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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

今月 読んだのは…

 

 

奇譚・幻想系の 短篇集

「 私の頭が正常であったなら 」  山白朝子

 

 

本格ミステリー

「 星くずの殺人 」  桃野雑派

 

 

連作短篇・本格ミステリー

「 名探偵のはらわた 」  白井智之

 

 

の3冊。

 

 

まず「 奇譚系 」から。

 

 

「 私の頭が正常であったなら 」  山白朝子

 

奇譚・幻想系(+SF )の 短篇集、全8篇。

 

山白朝子乙一の 別名義で「 奇談 」や「 ホラー系 」の

作品が多いみたいです。

 

 

これまで あまり 注目をしていなかった 乙一 でしたが、

去年「 十代向け アンソロジー作品、

 

『 絶対名作! 十代のための ~ 異界のミステリー 』に収録されていた、

 

『 世界で一番、みじかい小説 』が とても 面白く 興味を覚えました。

 

その作品の読後 図書館で 検索を掛けて 見つけたのが、

『 世界で一番、~ 』も 収録されている 本書。

 

総評から言えば「 すごく良かった 」です。

 

あと、女性っぽい筆致の作品もあって、

その「 書き分け 」の上手さにも 驚きましたね。

 

ただ「 喪失 」や「 子供 絡み 」と 重い話が多く、エンタメ性が少なかったのは チョット残念。

 

 

 

「 世界で一番、みじかい小説 」

 

マンションで暮らす 気弱な と、理系で 論理的な

そんな 夫婦の前に 突如「 突っ立っているだけの 男の幽霊 」が

現れ……。

 

( 前と 内容は 変わらないと思うが 再感想 )

 

夫婦の前に 突然 現れた 男の幽霊の「 謎 」に迫る、

「 幽霊・ミステリー 」。

 

「 手掛かり不足 」では ありますが「 ミステリー度 」は高いし、「 論理的 」に事が進むので 個人的には

 

「 本格っぽい ホラー( 特殊設定 )・ミステリー 」でも ありましたよ。

 

なので 特に「 ホラー & ミステリー好き 」の方に 読んでもらいんですが、

 

“普通” に読んでも 面白く( エンタメ度が 高い )、

そして 何より 素晴らしい作品なので 多くの人に 読んでもらいたいですね。

 

 

ちなみに 作中で「 世界で一番短い 小説 」として 紹介されているのが( ヘミングウェイ が 書いたとか、書いてないとか… )

 

「 売ります:赤ちゃんの靴 未使用 」( 直訳 )です。

 

 

 

「 首なし鶏、夜をゆく 」

 

田舎に引っ越してきた 12歳の僕は 両親を 亡くした

クラスメイトの 風子と、彼女の飼う “首のない鶏”・京太郎

介して 親しくなる。

 

風子叔母に 虐待されており、京太郎の首を切断したのも

叔母であった……。

 

 

結構 エグい展開を見せる、少年と 少女の「 青春譚 」。

 

 

作中に出てきた「 首なし鶏マイク 」という「 首のない鶏 」が

本当にいた事に ビックリ。

 

軽く説明すると( 詳しく知りたい人は ネットで )…

 

1945年、アメリカで 農家が 調理するため 鶏の首を

はねたが、その鶏は いつまでも歩き続けていた。

 

農家家族は スポイトを使い その鶏の 首の穴から 水や エサを

与えて 生かし、マイクという名前も付ける。

 

大学の調査後、評判となり『 タイム 』の表紙にもなった…

 

との事。

 

ちなみに 首のない状態で 18か月生きたみたいですよ。

 

 

 

「 酩酊SF 」

 

小説家のは 大学時代の 後輩から

「 “時間SF” の アイデアがあるので 小説を書きたい 」との

趣旨の相談を受ける。

 

そのアイデアとは

「 お酒を飲み 酩酊すると “時間の混濁” が起こる 」というものであった。

 

後輩の “ある要望” に沿った アイデアを出すが……。

 

 

西澤保彦の お株を奪うかのような「 お酒+時間 」SF。

 

後半から 緊迫の「 サスペンス・ミステリー 」の展開になるんですが、

 

こちらも 本格っぽく「 オチが 推理できそう 」な事もあって

一段と 楽しく 読めましたね。

 

そのオチも 良かったです。

 

 

 

「 布団の中の宇宙 」

 

