今月 読んだのは
連作短篇・ミステリー
「 いけない 」 道尾秀介
連作・ホラーミステリー
「 影踏亭の怪談 」 大島清昭
ミステリー
「 此の世の果ての殺人 」 荒木あかね
本格ミステリー( 再読 )
「 山魔の如き嗤うもの 」 三津田信三
の4冊。
今回は「 再読 」のヤツ以外、
「 少し 気になる ミステリー作品 」を サクッと 読んでみる
…みたいな感じです。
まず2冊から。
「 いけない 」 道尾秀介
連作短篇・ミステリー。
「 第一章 」と「 第二、第三章 」は 初出が 別媒体で、
「 終章 」は 書下ろし。
道尾秀介は『 カラスの親指 』と『 鬼の跫音( あしあと )』、
( あと たしか「 ホラー系のヤツ 」)は 読んでます。
『 カラス 』は 面白かったんですが
(『 映画 』も良かった 最初のアレは いただけないけど )、
自分には あまり合わず 興味としては “薄い” 作家です。
ですが、「 最後の “写真” で 真相がわかる 」が “売り” らしい
「 本作 」は チョット気になっていました。
感想から書くと「 面白く読んだが 期待外れでもあった 」
になるかな。
(「 帯 」の惹句や「 章題 」は 煽り過ぎだったなような… )
ですが 個人的には「 第三章 」と「 終章 」の「 写真 」は
良かったですね。
ちなみに「 最後を視覚で 締める 」のは、バカミス作家の
( イイ話もあるよ )蘇部健一 が こちらよりも 早くやってます。
( その前にも 前例があるかは わからないけど… )
「 絵で 締める 」蘇部作品は『 六とん3 』に 収録された作品
しか 読んでませんが、本作よりは そっちの方が 好きですね。
まあ「 バカミス 」なんで いろいろと アレですけど。
それと「 絵 」といえば、
樋口有介『 ピース 』の「 表紙 」なんてのもありましたね。
「 第一章 」 「 弓投げの崖を見てはいけない 」
トンネル出口付近で 起きた 自動車同士の接触による 死亡事故。
だが、事故に関係している 車の持ち主は 見つからず。
被害者の妻が 悲観に暮れる中、彼女と昔付き合っていた刑事は
「 持ち主 探し 」に 奔走、さらに 被害者の妻に 新興宗教が
接触している事にも 気を揉む事に……。
「 話 」としては 面白かったです。
「 伏線 」も イイ感じで、度々 引っかかっていた アレには
ヤラれましたね。
( ちゃんと 書いてあったのに… )
そういう意味では 一番「 本格 」な作品でも あったかな。
ですが「 最後の写真 」は イマイチ。
「 表紙裏 」に「 謎 」は 提示してあったものの、
あまりに単純だったため、初めは その「 意図 」で いいのか
よくわからず、ついつい「 深読み 」してしまいましたよ…。
「 第二章 」 「 その話を聞かせてはいけない 」
不安を感じると、時々 祖父から聞いた「 妖怪 」が現れる、
イジメにあっている 中国人の小学生の少年。
少年は 万引きをするため「 文房具屋 」に入るが、
そこで 奇妙な場面に出くわす。
店を出た後、少年は それが「 殺人 」だと 思い至り……。
終盤までは サスペンスフルで 面白かったです。
「 最後の写真 」も 嫌いじゃないですが こちらも意外と普通で
インパクトとしては 少々弱め でした。
「 第三章 」 「 絵の謎に気づいてはいけない 」
新興宗教団体・幹部の「 玄関のドアノブ 」を使った
「 首吊り自殺 」。
その自殺に 疑惑を抱いた 刑事たちは
「 カギの掛かった 玄関ドア 」に 苦戦することになり……。
上記したように 個人的には この「 最後の写真 」と オチが
良かったですね。
「 過去の思い出 」が絡む「 人間ドラマ 」 としても面白く読めたかな。
「 終章 」 「 街の平和を信じてはいけない 」
「 第一 ~ 三章 」を 補完する内容。
なので 若干「 蛇足感 」を覚えたんですが、
「 最後の写真 」には 少し グッと来ましたよ。
そこまでの 持って行き方も 上手かったですね。
( コレに限らずだけど 全体の「 構成 」が上手いだよな )
「 アレは もっと奥の方にあるのでは… 」とは 思ったけど。
という事で、最初に書いたように 面白くはありましたが、
日ごろから「 本格 」を読んでる人には 物足りないかもしれませんね。
「 影踏亭の怪談 」 大島清昭
連作ホラー・ミステリー。
