残り「 ミステリー以外 」2冊。
「 虚談 」 京極夏彦
「 談 」シリーズ。
「 幻想・怪奇系 」短篇集、全9篇。
虚構、虚言などの「 虚 」という事で、今までと 違い
「 作為的に 曖昧さを壊す 」みたいな 感じの話が多く、
個人的には ノリきれない作品も ありましたね。
「 虚実 」入り混じる「 存在・実体 」「 事象 」「 記憶 」に
ジワジワっと「 不穏感 」は 掻き立てられたけど、
前回の『 鬼談 』( 内容も 結構 覚えてもいる )と比べると
「 面白さ 」や「 バリエーション 」は 減ったかな。
「 虚 」の 表現方法も なんか 少なく感じたし。
もっと「 虚飾 」や「 虚栄 」など「 虚 」の範囲を 広げても
よかったかも?
それでも「 京極節 」で 語られる 一人称は 相変わらず 気持ち
よく読めたし、
笑える箇所や「 懐かしネタ 」( その世代では ないけど )も
あったりで 満足感は それなりに ありましたけどね。
「 レシピ 」
両方の家の火事によって すれ違ったまま 別れる事になった、
「 近所同士 」の高校生カップル。
時が経ち、男の方は 付き合った女性から「 ココナッツって何 」
という、別れのセリフを言われ……。
結構 真っ当な「 幽霊譚 」…のような 話。
「 不整合 」が 顔を覗かせる 終盤は ゾクゾクするけど、
最後に はっきりと 言われるとな…。
「 ちくら 」
衰弱死で 亡くなった 鉄工所の先代(老人)が 連れ歩いていた、30歳 過ぎくらいの女性。
家にも 連れてきていたが、家人に 紹介などは まったくしていなかった。
先代の「 持ち物 」の整理を頼まれた、自身も 何度も その女性を見ている 大木は そこで「 女性の写真 」を見つけるが……。
前に 取り上げた 映画、『 クレイジー・キラー 』っぽい感じが チョットある、こちらも「 幽霊譚 」みたいな話。
あと『 リング 』っぽくも あるのかな。
「 女性の存在 」( 見え方?)も良かったし、
「 写真 」を 辿っていく過程も ゾワ付いたけど「 京極節 」が なければ 普通 だったかも。
ちなみに「 ちくら 」とは
架空の海の名前「 筑羅(ちくら)が沖 」が転じた、
「 どっちつかず 」とか「 曖昧 」などの意味みたいです。
「 ベンチ 」
僕が 思い出した おじさん。
その おじさんは 僕の知る 親族の中にはいないが 存在は
しているらしく、現に 僕も 子供の頃 プラモデルを買って
もらっていた。
その おじさんは 新興宗教に 入信しているようで……。
「 仏像 好き 」で「 怪獣 」も それなりに…という、
みうらじゅん みたいな性質の 僕に ニヤっとしましたね。
おじさん 絡みよりも『 宇宙猿人ゴリ 』の
「 プラモデル 」ネタ※の方が なんだか 楽しかったような。
〔 ※「 宇宙ロボットシリーズ 」
何故か スーパーマンがいるとか、ネグチュードン とか… 〕
「 クラス 」
「 妹が来んねん 」
「 高校一年の頃、山崩れで 妹を 亡くした 」と語る 御木さん
から、そんな相談を受けた 僕であったが……。
「 幽霊 」のような 妹が「 年を取ってる、しかも服装が… 」
ってのが まず面白い。
その先の 惑うような展開からの「 入れ子 」構成も
「 虚 」らしく、全体的に ピタっと ハマってましたね。
「 キイロ 」
中学生の僕が 親しくしている男子3人が 遊びで 祭った、
“片脚のない”「 キンゴロー様 」。
密かに僕は そのキンゴロー様に あるイタズラをするが……。
「 キン消し 」の前に『 鬼太郎 』の「 ゲゲ消し 」ってのが
あったんですね。
内容としては「 ただの遊び 」が「 実存し始め… 」みたいな、
不安感が 気持ち 悪かった( 良かった )な。
フェードアウトする感じの ラストは 少し 物足りなかったけど。
「 シノビ 」
劇団の打ち上げの 二次会。
「 忍者がいるんですよ 」と 寒川さんは言った……。
「 忍者が家にいる 」という話ですが、酒の席って事で
「 赤影 」や「 猿飛佐助 」なんかに 話が 飛んで なかなか
進まないんですよね。
よくよく考えれば「 気持ち悪い話 」なのに なかなか本筋に
行かないんで イライラしそうですが…、
その 飛び飛びの「 ユルい 会話 」が えらく楽しいんですよ。
「 話 」が進んでからの、
「 山田風太郎 が 江戸川乱歩 になったなあ 」
には 笑ってしまいましたね。
最後も、怖くも「 人を虚仮にした 」ような 笑えるオチで
すごい好きだな。
本書で 一番 面白かった作品ですね。
「 ムエン 」
入り組んでいるため、自分の先祖が 分からない 僕の元に
「 先祖が 同じかも 」という人から 連絡が来る。
その人、城崎から そこに 至った経緯を 聞くことにした 僕であったが……。
「 先祖をたどる 」話。
こう聞くと 退屈そうですが、当然そこには「 ドラマ 」がある
わけで、思ったよりは 退屈せずに 読み進められました。
とはいえ、全体的に 小粒なのは 否めないのかな。
結末も 弱めだったし。
「 ハウス 」
木村さんが「 聞いてもらいたい 」として 話し出した
「 仲の良い友達の 体験談 」。
それは アルツハイマーの父親が「 介護 」の末に 亡くなった話で……。
ちょっと 読めちゃうんだよな。
もう ひと展開あっても よかった?
「 リアル 」
ああ、取り返しがつかない。
僕が 一度だけ見た、忘れられない「 夢 」。
その夢で 僕は「 取り返しがつかない事 」をしたらしい……。
という「 夢モノ 」。
「 夢 」と わかっているのに 付きまとう「 罪悪感 」。
その「 現実 と 夢 」の境界を 破るのが…
というような「 曖昧になる話 」は “好み” なので 面白く
読めましたね。
意外と「 虚 」っぽさは 少なかった気はしたけど。
「 CF 」 吉村萬壱
「 罪を犯しても その責任を 物質化し “無化” してくれる 」
…と言われている、巨大企業・CF。
…を巡る 群像劇。
個人的に 著者は『 ボラード病 』、『 ハリガネムシ 』、
『 臣女 』と、今のところ ハズレがない 作家。
まあ、短篇集『 前世は兎 』の方は 少々弱めでしたけど。
薄倖な キャバクラ嬢、 CFで働く男と その家族、
CFを辞めた男、 CFへのテロを考えている男と その仲間、
CFの広報室長…
などの思惑と 心情が 交差する 人間模様を描いた 内容。
昨今の “あれこれ”( 責任回避 ) を風刺するような 展開も
ありますが、
「 加害者の償い 」や「 被害者の 癒えぬ苦しみ、消えぬ 恨み 」というような「 罪 と 赦し 」、
人間の持つ「 責任から 逃れたい 心理 」や
「 誰もが 加害者になりうる 」という不安感も 描かれていて、
思った以上に 一般的かつ、普遍的な「 業 」の話に思えました。
まあ、個人的には 少々弱めながらも「 エンタメ 」としても
楽しめましたけどね。
ちなみに「 加害者の責任が 消滅する 」作用「 トリノ 」と
それにより「 被害者の苦悩が 消滅する 」働き「 ゾ・カレ 」を
繋げると「 トリノゾカレ 」( 取り除かれ )になってます。