長いスランプのため 妻から離縁を言い渡された、

「 異界 」を舞台にした作品を書く 小説家の Tさん

 

そんな Tさんが 長いスランプを抜け、新作の短篇を発表。

 

Tさんから 一人暮らしのために買った「 中古の布団 」で起こる「 奇妙な話 」を訊く……

 

 

というような「 幻想 」あるいは「 少し不思議 」系の話。

 

特段 書く事はありませんが 普通に 面白かったです。

 

 

 

「 子どもを沈める 」

 

が 高校時代に よく行動を共にした 3人の女子

その3人は それぞれ、自分が生んだ 赤ん坊を 殺していた。

 

結婚し、新居に引っ越した その女子の一人から 手紙が

届く。

 

その手紙には が 消し去りたい「 ある出来事 」と

彼女が「 子どもを殺した理由 」が書かれていた……。

 

 

なかなか ホラー度が 高めの「 復讐 」っぽい話ですが、

同時に「 贖罪 」の話でもありましたね。

 

「 タイトル 」から 察しが付く通り、いろいろと「 重い話 」ですが、若干「 エンタメ性 」もあって(?)面白かったですよ。

 

 

 

「 トランシーバー 」

 

「 震災 」で 三歳の息子を 亡くしてから 二年が経った頃。

 

酒で 酩酊状態の は 片方だけ 回収できた 息子

「 トランシーバー 」から 息子の声を聞く。

 

トランシーバーに 電池が入っていなかった事から 酩酊状態の時に 聞こえる「 幻聴 」と 判断した 息子と 話をするため

酒を飲むようになり……。

 

 

「 喪失 」と 「 再生 」( 一歩 踏み出すまで )を描いた

「 異界通信 モノ 」。

 

幼い息子 の「 幼児言葉 」が 切ない。

 

続く「 重い話 」で どんより気分も 一層 深く 感じましたね。

 

 

 

「 私の頭が正常であったなら 」

 

子供を亡くした事で 精神を病み、入退院を繰り返した

 

今は「 抗精神病薬 」のおかげで「 幻聴 」を聞く事はなく、

母妹と 共に暮らす だったが、ある日の 散歩中「 子供の声 」を聞く。

 

その「 声 」は 付き添いのには 聞こえないらしく……。

 

 

こちらも「 喪失 」と「( 少しだけ )再生 」の話。

 

さらに続く「 重い話 」で 地味に 滅入ります。

 

凄まじかったのが 子供が亡くなる経緯。

 

( とはいえ、個人的には コレが 良かったんですが )

 

度々 事件になってますが「 破滅型 」や「 道連れ型 」の性質を持つ人の扱いは 注意した方がいいですよ。

 

いろいろと やるせない話では ありますが、楽しくも 読めましたね。

 

 

 

「 おやすみなさい 子どもたち 」

 

「 書下ろし 」作品。

 

 

大型クルーズ船が 沈没しそうに。

 

子供たちの世話を 任されていた 最年長の アナだったが、

救命ボートでの 脱出時に 海に落ち、溺れてしまう。

 

そんな アナの頭の中を「 人生の断片的な映像 」がよぎる…が、

それは “自身の記憶” では なかった。

 

いつの間にか「 スクリーン 」の前にいた アナに 近くにいた

女性(天使)が 話しかける。

 

「 ごめんなさい、

どうやら他の人の フィルムを 上映してしまったみたい 」

 

 

間違った「 走馬燈 」を巡る、ファンタジー・ミステリー。

 

あと、子供たちを救うため アナが「 走馬灯 捜し 」を手伝う

という「 タイムリミット・サスペンス 」の要素も 少しだけ

あるかな。

 

(「 死後の世界 」の方が「 現実世界 」よりも 時間の流れが

速い…という 設定 )

 

「 ファンタジー強め 」の内容ですが、

以外にも「 ミステリー度 」が まあまあ あるんですね。

 

という事で 個人的には「 優しい話 」ではあったものの、

「 ミステリー 」として まあまあ 面白く 読めましたよ。

 

 

 

という事で 一番 面白かったのは

 

やはりと言うべきか「 世界で一番、みじかい小説 」

 

「 エンタメ 」かつ「 イイ話 」でもあって オススメし易い作品でもあります。

 

好みで言えば「 酩酊SF 」も 良かったですね。