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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

残りの “SF多め”の短篇集。

 

 

「 まず牛を球とします 」   柞刈湯葉

 

柞刈(いすかり)の「 柞 」の読み、すっかり忘れてた…。

 

「 ははそ 」と 読むようで( 変換してみよう )、

意味としては「 ナラ類や クヌギの総称 」の事らしいですよ。

 

 

著者作品は『 横浜駅SF 』と、

 

SF・アンソロジー『 NOVA 2019年春号 』

本書の表題作『 まず牛を球とします 』は 読んでます。

 

本書は 全15編からなる、“SF多め” の「 短篇集 」。

 

「 ショートショート 」くらいの 短めの作品が 多いため、

何となく「 オチ 」を 期待しちゃいましたが、

 

全体的に見れば「 オチ 」みたいのが “ない” 作品が多かったですね。

 

ある 一遍なんかは「 あとがき 」ですし。

 

 

「 表題作 」は「 牛は食べたいが 殺すのはイヤ 」という

人類の 身勝手さ から生まれた「 球体の牛( 培養肉 )」の

製造工場に 勤める 広報員・男性 の話。

 

人類が 都合よく “変える” 話ですが、それをするのは 人類だけではないんですよね。

 

後半の『 横浜駅SF 』とは 真逆の「 シンプルで 壮大な拡大 」計画?の描写は、ちょっと 気持ち良かったりもします。

 

 

 

「 犯罪者には田中が多い 」

 

ネットミーム「 犯罪者は田中 」と ミステリー漫画作家 の話。

 

「 ミステリー 」ではありませんが、「 ミステリー作品 」の

要素がある(?)内容という事で

 

「 ミステリー好き 」としては かなり面白く 読めました。

 

あと、『 まるだし探偵 模細工くん 』の 決めセリフ、

「 この事件、細部まで くっきり見えたぜ! 」が 最高。

 

 

 

「 数を食べる 」は「 夢モノ 」。

 

タイトル通り「 数を取り出して食べる 」んだけど、

個人的には「 夢 」でなく「 現実 」で やってほしかったな。

 

 

 

「 石油玉になりたい 」

 

巨大生物の死体が分解され、単純な有機物になり 生まれた、

宇宙を漂う「 石油玉 」。

その「 石油玉 」になりたいと言っていた 彼女が亡くなり……。

 

「 地球に還る 」話であり、「 循環 」の話でもありました。

 

 

 

「 東京都交通安全責任課 」

 

「 全てが自動化 」された世界。

そこで 人間が出来るのは「 責任を取るだけ 」で……。

 

みたいな話。

 

こういう「 SF・ナンセンス 」?な話は 好きだな。

 

“仕事の無い” 地方は「 ベーシックインカム 」みたいだったりと、意外と リアルっぽい設定なのも 良かったです。

 

 

 

「 天地および責任の創造 」

 

「 知恵の実 」を食べた アダムと イブ。

その責任は誰にある?……みたいな話。

 

「 聖書 」も 興味がある方なので コレも楽しく読めました。

 

 

 

「 家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています 」

 

『 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています 』

SF・パロディ的な内容?

 

のんきな雰囲気だけど、映画『 クレしん ~ 踊れ!アミーゴ!』の「 風間君パート 」を思わせる描写は 結構 コワイ。

 

「 不条理・幻想モノ 」としても たぶん、イケますよ。

 

 

 

「 タマネギが嫌い 」

 

「 小天体から資源を拾う 」仕事をしている、タマネギ嫌いの

おれ は、“ある形”の 小天体を見つけ……。

 

「 あとがき 」によると 著者は 玉ねぎが嫌いみたいです。

 

 

 

「 ルナティック・オン・ザ・ヒル 」

 

月面で行われている、「 月人 対 地球人 」の「 戦争 」を

月人の「 対砲弾レーザー 」を サポートをする兵士の 視点で

描いた話。

 

技術は あるものの「 宇宙空間 」を 間に挟むため 物資が送れない地球が 決めてを欠いていたり、

 

同じ性能の「 戦況判断システム 」( AI )により 膠着状態だったりの「 天体間の戦争 」は なかなか 面白い。

 

月人の「 月面の “真っ暗の空” に恐怖を覚える 」や

「 地球の重力を体験する 」も ちょっと 新鮮な感じ。

 

よくよく考えれば「 空 」がないと 怖いかも…。

 

