を そそられる
内容は 単純に 読んでいて 楽しかったですね。
前半の「 ゾンビ禍( パニック )」も ベタながらも 意外と 描写が上手くて 緊迫感も しっかりありましたし。
ミステリーとしても メンバー間で行われる「 議論 」で 様々な可能性を “ツブしていく” 過程は かなり「 本格 」的で、
「 手掛かり 」関係も イイ感じだったりと 納得感も 高めに思えました。
設定を活かした「 トリック 」も 個人的には 盲点、目から鱗でしたね。
気付けなかった 悔しさも ありましたけど。
「 三人の戸惑う犯人候補者たち 」
仰向けに倒れている 男の死体。
俺の手には 拳銃が握られている…。
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横向きに倒れている 女の死体。
俺の手には ジャックナイフが握られている…。
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うつ伏せに倒れている 男の死体。
俺の手には ハンマーが握られている…。
┇
都庁の裏にある「 違法行為等 諸問題に関する 相談所 」。
そこを訪れた 相談者が語ったのは「 自分は人を殺したかも 」
というものだった……。
意外と シンプルだったけど「 動機 」の方に 気が散って 全然
ダメでしたね。
「 トリック 」は オモシロイと思ったし、納得感もあったけど、
「 繰り返し 」のせいか、はたまた「 手掛かり 」が弱かったのか、思ったほど 心に刺さって来なかったかな。
「 それを情死と呼ぶべきか 」
貧乏芸術家の「 アトリエ小屋 」で発見された「 お互いに 首を絞め合った 」男女の死体。
その状況から 男女が「 心中 」したと 思われていたが、その後「 死者が 生者の首を絞めた 」とわかり?……。
ありそうで なかった(?)「 トリック 」が最高でしたね。
よくよく考えると 多少 強引な気もするんだけど、きちんと 外堀を埋めているので 説得力があるんですよね。
なんか、いろいろと 応用が利きそうだな。
あと「 動機 」( =タイトル回収 )も 好きだったりします。
「 死体で遊ぶな大人たち 」
本作だけ「 書下ろし 」。
河原で発見された 男性の死体。
だが その男性の死体の「 腕 」は切断されており、代わりに
「 女性の腕 」と “すげ替え” られていたことがわかり……。
という「 すげ替えられた 死体の腕 」を巡る ミステリー。
興を削ぐので 詳しく書かないけど、通常の 犯人や トリック当てとは 少し傾向が異なる内容になってます。
先の『 それを情死と… 』でも トリックに オオッとなったんだけど、こちらも かなり 驚きましたよ。
「 ロジカル 」である反面、少々「 外堀 」を埋め過ぎの きらいもあるけれど、
フェアともいえるので そんなには 気にならなかったですね。
最後の ちょっとした “オチ” による締めも 良かったな。
ということで「 パズラー系・本格 」が 好きなら、
それと「 トリック 」も かなりオモシロイと思うので そっち系が好きな人にも オススメしときます。
「 VR浮遊館の謎
探偵AIのリアル・ディープラーニング 」
早坂吝
SF系( テック系?)・本格ミステリー。
『 AI探偵 』シリーズの4作目。
フルダイブのVRゲームに テストプレイヤーとして 参加する事になった、AI探偵・相以( あい )と 助手の輔( たすく )。
それは プレイヤー8人( ひとりは NPC )が “魔法使い” に
扮し、“すべての物が浮遊する”「 館 」で 犯人を突き止め、
一番に “浮遊状態を解除する” のが目的のゲームだった。
輔と “身体を持った” 相以は ライバルとなり ゲームに挑むが、
しばらくして プレイヤーのひとりが「 全身の骨を砕かれた 」
死体となって 発見される。
それは 3ヵ月前に 警官に撃たれるも 川へと転落して 行方知れずとなった シリアルキラー、“骨折りジャック” と同じ手口だった……。
「 シリーズもの 」だけど「 相互学習AI 」の 相以( あい )と 以相( いあ )のうち 以相が盗まれて「 犯人AI 」となり、
残された 相以が 輔の力を借りて「 探偵AI 」になったのだけ押さえておけば たぶん、OK。
ちなみに、世界観としては 基本、ライトで マンガチックです。
( というか、いつの間にか「 コミカライズ 」されてた )
話の方は「 ふわふわと 物や 人が浮かぶ館 」を舞台にした
「 謎解きゲーム( “浮遊”の解除 )」に
「 “骨折りジャック” による? 殺人 」が絡んで来る 内容。
ちなみに 長くなるので 省いたけど、8人の魔法使いには
それぞれ「 魔法 」が付与されています。
実は「 ゲーム 」の方は VRを使いたかっただけの設定だと
思っていたんですが こっちも ガチな「 本格 」でした。
ゲームの目標が「 “浮遊” を解除する 」という 漠然としたもので
どうかと 思ったんですが
「 真相 」や「 浮遊の解除方法 」を知って驚きましたよ。
「 手掛かり 」も 分かりやすくて 納得感が高めなのも 良かったですね。
一方「 殺人 」の方は それよりも 若干 入り組んだ感じ。
こちらも 疑問点が ちゃんと提示されていたりと 親切で 納得感がありましたし、
「 手掛かり 」が “繋がっていく” 感じも 楽しかったですね。
( ネタバレ・その他に 触れるので 詳しく書けない )
…と、ここまでだと 大方「 大満足 」( ほぼ 完璧 )だったんだけど、終盤に アレレ?な 展開に…。
ちゃんと 手掛かりはあったし( 納得感も それなりにある )、
アイデアとしても すごく良かったけど、さすがに アレは 推理できないのでは…?
「 以相の企み 」を 盛り込みたかったのも わかるけど 個人的には ここだけ「 トンデモ系 」でしたね。
ということで、個人的には 最後に 大コケした感じでしたが、
( このように イイ所と ダメだった所の 落差が激しいのが
一番 評価に困る )
それまでのが すごく良かったので( 特に ゲームの方 )満足感としては さほど 変わりませんでした。
「 シリーズ 」としても 一番「 本格度 」が高い作品だと思いましたね。