「 怪談( ホラー )」+「( 本格 )ミステリー 」という事で
こちらも 漠然と 気になっていた作品。
「 全4編 」の構成。( 一編目 以外「 書下ろし 」)
怪談作家の 呻木叫子( うめき・きょうこ )が取材した
「 怪談エピソード 」と、
「 呻木や 彼女の関係者が 体験した 怪異・事件 」が交互に
語られる内容になってます。
「 “実話”怪談 」部分は なかなか雰囲気があり、
“気になるところ” もありましたが 普通に 面白かったですね。
もう一方の「 ミステリー 」部分は「 現実味 」( 実話設定 )を
損ねないため(?)地味目で、こちらは 物足りなかったです。
「 トリック 」も 目新しさはなかったですし。
( それでも『 冷凍メロン 』のは 結構 好きだったり )
まあ、その甲斐があってか「 全体のバランス 」は 良かったですね。
そういう事なので「 三編 」までは「 まあまあ 」くらいだったんですが、最後の『 冷凍メロン 』の…で かなり挽回、
読後は 意外にも「 カタルシス 」を 感じましたよ。
なので「 全体( 一冊 )」の感想だと
「 思ったより 楽しめた 」って事になりますね。
「 影踏亭の怪談 」
自宅マンションで「 手足を拘束され、昏睡の状態 」で 発見された、実話怪談作家の 呻木叫子。
しかも 彼女は 自身の毛髪で 両方のまぶたを 縫い合わされていた……。
発見者でもある 呻木の弟は 姉が取材中だった「 K亭の怪談 」との関連を調べるため、「 予言電話が 掛かってくる 」と言われている「 離れ 」のある「 影踏亭 」へ。
だが、弟は その「 離れ 」で「 密室事件 」に巻き込まれる事に……。
「 怪談エピソード 」は 本作が 一番 面白かったですね。
でも、呻木叫子の「 拘束 」は チョットやり過ぎであったな。
まあ、その「 動機 」自体は 結構 好きなヤツでしたけど。
「 朧トンネルの怪談 」
若者たち4人が「 肝試し 」のため訪れた「 トンネル 」で
起こった「 女性 失踪事件 」。
その時に「 動画 」が撮影されていたが、特に不審な人物は
映っていなかった。
呻木叫子は 彼らと「 検証 」するため「 トンネル 」を訪れるが……。
「 怪異の元 が “ない”? 」というところは 良かったけど、
「 怪談 」「 ミステリー 」共に 普通 過ぎたかな。
「 真相 」は ちょっとモヤっとするけど、それは…なので
まあ、イイでしょう。
「 ドロドロ坂の怪談 」
「 誰かを捜すモノ 」や「 黒いモノ 」が現れるという、
「 ドロドロ坂 」。
親友から「 息子が 行方不明になった 」との知らせを受けた
呻木は 怪異の話がある「 ドロドロ坂 」の近くに住む その親友の元へ赴く。
だが、取材で来ていた 同業者に同伴していた 写真家が、
宿泊所として借りている 公民館で「 泥まみれの死体 」となって発見される事件が起こり……。
「 泥まみれの死体 」と
「 ミステリー 」的には 興味をそそられる内容だったけど、
「 真相 」というか「 伏線 」?が イマイチで 納得感は 低め。
でも「 怪談の元 」の考察の くだりは( “好み” だからかな )
良かったです。
「 冷凍メロンの怪談 」
「 死体のそばに 冷凍メロンが置かれている 」という事件が 度々 起こる、半ば 都市伝説のような「 連続?変死事件 」。
しかも “それ” は「 話を聞いた者に 伝染する(うつる)」
らしい。
「 廃・玩具工場 」で 行われた 心霊番組の ロケ中、
出演者のひとり、呻木が 頭部にケガを負い 意識不明に。
その彼女に ケガを負わせたのは 冷凍メロンで、さらに 現場は
ある種の「 密室状態 」と 不可解なものであった……。
今まで「 怪談 」だったのに いきなり「 都市伝説 」風に…。
その展開に「 一貫性が無いな… 」との気持ちが湧きましたが、
呻木の 知り合いの刑事が くだんの「 工場の密室 」と
「 過去に起こった “最初のメロン” & “雪密室” 殺人事件 」に
迫る展開は なかなか面白く、そんな気持ちも 忘れましたね。
まあ、正直「 工場の密室 」のヤツは ダメでしたが。
それでも、犯人と “アレ”が すごく良かったので 個人的に 満足感は かなりありましたよ。
という事で「( 本格 )ミステリー 」だけみると いろいろと
キビシイかも…ですが、
「 怪談も ミステリーも 好き 」な人なら 楽しめそうな 感じの
一冊でした。