 

 

「 大正 電気女学生 ~ハイカラ・メカニック娘~ 」

 

大正10年(1921年)を舞台にした、

「 ドイツ文学 好き 」少女と「 物理学 好き 」少女の 友情譚。

 

物理学・少女が「 未来の放送を受信する 機械 」を作る という

「 SF 」要素も あります。

 

 

 

「 令和二年の箱男 」

 

「 なりたいもの 」がない ぼくが 「 VTuber 」用に

作った「 直方体 」に 足を付けただけの 3Dキャラクター、

「 バーチャル箱男 」。

 

その後、大きなダンボールを 手に入れた ぼくは 実際に 箱を被ってみるが……。

 

という、現代版「 箱男 」。

 

「 スマホ・カメラ2台 」と「 VRゴーグル 」を使った

「 視覚 」が 今っぽかったな。

 

「 コロナ禍 」って事で 外でも 意外と平気なのも 可笑しい。

 

ネットで 拡散されるも、ぼくの意思とは違う「 勝手な解釈 」が付いたり、「 一人歩き 」してしまうのも SNS時代ならでは。

 

 

 

「 改暦 」

 

クビライ・カーン の時代の 中国を舞台にした、

 

漢人である 占星術師 と、天子の威厳を 損なわないため 行われている「 日月蝕の 予測 」の話。

 

「 皇帝の動向 」( 良・悪政 )と「 天体の動き 」が “関係ない”のなら、ひいては “全て”が 自動機械なのでは…

 

という「 ラプラスの悪魔 」( 神は サイコロを振らない )的な

少々 パラノイア・チックな 内容は 結構 好み。

 

モンゴル人、漢人のほか、回教徒( イスラム教徒 )も

ちょこっと出て来たりで「 時代モノ 」としても 面白く読めましたね。

 

 

 

「 沈黙のリトルボーイ 」

 

「 書下ろし 」作品。

 

米国の原子爆弾・リトルボーイ が 爆発しなかった 広島。

 

「 広島産業奨励館 」( 原爆ドーム )に突き刺さった 爆弾の

後処理に 任命された 米国の科学者だったが……。

 

 

長崎に落とされた ファットマンは 同時爆破の精度が 求められる

「 爆縮型 」( プルトニウム型 )。

 

もう一方、広島の リトルボーイは

「 2つの ウラン弾をぶつけるだけ 」と 構造が単純な

「 砲身型 」( ウラン型 )。

 

そのかわり「 砲身型 」って「 天然ウラン 」に わずが 0.7%

しか 含まれていない 可燃の「 ウラン235 」を集めなければ いけないんですよね。

 

天然ウランの ほとんどを占める 不燃の「 238 」と

 

僅かしかない 可燃の「 235 」を分けるのに 使われているのが「 遠心分離機 」。

 

( ふたつは “重さ” が違う )

 

イランや 北朝鮮の 核関連で 度々「 遠心分離機 」が出てきていたのは このため。

 

あと、調べたら 他にも方法が あるみたいですね。

 

 

…と、いきなり 脱線しましたが、内容としては

 

「 なぜ、単純な ウラン型が 爆発しなかったか 」の話で、

 

「 人は 悲劇を起こすが、防ぐことも出来る 」みたいな感じ?の イイ話でもありましたよ。

 

 

 

「 新タマネギの不在を乗り越えるために

( あとがきにかえて )」

 

…は「 あとがき 」と 各作品の説明。

 

 

 

「 ボーナス・トラック・クロモソーム 」

 

「 遺伝病と 遺伝子編集 」の話?

 

「 あとがき 」によると「 ウェルビーイング 」

( 肉体的、精神的、社会的 に 幸福な状態 )についての作品のようです。

 

外部トリガーを使った「 自己決定権 」は なかなかのアイデア。

 

「 苦痛 」を 個人のアイデンティティとしても いいけど、

やっぱり ないほうが いいよな。

 

 

 

という事で 個人的には

 

“ミステリー作品” 要素があった「 犯罪者には田中が多い 」

 

ナンセンスっぽい「 東京都交通安全責任課 」

 

ホラー要素を感じた

「 家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています 」

 

少し滑稽な SF戦争モノ「 ルナティック・オン・ザ・ヒル 」

 

自己とネットの 人間ドラマ「 令和二年の箱男 」

 

が 面白かった( 好み )ですね。